2024年10月に新規上場した「IPO株」11銘柄のうち、アナリストの投資判断が“強気”の「東京地下鉄(東京メトロ)」と「リガク・ホールディングス」に注目!
ダイヤモンド・ザイ2025年1月号の連載「10倍株を探せ!【IPO株】研究所」では、IPO株の専門家であるダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチの小林大純さんが、2024年10月に新規上場した「IPO株」全11銘柄を「買い」「強気」「中立」「弱気」「売り」の5段階で評価している。
今回は、その中でも小林さんが特に注目しているIPO株の2銘柄をピックアップして詳しく解説しているので、投資の参考にしてほしい!
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2024年10月に新規上場した「IPO株」は11銘柄!
上場前から話題を集めた「東京地下鉄(東京メトロ)」は好発進!
10月は11社が新規上場。目玉はやはり、今年最大のIPOとなった東京地下鉄(東京メトロ・9023)だ。東京メトロの売出規模は3486億円に上ったが、旺盛な需要を集め、公開価格比プラス36%という堅調な初値を付けた。
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ダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチのアナリスト・小林大純さんによると、東京メトロの投資判断は“長い目で見て”という条件で「強気」に。
「国と東京都がまだ半数の株を持っており、有楽町線と南北線の延伸が終わる2030年代までは、新たな成長戦略などが取りづらい。当面、大きな株価上昇は期待できません。しかし、利益面の不確実性は、ほかの鉄道会社より低いといえます。将来の完全民営化の方針も決まっており、ポテンシャルはあります。株価上昇で配当利回りは2%台半ばと、ほかの鉄道会社並みになりましたが、配当や株主優待をもらいながら10年後に期待して持ち続ける、という投資スタイルなら買ってもいいでしょう」(小林さん)
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一方、売出規模1291億円で今年2番目の大型IPOだったリガク・ホールディングス(268A)は、公開価格割れとなった。10月はリガク・ホールディングスを含め5社の初値が公開価格を下回り、11社平均の初値の騰落率はプラス12%に。9月(7社の平均でプラス17%)と同様、低迷といわざるを得ない。
「東京メトロの上場前と上場後で明暗が分かれました。東京メトロに投資家の資金が集中したという面もあるかもしれません」(小林さん)
個別には、IPO人気を感じさせる動きもある。眼鏡店「Zoff」で知られるインターメスティック(262A)は順調な出足。AIベンチャーのSapeet(269A)は株価を大きく伸ばした。状況を悲観する必要はなく、むしろチャンスといえそうだ。
「株価高騰で反動安が警戒されるのはSapeetくらい。初値が低調だったぶん、来期にかけての利益成長を踏まえた、株価の上昇余地がある銘柄は多い。東京メトロと同様に、配当を受け取りながらの長期投資に向いた銘柄もあります」(小林さん)
業績などをきちんとチェックしたうえで、セカンダリー投資(IPO株を上場後に買うこと)を狙ってみよう!
【※「IPO(新規公開株)」の最新情報はこちら!】
⇒【IPO(新規公開株)スケジュール一覧(2024年)】IPOの申込日や幹事証券、注目度などの最新情報を随時更新中!
2024年10月に上場した【IPO株】11銘柄! |
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上場日 | 公開価格 | 初値 (騰落率) |
株価 (11/7) |
PER (PBR) |
今後1年の 高値予想 (安値予想) |
投資判断 |
1日 | ◆シマダヤ(250A・東S) | |||||
1880円 | 1760円 (-6.4%) |
1437円 | 10.6倍 (1.31倍) |
2100円 (1200円) |
中立 | |
【分析コメント】麺類の製造・販売。家庭用が6割強で「流水麺」が伸長。まだ国内で2例目のスピンオフ上場(子会社や一部の事業を分離・独立させ上場すること。シマダヤはメルコホールディングスからのスピンオフ)で警戒されたか、公開価格割れ。物流費の高騰なども気がかりだ。 | ||||||
8日 | ◆ケイ・ウノ(259A・名N) | |||||
2320円 | 2134円 (-8.0%) |
1310円 | 7.9倍 (1.33倍) |
2100円 (1200円) |
中立 | |
【分析コメント】オーダーメイドのジュエリーや時計で35店舗を展開。ブライダルを中心にコロナ禍以降の業績は回復傾向が続く。株価は売られ過ぎ感もあるが、取引がやや低調。 | ||||||
11日 | ◆オルツ(260A・東G) | |||||
540円 | 570円 (+5.6%) |
560円 | ー (15.88倍) |
760円 (500円) |
中立 | |
【分析コメント】議事録作成ツールが主力。個人の意思をデジタル化した「パーソナルAI」の開発が目標。売上成長率は30%超と高い。一方で販管費も増大し、赤字拡大へ。 | ||||||
16日 | ◆日水コン(261A・東S) | |||||
1430円 | 1341円 (-6.2%) |
1378円 | 11.9倍 (1.19倍) |
1700円 (1200円) |
強気 | |
【分析コメント】上下水道を中心とした水インフラの建設コンサル。足元の業績成長ペースは緩やかだが、施設の老朽化や豪雨災害の増加で活躍に期待。配当利回り4%超が魅力。 | ||||||
18日 | ◆インターメスティック(262A・東P) | |||||
1630円 | 2038円 (+25.0%) |
2140円 | 23.1倍 (8.40倍) |
2800円 (1800円) |
強気 | |
【分析コメント】眼鏡店「Zoff」を展開。7月末時点で国内303店舗、海外19店舗。低価格帯でジンズと競合するが、地球沸騰化でサングラスに活路。地方の出店余地もある。 | ||||||
21日 | ◆伸和ホールディングス(7118・札A) | |||||
1650円 | 1530円 (-7.3%) |
1423円 | 13.6倍 (3.76倍) |
1600円 (1200円) |
中立 | |
【分析コメント】北海道を中心に「炭火居酒屋 炎」「美唄焼鳥・惣菜炎」などを展開。東京プロマーケットから札証アンビシャスにくら替え。出店での事業拡大ペースを注視。 | ||||||
22日 | ◆Schoo(264A・東G) | |||||
690円 | 761円 (+10.3%) |
875円 | 723.1倍 (21.80倍) |
1000円 (650円) |
強気 | |
【分析コメント】法人向けのクラウド型動画研修サービスが中心。リスキリングの追い風で契約社数2400を突破。継続収益の積み上げで前期に黒字化し、利益拡大フェーズに。 | ||||||
23日 | ◆東京地下鉄(9023・東P) | |||||
1200円 | 1630円 (+35.8%) |
1647円 | 18.3倍 (1.41倍) |
1900円 (1400円) |
強気 | |
【分析コメント】売出規模3486億円と今年最大のIPO。公開株は個人中心に販売されたが、抜群の知名度や高い配当利回り、話題性のある株主優待で幅広い層の需要を開拓。 | ||||||
25日 | ◆リガク・ホールディングス(268A・東P) | |||||
1260円 | 1205円 (-4.4%) |
1151円 | 21.8倍 (3.45倍) |
1600円 (1000円) |
強気 | |
【分析コメント】理科学機器の専門メーカー。米ファンドのカーライルが大株主で、上場後も4割の株を保有する。株式需給への懸念などで出足は低調だが、今後に期待できる。 | ||||||
28日 | ◆Hmcomm(265A・東G) | |||||
850円 | 1128円 (+32.7%) |
1001円 | 38.8倍 (2.82倍) |
1200円 (750円) |
強気 | |
【分析コメント】「音×AI」を掲げ、コンタクトセンター向けの音声認識サービスや異音検知サービスを提供。前期までの最大顧客が取引終了したが、ほかの顧客向けが伸びている。 | ||||||
29日 | ◆Sapeet(269A・東G) | |||||
1500円 | 2285円 (+52.3%) |
7110円 | ー (6.03倍) |
6500円 (2300円) |
弱気 | |
【分析コメント】東大発AIベンチャー。接骨院や整体師、ジム向けの姿勢分析や接客支援など。売上成長40%超で来期の営業黒字化も期待できるが、株価高騰で反動安に注意。(11月21日追記)11月7日時点で株価は7000円台をつけていたが、11月21日現在は3000円台まで下落し、値動きが非常に激しくなっているため、投資の際は注意が必要だ。 | ||||||
※データは2024年11月7日時点。 |
10月のIPO株の中で、アナリストおすすめの2銘柄を紹介!
「東京メトロ」と「リガク・ホールディングス」に注目!
ここからは、10月のIPO株の中で小林さんが「強気」と診断し、特に注目する2銘柄を深掘りしていこう。
一つ目の銘柄は、ここまでにも紹介してきたように注目度が高い東京地下鉄(東京メトロ・9023)だ。
東京メトロは東京都内で9路線を運営。営業収益の9割超が運輸業で、同業他社と比べるとほかの事業の比率が小さい。ただ、いずれも好採算路線とあって、営業利益率は20%前後と高い。2030年代まで有楽町線・南北線の延伸を計画している。現状、国と東京都が半数の株を保有し、事業戦略への影響が気になるところ。一方で、東京は安定的な人口増加が見込める点が強みだ。投資するなら長期のスタンスを推奨。
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続いて紹介する銘柄は、売出規模が大きかったリガク・ホールディングス(268A)だ。
リガク・ホールディングスはX線を用いた分析装置が主力。複数の製品で高いシェアを持つ。売上のうち海外が約7割を占める。ウェーハ計測装置など、半導体市場向けが伸長し、業績は堅調だ。当面は公開価格の近辺で売りが出やすそうだが、来期以降の成長を織り込みきれていない。半導体市場向けは中国の動向に注意が必要だが、微細化・多層化での活躍に期待。
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※手数料などの情報は定期的に見直しを行っていますが、更新の関係で最新の情報と異なる場合があります。最新情報は各証券会社の公式サイトをご確認ください。売買手数料は、1回の注文が複数の約定に分かれた場合、同一日であれば約定代金を合算し、1回の注文として計算します。投資信託の取扱数は、各証券会社の投資信託の検索機能をもとに計測しており、実際の購入可能本数と異なる場合が場合があります。 |
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