プロに運用をお任せのラップ口座が過去最高を更新! 債券の組み入れ増加で安定志向の投資家の受け皿に【投資信託の最前線】
ラップ口座の契約金額は20.3兆円に到達
2024年7‐9月の相場混乱期を経ても増加ピッチは継続
“ファンドラップ”などに代表される「ラップ口座」の残高が、20兆円を超えて過去最高を更新しました。2024年12月10日公表の日本投資顧問業協会「契約資産状況」によると、ラップ口座は契約金額・件数ともに増加トレンドが続いており、契約件数が173.6万件、契約金額は20.3兆円に達しています(2024年9月末時点、下図参照)。
「ラップ口座」とは、実際の資産の運用・管理を、金融機関などのプロに任せるサービスのことです。ロボアドバイザー(ロボアド)も含まれます。投資家が金融機関と”投資一任契約”を結んだうえで、事前に運用方針に相談した方針のもと、複数の投資信託などで運用が行われます。
2024年前半(1-6月)は、好調な株式相場や、円安外貨高の効果が契約金額の大きな伸びにつながりました。そして、7-9月の相場混乱を受けてもなお、契約件数の増加ピッチが弱まっていないことが確認できます。また、現在のラップ口座の契約1件当たりの金額は1170万円です。少額から利用できるロボアドの人気で一時は1件当たりの金額が1000万円を下回るなど小口化する傾向にありましたが、再び増加トレンドに転じています。
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ラップ口座では債券型に投資する流れが顕著
株式だけでない安定的な運用が期待できる商品に
それでは、拡大するラップ口座の運用状況はどのようになっているのか見ていきましょう。
ラップ口座の大部分は国内の「ラップ口座専用ファンド」(以下、「ラップ専用ファンド」)で運用されています。2024年9月末時点の公募の「ラップ専用ファンド」の残高は15.1兆円と、ラップ口座の契約金額(20.3兆円)の4分の3程度を占めています。ロボアド最大手は外国ETFを活用した資産運用を行うなど、全てが国内の公募投信で運用されている訳ではありませんが、ラップ口座の多くが投資信託で運用されているということになります。
では、ラップ口座の4分の3を占める「ラップ専用ファンド」が、どこに投資しているのかを見てみましょう。以下の円グラフは、投資対象別の残高内訳を示したものです。これを見ると、国内外の株式型の合計が40.5%にとどまっているのに対し、国内外の債券型の合計が42.6%と、債券への投資配分の方が大きくなっています。
注目すべきは、今年に入って株式相場が大きく上昇する中で、資産配分を一定に保つ動き(リバランス)などから債券型に目立った資金流入が見られる点です。日本の10年債利回りが1%台を回復したことも、こうした債券シフトの動きを強めています。
国内公募投信全体で見ると、S&P500や全世界株式といった外国株式型に人気が集中しているように見えます。しかし、市場拡大を続けるラップ口座では、ファンドラップやロボアドの人気の高まりを通じて、債券を組み入れた安定的な運用を目指したい人の受け皿として存在感を高めつつあると言えそうです。
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1998年三菱信託銀⾏(現三菱UFJ信託銀行)⼊社後、2001年ロイター・ジャパン(リッパー・ジャパン)、2007年ドイチェ・アセット・マネジメント、2019年アムンディ・ジャパンを経て、2021年にBNPパリバ・アセットマネジメントに入社。投信営業本部マーケティンググループ 部長。ドイチェAMでは資産運用研究所長を務めるなど、約25年に渡り資産運用や投資信託に関するリサーチや投資啓蒙に従事。慶応⼤学経済学部卒。
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