NISA買付額は2024年に年間17.4兆円まで急拡大 政府が掲げた「資産所得倍増プラン」の目標が達成圏内に【投資信託の最前線】
旧NISA10年間の累計買付額は35.3兆円
新NISA開始から1年間でその約半分を達成!
2月13日に金融庁が2024年12月末時点の「NISA口座の利用状況調査(速報値)」を公表しました。この速報値によれば、2024年の買付額は、成長投資枠が12兆4628億円、つみたて投資枠が4兆9857億円で、計17兆4485億円となりました。
2023年までの旧NISA(ジュニアNISA除く)での累計買付額が10年間で35.3兆円(年平均3.5兆円)でした。また、NISAの人気が高まっていた2023年の買付額でも5.2兆円だったことを勘案すれば、2024年の買付額17.4兆円がいかに大きかったかがわかるでしょう。
背景には、円安・株高によるコロナ禍からの投資ブームという要因もありますが、やはり新NISAによる投資枠の拡大が寄与しているものと考えられます。旧NISAではつみたてNISAが年40万円、一般NISAが年120万円でいずれかの選択制でしたが、これが新NISAでは併用可能になりました。つみたてNISAを引継いだ「つみたて投資枠」が120万円、より幅広い投資信託や上場株式が購入可能な「成長投資枠」が240万円と大幅に拡充されました。つまり、最大年120万円だった投資枠が、最大年360万円と3倍に拡大され、これが買付額の急拡大につながったということです。
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積立専用枠の買付額は旧NISAの約3倍に!
政府が掲げた累計買付額の目標は56兆円
なお、2022年11月に政府が決定した「資産所得倍増プラン」では、累計買付額を、2022年3月末時点の27.6兆円から今後5年間で56兆円に倍増させる目標を掲げていました。2024年の1年間で17.4兆円を積み上げ、2023年までの10年間の35.3兆円と合わせれば、すでに52.7兆円に達しています。2025年に入って投資信託市場への資金流入が昨年の同時期を上回っていることから、2025年の早い段階で当時の政府目標に到達することが予想されます。
細かい買付額の内訳をみると、2018年1月にスタートしたつみたてNISAは年数が経過するにつれて、買付額が積み上がってくるという特徴がありました。新・旧NISAの「積立専用」枠を比較すると、つみたてNISAの2023年の買付額は1.7兆円でしたが、新NISA移行後の、つみたて投資枠の2024年の買付は約5.0兆円に。投資枠の拡大と同様に3倍程度に増加した計算となります。
また、2023年の一般NISAの買付額は3.5兆円でしたが、新NISAの成長投資枠の買付額は12.5兆円と3倍を大きく上回って拡大しました。こちらは短期で売買した買付も含まれるなど、相場変動の影響を受けやすいという特徴があるため、今後の動向に注目する必要がありそうです。
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1998年三菱信託銀⾏(現三菱UFJ信託銀行)⼊社後、2001年ロイター・ジャパン(リッパー・ジャパン)、2007年ドイチェ・アセット・マネジメント、2019年アムンディ・ジャパンを経て、2021年にBNPパリバ・アセットマネジメントに入社。投信営業本部マーケティンググループ 部長。ドイチェAMでは資産運用研究所長を務めるなど、約25年に渡り資産運用や投資信託に関するリサーチや投資啓蒙に従事。慶応⼤学経済学部卒。
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