・日経平均は続伸、良好な米経済指標を受けて一時3万9000円台まで上昇
・今日も決算シーズンの振り返りとして自社株買い発表銘柄に注目!
・PCEなど今週発表の日米経済指標も点検
【1】今日の株式相場早わかり!
良好な米経済指標でダウ最高値、電鉄株の一角が急伸
日経平均株価は続伸! 22日の米国市場ではNYダウが400ドル超上場し、過去最高値を更新した。S&Pグローバルが発表した11月の購買担当者景気指数(PMI、速報値)は総合で2年7カ月ぶりの高水準となり、米経済の堅調ぶりを好感した買いが入った。週明けの日経平均株価もこうした流れを引き継いで続伸スタートすると、前場中ごろには一時3万9053.64円(+769.79円)まで上昇。売買代金上位ではアドバンテストやフジクラが下落したが、日経平均株価への影響が大きい東京エレクトロンやソフトバンクグループの上昇が目立った。また、一部報道で旧村上ファンド系の株保有が取りざたされた京成電鉄や京浜急行電鉄は急伸した。
良好な米経済指標を受けて一時は大幅高となった日経平均株価だが、3万9000円前後では上値が重くなり、やや伸び悩んだ。今週も重要な米経済指標の発表が控えており、コラムコーナーで予定を確認しておこう。米経済の先行き期待が続き、日本株相場を押し上げるか注目だ。
【日経平均】38780.14円↑↑(+496.29円)
【グロース250】638.18↑(+3.37)
【NYダウ】44296.51ドル↑(+426.16ドル、22日)
【ナスダック】19003.651→(+31.231、22日)
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
【2】今日の注目株!
「自社株買い銘柄」に注目の理由、金額上位は…
引き続き7~9月期決算発表の振り返りで、株主還元に注目していきたい。今日は先の決算シーズン中に発表された「自社株買い」を取得金額(上限額)の順に下表にまとめた(自社株買いの解説は1月31日号コラムなど)。東証が発表している投資部門別売買状況(東名2市場の合計)によると、自社株買いを含む「事業法人」は11月第2週(11月11~15日)まで20週連続で現物株を買い越し。この間の買い越し額はおよそ4.2兆円に上る。東証による「資本コストや株価を意識した経営」の要請を受け、企業の自社株買いが続いているようだ。一部は政策保有株の売却に対応したものだろうが、方向感に乏しい展開が続く日本株の下支えとして期待したい。
取得金額トップはデンソーで、最大4500億円の自社株買いを実施。株数ベースでも発行済株式(自己株式を除く、以下同じ)の9.6%に相当する大規模なものとなる。同社が属するトヨタ自動車グループは株式持ち合いの解消を進めるが、同社に関しては追加的な株主還元の余地が大きいとの声も。株価は業績下方修正の影響を打ち返し、まずまず堅調に推移している。
取得金額2位(最大3000億円)の三菱UFJフィナンシャル・グループなど、3メガバンクは積極的な株主還元や国内金利の先高観から株価好調だ。特にみずほフィナンシャルグループは16年ぶりの自社株買いがサプライズとなった。SOMPOホールディングスは株式売却益の上振れで期待以上の規模の自社株買いに。また、発行済株式に対する取得割合が高い企業では、デンソーのほか大成建設(取得割合16.4%)や東レ(9.7%)などが注目できそうだ。
■みずほフィナンシャルグループ株価チャート/日足・6カ月
【3】月曜連載「ザイアナリスト仲村幸浩『今週の焦点』」
米PCEや東京CPI、金利動向に注意
先週の日経平均株価は-359.06円(-0.93%)。米半導体大手エヌビディアの決算を前に様子見ムードが広がる中、米利下げ観測の後退やロシア・ウクライナ情勢の不透明感を嫌気した売りが上値を抑えた。一方、エヌビディアの決算は実績・見通しともに予想を上回る結果となり、週末には半導体株に押し目買いが入った。
今週は米連邦準備理事会(FRB)が重要視する米10月個人消費支出(PCE)物価指数に注目だ。PCEコアデフレーターの前年同月比の伸びは+2.8%と9月(+2.7%)から加速し、4月以来の伸びになる見込み。米国の経済指標は非常に堅調で予想を上回るものも散見される。PCEが予想を上回った場合にはインフレ鈍化の一服がより強く意識されそうだ。
今週はその他に米国で7~9月期GDP(国内総生産)改定値や連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(11月6~7日開催分)が発表されるほか、短期債から中期債の国債入札が行われる。経済指標の上振れやFRBの利下げペースに慎重な姿勢、低調な入札結果が確認された場合には、PCEと合わせて金利の上昇につながりそうだ。9月後半以降、米国株は実質金利の上昇を無視して大きく上昇してきたが、一段の金利上昇は最高値圏にある米国株の調整要因になり得るため、金利動向には注意したい。
国内でも長期金利の動向に注目だ。先週に発表された10月の全国消費者物価指数(CPI)は予想を上回った。また、日銀の植田総裁は12月の金融政策決定会合での利上げの有無については、今後のデータ次第で「ライブ」での決定になることを示唆した。米金利の動向や週末に発表される11月東京都区部CPIの結果次第では、円安抑制などを目的とした日銀の追加利上げ観測が一段と強まる可能性があるため注意しておきたい。
仲村幸浩
ダイヤモンド・ザイ アナリスト
立教大学経済学部卒業。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。証券会社や金融情報サービス会社を経て2023年10月より現職。マーケットアナリストとして各種メディアで活動中。
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