NISA2年目の1月は投資信託への資金流入額が初の2兆円超え! つみたて投資枠の対象商品に1兆3800億円も流入【投資信託の最前線】
月間2兆円超えは史上初で2024年1月と比べると1兆円近く増加
資金流入の大部分が外国株型投資信託
新NISAが始まってから2年目のスタートとなる2025年1月の投資信託市場は、歴史的な水準の資金流入額が見られました。個人投資家の資金動向を反映すると言われるETFを除く追加型株式投資信託の純設定額(設定から解約・償還を引いた資金流出入額)は+2兆2200億円(モーニングスター・ダイレクトのデータを用いた推計値)と、月間2兆円を超える資金流入となりました。
投資信託協会のウェブサイトでは1989年1月まで統計データをさかのぼることができますが、過去最高だったのは2007年3月の+1兆8800億円で、初の2兆円超えということになります。新NISAは投資枠がリセットされる1月に活用されやすい特徴もありますが、2024年1月の+1兆2800億円と比べても1兆円近く増加しています。
投資対象別の純設定額を見てみると、前年同様、資金流入の大部分が外国株式型に集中しています。2025年1月の外国株式型への資金流入額は+1兆9600億円程度で、こちらも2024年1月の+1兆1500億円程度から大きく増加しています。とりわけ、新NISAのつみたて投資枠の対象となっている全世界株式や米国株式を投資対象とする低コストのインデックス型には、2025年1月にも前年をさらに上回る水準の資金流入が見られています。
【※関連記事はこちら!】
⇒全世界株式など人気集中のインデックス型投資信託をインド株型などのアクティブ型投資信託で補完する動きも!【投資信託の最前線】[第13回]
特に「つみたて投資枠」対象商品への資金流入額が大きく増加
「成長投資枠」も1月から2024前半並みの水準まで回復
そこで今回は、資金流入の状況について、新NISAの対象商品の観点から確認してみたいと思います。以下、つみたて投資枠の対象商品、成長投資枠のみの対象商品、そのいずれも対象外となっている商品、の3つに分けて資金流出入を集計してみました。
グラフを見ると、つみたて投資枠の対象商品(調査時点で295本)の資金流入額が+1兆3800億円と、圧倒的に大きな資金流入となっていることが確認できます。また、2024年は月間で+5000億円~9000億円台だったので、2025年に入って水準が大きく変わっていると言えそうです。
次いで、成長投資枠の対象商品(調査時点で1742本)は、資金流入額が+5400億円となっています。成長投資枠の対象商品は、2024年8月の株式相場の乱高下を経て資金流入が急減速していましたが、年が変わって投資枠がリセットされたことなどから再び高水準の資金流入につながったものと言えそうです。
そして新NISAの対象外となっている商品は、2025年1月に+2900億円と昨年後半並みの水準となっています。2024年1月・2月は資金流入額が1000億円に届かなかったものの、その後は毎月分配型投資信託を中心に安定した資金流入が見られており、NISA以外での投資ニーズを反映したものと考えられます。
資金動向を見ると、やはり積立投資の広がりによって、つみたて投資枠の対象商品への資金流入が高水準で安定していることが確認できます。こうした積立投資で老後資産の土台を築きつつ、よりリターンを狙える商品を入れたり、より値動きを安定させる商品を取り入れたりすることで、ポートフォリオを調整していくことが重要と言えそうです。
【※関連記事はこちら!】
⇒「オルカンとは何なのか」をマンガで解説! 新NISAで話題沸騰の「全世界株型(オール・カントリー)」投資信託は、低コストで分散投資ができる優れもの!
![藤原延介](https://dfinance.ismcdn.jp/zai/mwimgs/0/9/200/img_098637b1c5e43da8a9e0558af9f00f1919713.jpg)
1998年三菱信託銀⾏(現三菱UFJ信託銀行)⼊社後、2001年ロイター・ジャパン(リッパー・ジャパン)、2007年ドイチェ・アセット・マネジメント、2019年アムンディ・ジャパンを経て、2021年にBNPパリバ・アセットマネジメントに入社。投信営業本部マーケティンググループ 部長。ドイチェAMでは資産運用研究所長を務めるなど、約25年に渡り資産運用や投資信託に関するリサーチや投資啓蒙に従事。慶応⼤学経済学部卒。
- 全世界株式など人気集中のインデックス型投資信託をインド株型などのアクティブ型投資信託で補完する動きも!【投資信託の最前線】
- 【NISA投信グランプリ2024】新NISAで買える本当にいい投資信託の「3つの選定基準」とは? 「成績」「損しにくさ」「安定性」をザイが採点
- NISAのお悩み相談! S&P500型投資信託の積立が円高進行で含み損に…日本株型に買い替えるべきか人気FPがアドバイス
- 「オルカンとは何なのか」をマンガで解説! 新NISAで話題沸騰の「全世界株型(オール・カントリー)」投資信託は、低コストで分散投資ができる優れもの!
- 「ひふみプラス」&「さわかみファンド」 純資産額が大きい2つの人気投資信託の運用成績を星の数でズバリ判定! 最新格付を発表
- NISA2年目の1月は投資信託への資金流入額が初の2兆円超え! つみたて投資枠の対象商品に1兆3800億円も流入【投資信託の最前線】(2025.02.08)
- 全世界株式など人気集中のインデックス型投資信託をインド株型などのアクティブ型投資信託で補完する動きも!【投資信託の最前線】(2025.01.25)
- 投資信託市場は2024年、過去最高の流入額 NISAの浸透や円安・株高が後押しに!【投資信託の最前線】(2025.01.11)
- プロに運用をお任せのラップ口座が過去最高を更新! 債券の組み入れ増加で安定志向の投資家の受け皿に【投資信託の最前線】(2024.12.21)
- インド株投資信託は多様化の段階へ! 低コストのインデックス投資信託が増えテック系のテーマ型なども続々設定へ!【投資信託の最前線】(2024.12.07)
- インド株投資信託で資産アップを狙う人が急増中! 日本人は米国株の次にインド株に投資【投資信託の最前線】(2024.11.23)
- インド株型投資信託の合計残高が4兆円の大台に迫る! 個人投資家のインド株型の選択肢が拡大中!【投資信託の最前線】(2024.11.09)
- 株と投資信託の「投資姿勢」は真逆!? 投資信託は順張り、株式は逆張りで買う傾向が顕著!【投資信託の最前線】(2024.10.26)
- NISA拡充などの後押しもあり株や投資信託での資産運用が“当たり前”に! 日本が米国や英国のような“投資信託”大国になる日も近い!【投資信託の最前線】(2024.10.12)
- 『サステナビリティ(持続可能性)』は投資のスタンダードに! ただし運用の中身で成績に差があるため、投資信託選びには注意【投資信託の最前線】(2024.09.28)
- 8月の株価暴落時に外国株型投資信託から資金が大幅に流出! 投資を継続できるように長期投資としてのスタンスなどを確認しよう【投資信託の最前線】(2024.09.14)
- 新NISA開始以降インデックス投資信託の人気が急拡大! 株式型への集中投資をどう変えるかが資産運用の課題に【投資信託の最前線】(2024.08.31)
- 2024年前半の投資信託の人気1位は株式型! 債券型投資信託を見直す動きにも期待【投資信託の最前線】(2024.08.17)
- NISAを背景に投資信託の残高は過去最高を更新中! 外国株式型の投資信託の残高は全体の過半を占めるまでに増加へ!【投資信託の最前線】(2024.08.03)