トランプが大統領になるとボラティリティが発生し、その中で投資機会が生まれる!
2024年11月19日(火)、米国・シアトルからメルマガ&オンラインサロン「ポール・サイの米国株&世界の株に投資しよう!」で情報配信をしている元フィデリティ投信トップアナリストのポール・サイさんが、ストックボイス社が手掛ける経済・マーケット番組「WORLD MARKETZ」(TOKYO MX 月~金 22時~23時)に生出演した。
今回の放送では、とある用事で来日したポールさんが、メルマガ内でウェブセミナーを初開催した様子を報告。トランプはインフレを直すと約束して大統領になったのに、実はインフレは解決しなさそうで、市場のお金の流れが変わりつつあるほか、トランプ政権下で発生するボラティリティが投資機会を生むそうなので、さっそくチェックしていこう。
ポールさんのメルマガでウェブセミナーを初開催! その様子は?
番組は、シアトル在住のポールさんが今回、神戸にいることをアシスタントの木村カレンさんが紹介するところから始まった。
ポールさんが神戸にいるのはなぜか。それは、ポールさんが入会している「ロータリークラブ」に関係している。
ロータリークラブとは、経営者や役員のほか、医者や弁護士といった専門職従事者のうち、奉仕、職業倫理、友好を重視する人として選ばれた代表が、各地域で形成する団体のこと。ロータリークラブの連合体が「国際ロータリー」と称されるのだが、ポールさんはシアトルロータリークラブの会員なのだ。
シアトル市と神戸市は姉妹都市であり、シアトルロータリークラブと神戸ロータリークラブも姉妹クラブだそうで、神戸ロータリークラブの100周年記念パーティーに、シアトルロータリークラブの代表のひとりとして参加するため、ポールさんは神戸に来たのだった。
そんなポールさんは番組放送前日の11月18日(月)、メルマガ&オンラインサロン「ポール・サイの米国株&世界の株に投資しよう!」で初開催したウェブセミナーを東京から配信した。
番組MCの渡部一実さんが、ウェブセミナーはどんな雰囲気だったか聞くと、トランプ新政権下での投資の考え方やポートフォリオの構成のやり方を話し、いくつか質問も受けたとポールさん。セミナーの様子が気になる方は、以下の1分動画を確認してみてほしい。
「セミナーが比較的うまくいったので、これから月1回のペースでシアトルからやろうかな」と語るポールさんだった。
トランプが大統領選で勝利し、上下院も共和党に。インフレ問題は解決せず、米ドル高が進んだり、新興市場へ資金流入しなくなるシナリオに
続いては、トランプが大統領選で勝利し、上下院も共和党が制した話題に。
これについてポールさんは「民主党にとってかなり大きな失敗だった」とコメント。大統領選では「分割票」といって、米大統領と議会が別の党になることが多いけれど、今回はトランプが大統領、議会が共和党となり、民主党に対する相当な不満や否定が表れた結果になったようだ。
すると、渡部さんが「トランプが公約どおり、来年1月から法人減税と輸入関税引き上げをすると、今の段階でどんな影響が考えられますか?」と質問した。
ポールさんはまず、トランプが大統領選で勝った要因から整理し始めた。
民主党のもとではインフレが高すぎ、日用品の値段が上がったことへの不満が労働階級を中心に広がっていて、トランプだとそれが直ると約束したから、トランプは勝利できたそう。
ただ、トランプ政権の法人減税や輸入関税引き上げ、違法移民の強制送還などはすべてインフレにつながるような政策であり、実際はインフレになって問題は解決しないとポールさんは考えている。
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市場も同様の見方で、中長期の金利がやや上昇気味。パウエルFRB議長も「金利引き下げを急がない」とコメントしたことで、金利引き下げの見込みが後退し、金利は少し上がるという見方が優勢のようだ。
そうすると、マクロ的な織り込みが大きくなって、米ドル高が進んだり、アメリカの金利低下で新興市場にお金が流れると思われていたシナリオが変わってくるのだという。
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ワクチン懐疑派のRFKが保健福祉長官になるとの報道で、医薬品株が下がったが、効く薬は結局売れるため、下がったところはピックアップ
もっとも、大統領の権限にはさまざまな制限があり、誰が大統領になっても独裁的なものにはならないため、株価の方向性も大きく変わるわけではなく、方向性が調整される程度なのだそう。
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例えば、トランプが大統領になったからAI自体が良くなったり、悪くなるわけではないけれど、民主党だとテクノロジー産業を規制したり、グーグルを分離させる話が出て、トランプではそれがないほか、AIの開発・発展を規制せず、自動運転の規制緩和をするなど、テクノロジーセクターにとってはプラスのようだ。
ここで渡部さんが「イーライリリーなどヘルスケアや医薬品が売られているのは、ワクチン懐疑派のRFKジュニア(ロバート・フランシス・ケネディ・ジュニア)が保健福祉長官になると報じられているからですよね。これは一過性ですか?」と投げかけた。
ポールさん曰く、RFKはワクチンを禁止するのではなく、ワクチンは自閉症につながる懸念があると主張しており、それが科学的に証明されていないため、RFKはおかしいと思われているのだそう。
ただ、RFKの中心的な考え方は、アメリカ人の食生活があまりに悪く、人口の7割が肥満だから、やせ薬に頼るのではなく、ヘルシーな食べ物を食べるようにする必要があるということ。また、加工食品を食べすぎたり、ヨーロッパで禁止されている添加物を平気で食べるところも直さなければならないと考えていて、そこはある意味合理的なようだ。
RFKが保健福祉長官になるだけで、ヘルスケアがずっとダメなわけではないし、RFKが保健福祉長官になると決まっていない点も要注意だけれど、効く薬は結局売れるため、下がり過ぎたところでピックアップしてもいいとのこと。
このようなボラティリティは、トランプが大統領になると発生し、その中で投資機会は生まれるとポールさんは教えてくれた。
日本人は日本に住んでいるだけで日本に投資している。世界の国民として世界に投資したほうがいい
次は中国や地政学リスクの話題に。
トランプが中国からの輸入関税を引き上げると、中国経済や中国株に影響がありそうなことについて、ポールさんの見方を渡部さんが聞いた。
ポールさんは中国とアメリカの違いについて、習近平政権が何かやろうとすると、政府が一気に動いてパッと変わることがある点を挙げた。
トランプが輸入関税を引き上げる問題への対策として、習近平政権が刺激策を講じると、長期的には続かなくても中期、短期では株価に効いてくるし、特にテクノロジー関係の株は、強みがあって割安になり過ぎているため、回復する可能性があるようだ。
また、ウクライナ戦争の決着の仕方によって、台湾や中国、アジアの動きが変わってくるため、そのあたりも要注目とのこと。
ウクライナ戦争はトランプが大統領になったからといって、急に終わるような単純な話ではないとポールさん。
ただ、戦争が2年以上続いていて、ウクライナもロシアも疲れている状態であり、交渉を持ち掛けたい可能性もあることを考えると、大統領が変わったことが状況を整理するきっかけになるかもしれないそう。
もっとも、ウクライナが大きく負けたとなると、トランプが弱い人と見られ、それをトランプは一番嫌がるため、そのような状況でなければ、対話もある程度できるのではとポールさんは語った。
これを受けて渡部さんが「紛争が起きてくると、一番安全な国はアメリカになるので、アメリカの資産を持っておいたほうがいいんですよね?」と確認した。
ポールさんは「日本は台湾に近いため、地政学リスクはある」とコメント。日本人は日本に住んでいるだけで日本に投資していることになり、日本がうまくいくといいけれど、うまくいかないときはアメリカや他の国に資産を分散しなければならないそう。
特に、今年の日本は政治のところで自民党がパワーダウンしたため、来年半ば以降、政治的に麻痺する恐れもあり、それを根本的に解決するような政策も出そうにないことを考えると、世界の国民として世界に投資したほうがいいとのことだった。
ここまで、11月19日(火)放送の「WORLD MARKETZ」に出演した、ポールさんのマーケット解説を中心にお届けした。
冒頭でも紹介したとおり、ポールさんはメルマガ&オンラインサロン「ポール・サイの米国株&世界の株に投資しよう!」で情報配信をしている。登録後10日間は無料だ。米国株投資をしてみたい、すでにしているけどもっと現地からの情報が欲しい、ポールさんが推奨する個別銘柄やポートフォリオ(直近2年で100%近い上昇)を見てみたいという人は、こちらをぜひ登録してみてほしい。また、ウェブセミナーの毎月開催も予定しているので、こちらも注目だ。
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