集中投資は多くの投資家にとって魅力的であると同時に、リスクも伴う戦略です。
先週、私は友人であるマットと昼食を共にしました。彼は大手の金融アドバイザリー会社で働く金融アドバイザーで、主に高額所得者の資産を管理しています。彼との会話の中で、大きな財産を築いた人の多くに見られる共通点として、集中投資があると再認識しました。
今回は集中投資の利点と欠点について、マットの語っていたストーリーを基に考察していきたいと思います。
集中投資のメリットは、うまくいけば大きなリターンが得られること
集中投資の大きなメリットは、そのリターンの可能性です。
マットが語ったように、多くの富裕層はビットコインや自分の事業といった、特定の資産に集中することで、大きな財産を築きました。一点集中することで、その資産が急成長した場合には、大きなリターンを得ることができます。
また、成功したビジネスオーナーは、自分の専門分野やスキルを最大限に活かすことで、他者よりも有利なポジションを取ることができます。
集中投資には資産を大きく減らしてしまうリスクがある
しかし、集中投資には明らかなリスクも存在します。
1つの資産に大きく依存することで、その投資が失敗した場合、資産全体を大きく減らすことになったり、下手すれば資産が完全に失われる可能性もあります。
たとえば、ビットコインに全財産を集中させた投資家は、価格の急激な変動によって大きな損失を被ることがあり得ます。このリスクは、特に市場のボラティリティが高い資産で顕著です。
興味深いことに、マットは富を築いた人々が、富を築いたあとには分散投資を求める傾向にあると言います。
リスク管理がしやすい、資産を3つのバケットに分けるやり方とは?
彼は資産を次の3つのバケットに分けることをアドバイスしています。
・基本生活費
・ライフスタイルを豊かにするためや慈善活動をするための資金
・遺産
このフレームワークにより、必要不可欠な生活費を守りながら、リスクを取れる部分を明確に区別することが可能となります。
このアプローチの優れた点は、リスク管理がしやすいことです。
たとえば、生活費のバケットは非常に保守的に管理する一方で、ライフスタイルや慈善活動のバケットは比較的リスクの高い資産に投資できます。このように、資産を用途ごとに区分けすることで、心理的な安心感も得られます。
集中投資と分散投資にはそれぞれ役割がある。投資家は自分のステージを見極めながら、適切なバランスを見つけるべき
集中投資は大きな富を築くための有力な手段ですが、それは万人に適したものとは言えません。
一般の投資家にとっては、分散投資によってリスクを軽減し、安定したリターンを目指すことが、長期的に見て有効な戦略となるでしょう。
その一方、大きなリターンを目指したいという場合には、自身の知識や経験に基づいた集中投資を検討する価値があります。最終的に重要なのは、自分自身のリスク許容度や目標に合った戦略を選ぶことです。
マットが話していたように、集中投資と分散投資には、それぞれ役割があります。
投資家は、自分がどのステージにいるかを見極めながら、適切なバランスを見つけるべきです。ポートフォリオ管理において、「バケット」という考え方は、リスクとリターンを合理的に調整するための優れたフレームワークとして活用できるでしょう。
ちなみに、私が配信するメルマガで推奨しているポートフォリオは、基本的には米国株を中心とした世界株への分散投資ですが、一般的な投資信託よりも銘柄の集中度は高くなっています。そして、これまでS&P500指数を大きく上回るパフォーマンスを上げてきました。
[参考記事]
●2023年、60%近いリターンを叩き出したポール・サイ氏が語る2024年相場見通し。ポートフォリオに必ず米国株を入れるべき理由とは?
●ポール・サイ ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガ(米国株&世界の株に投資しよう)を配信中。
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