暗号資産(仮想通貨)を強く推す姿勢を示すトランプ氏の米大統領選勝利で、暗号資産相場が急上昇
かつては暗号資産(仮想通貨)を悪徳商法扱いしていたトランプ氏ですが、今年(2024年)8月に「米国を地球上の暗号資産の中心地にする」といったメッセージを発信し、暗号資産を強く推す姿勢を示し始めました。
そのため、米大統領選でトランプ氏の勝利が見えてきたあたりから、ビットコイン(BTC)をはじめとした暗号資産相場は急上昇し、現在、注目を集めています。
そこで、今回は今年(2024年)、フィラデルフィア連邦準備銀行が発表した暗号資産に関する研究の内容をご紹介したいと思います。そこには、株式投資の参考になる内容も含まれています。
暗号資産市場では、長期投資が短期投資よりも成功しやすい。また、大口投資家は小口投資家よりも利益を上げやすい
暗号資産市場では、長期投資が短期投資よりも成功しやすいとされています。
フィラデルフィア連銀の調査では、特にイーサリアム(ETH)の市場でその傾向が顕著であり、また、大口投資家(クジラ)が小口投資家(小魚)より利益を上げやすいことも明らかにされています。
この研究は、大口投資家の行動が市場の価格変動にどのように影響を与えるかを詳細に分析しており、暗号資産市場の構造的な特性を浮き彫りにしました。
同研究によると、大口投資家は価格上昇前に保有量を増やす一方、小口投資家は価格上昇の兆候を見て保有量を減らす傾向があるとのことです。
この行動の違いにより、大口投資家は安定したリターンを得やすく、小口投資家は利益を逃しやすい構造が見られるのです。これには、投資家が市場の変化にどれだけ迅速に対応できるか、また市場の動きをどれだけ正確に予測できるかが大きく影響しています。
統計的な分析では、100万ドル以上のイーサリアムを保有する投資家が保有量を1%増加させると翌日のリターンが0.6263%上昇する一方、1万ドル未満のイーサリアム保有者が保有量を1%増加させると翌日のリターンが1.8223%減少するという結果が示されました。
このデータから、大口投資家は市場の流れを的確に読んで戦略的に行動していることがわかります。一方、小口投資家は、感情に左右されて取引したり、情報が入るのが遅いことから、不利な状況に陥りやすいのです。
小口投資家の取引活動は市場のボラティリティを上げやすいが、大口投資家はこれを逆手に取って利益を上げている
さらに、小口投資家は感情的に頻繁な売買を行う傾向があり、それが手数料や取引コストを増加させ、最終的な利益を削っています。
また、小口投資家の取引活動が市場のボラティリティを上げやすいという点も指摘されています。
一方、大口投資家はこのボラティリティを逆手に取り、さらに利益を上げているのです。こうした市場の構造的な不均衡が、大口投資家と小口投資家の利益格差を広げています。
FTXの経営破綻時など市場の混乱期も、大口投資家はうまく立ち回る一方、小口投資家は損失を被る傾向が強かった
2022年の暗号資産取引所FTXの経営破綻時など、市場の混乱期においても、大口投資家は価格急落前に売却し、価格が上昇し始めると再度購入するというふうに、うまく立ち回りました。
このような行動は、市場の動きを深く理解し、冷静に判断を下せる大口投資家の特長を示しています。
これに対し、小口投資家は混乱に巻き込まれ、損失を被る傾向が強かったとされています。このように、市場イベントが投資家間の格差を広げる要因となることも明らかにされました。
[FTX破綻に関する参考記事]
●FTXが巨額の顧客資産を流用したあげく破綻! 情報格差によって、多くの人が騙された。金融の情報格差はどうやって埋めればいい?
ビットコイン市場では、上位1000のビットコイン保有者が全体の大部分を支配している
ビットコイン市場でも同様の傾向が見られます。
ビットコインの保有は一部の大口投資家に集中しており、彼らは長期的な視点で市場を利用しています。その一方、小口投資家は短期的な利益を追求し、結果的に損失を出しやすい傾向があります。
最新のデータでは、上位1000のビットコイン保有者が全体の大部分を支配していることが示されています。こうしたことから、大口投資家は市場に大きな影響を与えつつ、利益を最大化できるのです。
これらのデータは、長期的な資産保有が市場の動きを活かして利益を最大化できることを示しています。頻繁な取引を避け、ボラティリティに惑わされず、計画的に資産を保有することが成功の鍵となるのです。
特に、大口投資家が実践する戦略的な行動は、長期的な投資の有効性を裏付けています。ブロックチェーンはデータを分析しやすいので、こういった特性がよくわかるのです。
個人投資家は長期的な視野に立って、暗号資産の運用を行った方がいい。それは株式投資でも同様
暗号資産市場で成功を目指す個人投資家は、この戦略から学び、長期的な視野に立って、暗号資産の運用を行うべきでしょう。
また、株式投資も同じように、長期的な視点に立つ方が利益を上げやすいのではないかと思います。こうした情報もメルマガでは配信しています。
●ポール・サイ ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。
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