成長する米国&世界に投資する最強のFIRE計画(プロジェクト)

社会的正義を追求しすぎる「ウォークネス」をイーロン・マスクなどが批判! トランプ新政権が進める「反ウォークネス」の動きはESG投資への強烈な逆風に

2024年11月27日公開
ポール・サイ
facebook-share
twitter-icon
このエントリーをはてなブックマークに追加
RSS最新記事

 今回の米大統領選でトランプ前大統領はなぜ当選できたのでしょうか? そこにはいくつかの要因がありますが、表側にはっきり見えるのは経済的な要因です。ただ、それだけでなく、その陰に「反ウォークネス」も重要な要因の1つとして挙げられます。

近年、注目されてきた「ウォークネス(Wokeness)」への批判が高まっている

 近年、「ウォークネス(Wokeness)」という言葉が社会や経済のさまざまな場面で注目されてきました。

 この言葉は、人種差別の撤廃、ジェンダー平等、LGBTQ+の権利、環境保護といった社会的正義を追求する動きを象徴するものです。

 しかし、批判者の間では、ウォークネスが過剰に進むことで、企業や公的組織などが「Woke Mind Virus(覚醒思想ウイルス)」に感染し、現実的な判断や自由な議論が阻害されるという懸念が広がっています。さらに、このような動きが逆差別につながるケースもあると言われます。

 テクノロジー業界のリーダーであるイーロン・マスク氏も、この「Woke Mind Virus」について警鐘を鳴らし、その社会や経済への悪影響を強調しています。

トランプ次期大統領は、ウォークネスや「Woke Mind Virus」を根絶するための具体的な政策を提案している

 ウォークネスは、投資の分野においてESG(環境・社会・ガバナンス)投資と深く結びついています。

 多様性、公平性、持続可能性を掲げる企業はESGスコアが高く評価されます。ウォークネスが撤回されると、ESG投資の人気が低下する可能性が高まります。

 政治や経済のリーダーからも、ウォークネスに対する批判の声が上がっています。

 たとえば、ドナルド・トランプ次期大統領は、ウォークネスや「Woke Mind Virus」を根絶するための具体的な政策を提案しています。

 彼のプランには、政府機関や学術機関で実施されている多様性、公平性、包括性(DEI)政策の撤廃や、「性別」を生物学的に定義し直す新たなルールの導入が含まれています。また、国勢調査で使用される人種や民族の分類を廃止することで、アイデンティティ政治の基盤を解体することを目指しています。

 さらに、公共メディアや博物館などの文化施設においても、ウォークネスの影響を見直す動きがあります。これらの組織で進められている「脱植民地化」や「白人文化批判」といったプログラムは、保守層の反発を招いています。

 このような改革の一環として、トランプ次期大統領はこれらの組織の指導者を保守的な価値観を持つ人物に交代させることを提案しています。

 これらの政策は、ウォークネスを重視する企業にとって試練となる可能性があります。

 特に政府契約に依存する企業やウォークネスに基づいたマーケティング戦略を採用している企業は、規制変更や消費者の反発による業績への悪影響を受けるリスクがあります。

反ウォークネスの流れによって、アメリカシェア№1のビールブランドが見舞われた不買運動

 以前、以下の記事で取り上げましたが、アンハイザー・ブッシュ・インベブ社(米国株式市場でのティッカー:BUD)が見舞われたアメリカシェア№1のビール、バド・ライトの不買運動は、反ウォークネス的な動きの1つの典型例でした。

[参考記事]
アメリカは今、2つの国に分裂している!? カルチャー戦争勃発! アメリカシェア№1ビールの不買運動はなぜ起こった?

アンハイザー・ブッシュ・インベブ(BUD) 週足アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ティッカー:BUD) 週足 出所:TradingView

 その一方、ウォークネスに批判的な立場を取る企業には新たな支持層を獲得するチャンスがあるわけですが、そこには特定の消費者層からボイコットを受けるリスクを伴う可能性もあります。

ESG関連のETFのパフォーマンスは冴えない。投資では業績がイデオロギーより重要だ

 ここで、ESG関連のETFのパフォーマンスを見てみましょう。

 クリーンエネルギーセクターの世界株に投資するiシェアーズ グローバル・クリーンエネルギー ETF(ティッカー:ICLN)は10年で43%のリターンを上げています。

 先進国株式のインデックスに連動するiシェアーズMSCIワールドETF(ティッカー:URTH)のリターンは10年で164%ですから、ICLNのパフォーマンスはそれに大きく劣っていることがわかります。

 やはり、投資では業績がイデオロギーより重要なのです。

iシェアーズ グローバル・クリーンエネルギー ETF(ICLN)月足、iシェアーズMSCIワールドETF(URTH)月足ローソク足…iシェアーズ グローバル・クリーンエネルギー ETF(ICLN)月足、ラインチャート…iシェアーズMSCIワールドETF(URTH)月足 出所:TradingView

トランプ新政権はESG投資にとってさらなる逆風となるだろう

 もし、あなたが投資リターンの最大化をそこまで重視しないということであれば、ESG投資も検討する価値があるかもしれません。しかし、トランプ新政権はESG投資にとってさらなる逆風となるでしょう。

 米国内の文化意識の変化が資金の流れを変え、投資パフォーマンスに影響を与える可能性もあります。これらのことを理解し、適切に対応すれば、それは長期的な投資の成功につながるでしょう。

 

●ポール・サイ  ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。ザイ投資戦略メルマガにて米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。

※メルマガ「ポール・サイの米国株&世界の株に投資しよう!」募集中! 米国株&世界の株分析毎週届き、珠玉のポートフォリオの提示も! 登録から10日以内の解約無料。


ダイヤモンド・ザイ 2025年6月号好評発売中!
【クレジットカード・オブ・ザ・イヤー 2023年版】2人の専門家がおすすめの「最優秀カード」が決定!2021年の最強クレジットカード(全8部門)を公開! 最短翌日!口座開設が早い証券会社は? おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き
ZAiオンライン アクセスランキング
1カ月
1週間
24時間
楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!

大企業で1億円
NISA投信グランプリ
チャート入門

6月号4月21日発売
定価950円(税込)
◆購入はコチラ!

楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!Amazonで購入される方はこちら!

[大企業で10倍株!]
◎第1特集
ソニーやサンリオ、JALなど92銘柄
大企業で10倍株!

●日本が誇る大爆騰株!最強10倍株
●夢を買う!次世代テーマ10倍株
●現実的に狙う!手堅い実力10倍株

●若手アナリスト&編集部員が発掘!
株価10倍になるZ世代株
●株価がすべて200円未満!激安10倍株
●オリエンタルランドや東京エレクトロンは?低迷大型株を売り買い診断

◎第2特集
第3回ダイヤモンド・ザイNISA投信2025
グランプリ宣言!
ザイは毎年、個人投資家目線でNISAで買いの投信を表彰します!

●日本株総合部門
●日本中小型株部門
●米国株部門
●世界株部門
●新興国株部門
●リート部門
●フレッシャー賞
●ダメなモンはダメと言います!期待ハズレな残念投信3本を今年も発表!

◎第3特集
値上げに勝つ!インフレ時代の最強節約術77
●コメの値上がりが家計を直撃!食費のワザ
●省エネで家計を守る!光熱費のワザ

●惰性で払っている固定費を点検!生活費のワザ
●もらえる制度はフル活用!医療&教育費のワザ
●資産40億円の億り人マサニーさんの節約術

【別冊付録】
3回集中講座の第1回!
買い時・売り時がQ&Aでわかる!チャート入門
「チャートのつくりとトレンドの読み方」

◎連載リニューアル!
●プロがこの先1カ月の日本株のポイントを解説&ガチ予測!
●3カ月先を読む「日本株」と「為替」の透視図

◎いつもの連載も充実
●ZAiのザイゼンがチャレンジ!目指せ!お金名人Vol.09
●17億円トレーダー・ジュンのFX成り上がり戦略Vol.04
●10倍株を探せ!IPO株研究所2025年3月編
●おカネの本音!VOL.34 オモロー山下さん
●株入門マンガ恋する株式相場!VOL.102
●マンガどこから来てどこへ行くのか日本国
●人気毎月分配型100本の「分配金」速報データ


>>「最新号蔵出し記事」はこちら!


「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!


>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

【法人カード・オブ・ザ・イヤー2023】 クレジットカードの専門家が選んだ 2023年おすすめ「法人カード」を発表! 「キャッシュレス決済」おすすめ比較 太田忠の日本株「中・小型株」アナリスト&ファンドマネジャーとして活躍。「勝つ」ための日本株ポートフォリオの作り方を提案する株式メルマガ&サロン

ダイヤモンド不動産研究所のお役立ち情報

ザイFX!のお役立ち情報

ダイヤモンドZAiオンラインαのお役立ち情報