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社会的正義を追求しすぎる「ウォークネス」をイーロン・マスクなどが批判! トランプ新政権が進める「反ウォークネス」の動きはESG投資への強烈な逆風に

2024年11月27日公開
ポール・サイ
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 今回の米大統領選でトランプ前大統領はなぜ当選できたのでしょうか? そこにはいくつかの要因がありますが、表側にはっきり見えるのは経済的な要因です。ただ、それだけでなく、その陰に「反ウォークネス」も重要な要因の1つとして挙げられます。

近年、注目されてきた「ウォークネス(Wokeness)」への批判が高まっている

 近年、「ウォークネス(Wokeness)」という言葉が社会や経済のさまざまな場面で注目されてきました。

 この言葉は、人種差別の撤廃、ジェンダー平等、LGBTQ+の権利、環境保護といった社会的正義を追求する動きを象徴するものです。

 しかし、批判者の間では、ウォークネスが過剰に進むことで、企業や公的組織などが「Woke Mind Virus(覚醒思想ウイルス)」に感染し、現実的な判断や自由な議論が阻害されるという懸念が広がっています。さらに、このような動きが逆差別につながるケースもあると言われます。

 テクノロジー業界のリーダーであるイーロン・マスク氏も、この「Woke Mind Virus」について警鐘を鳴らし、その社会や経済への悪影響を強調しています。

トランプ次期大統領は、ウォークネスや「Woke Mind Virus」を根絶するための具体的な政策を提案している

 ウォークネスは、投資の分野においてESG(環境・社会・ガバナンス)投資と深く結びついています。

 多様性、公平性、持続可能性を掲げる企業はESGスコアが高く評価されます。ウォークネスが撤回されると、ESG投資の人気が低下する可能性が高まります。

 政治や経済のリーダーからも、ウォークネスに対する批判の声が上がっています。

 たとえば、ドナルド・トランプ次期大統領は、ウォークネスや「Woke Mind Virus」を根絶するための具体的な政策を提案しています。

 彼のプランには、政府機関や学術機関で実施されている多様性、公平性、包括性(DEI)政策の撤廃や、「性別」を生物学的に定義し直す新たなルールの導入が含まれています。また、国勢調査で使用される人種や民族の分類を廃止することで、アイデンティティ政治の基盤を解体することを目指しています。

 さらに、公共メディアや博物館などの文化施設においても、ウォークネスの影響を見直す動きがあります。これらの組織で進められている「脱植民地化」や「白人文化批判」といったプログラムは、保守層の反発を招いています。

 このような改革の一環として、トランプ次期大統領はこれらの組織の指導者を保守的な価値観を持つ人物に交代させることを提案しています。

 これらの政策は、ウォークネスを重視する企業にとって試練となる可能性があります。

 特に政府契約に依存する企業やウォークネスに基づいたマーケティング戦略を採用している企業は、規制変更や消費者の反発による業績への悪影響を受けるリスクがあります。

反ウォークネスの流れによって、アメリカシェア№1のビールブランドが見舞われた不買運動

 以前、以下の記事で取り上げましたが、アンハイザー・ブッシュ・インベブ社(米国株式市場でのティッカー:BUD)が見舞われたアメリカシェア№1のビール、バド・ライトの不買運動は、反ウォークネス的な動きの1つの典型例でした。

[参考記事]
アメリカは今、2つの国に分裂している!? カルチャー戦争勃発! アメリカシェア№1ビールの不買運動はなぜ起こった?

アンハイザー・ブッシュ・インベブ(BUD) 週足アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ティッカー:BUD) 週足 出所:TradingView

 その一方、ウォークネスに批判的な立場を取る企業には新たな支持層を獲得するチャンスがあるわけですが、そこには特定の消費者層からボイコットを受けるリスクを伴う可能性もあります。

ESG関連のETFのパフォーマンスは冴えない。投資では業績がイデオロギーより重要だ

 ここで、ESG関連のETFのパフォーマンスを見てみましょう。

 クリーンエネルギーセクターの世界株に投資するiシェアーズ グローバル・クリーンエネルギー ETF(ティッカー:ICLN)は10年で43%のリターンを上げています。

 先進国株式のインデックスに連動するiシェアーズMSCIワールドETF(ティッカー:URTH)のリターンは10年で164%ですから、ICLNのパフォーマンスはそれに大きく劣っていることがわかります。

 やはり、投資では業績がイデオロギーより重要なのです。

iシェアーズ グローバル・クリーンエネルギー ETF(ICLN)月足、iシェアーズMSCIワールドETF(URTH)月足ローソク足…iシェアーズ グローバル・クリーンエネルギー ETF(ICLN)月足、ラインチャート…iシェアーズMSCIワールドETF(URTH)月足 出所:TradingView

トランプ新政権はESG投資にとってさらなる逆風となるだろう

 もし、あなたが投資リターンの最大化をそこまで重視しないということであれば、ESG投資も検討する価値があるかもしれません。しかし、トランプ新政権はESG投資にとってさらなる逆風となるでしょう。

 米国内の文化意識の変化が資金の流れを変え、投資パフォーマンスに影響を与える可能性もあります。これらのことを理解し、適切に対応すれば、それは長期的な投資の成功につながるでしょう。

 

●ポール・サイ  ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。ザイ投資戦略メルマガにて米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。

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