・FOMCはハト派的も関税懸念を拭えず日経平均は続落…
・配当増額ランキング! 株価好調の銀行株や株主還元を拡充した銘柄も
・IPO動向と予定を確認、JX金属やジグザグなど!
【1】今日の株式相場早わかり!
FOMC後も日米株の方向感は定まらず
日経平均株価は続落! 19日の米国市場で主要株価指数は上昇。注目の連邦公開市場委員会(FOMC)で連邦準備理事会(FRB)はこの先の見通しについて、経済成長率を引き下げた一方、インフレ予想は引き上げた。ただ、年内2回の利下げ予想は維持したほか、国債などの保有資産を減らす量的引き締め(QT)のペースを縮小。想定以上にハト派的との見方から株価は上昇した。一方、20日の株価は反落。予想を上回る経済指標を受けて一時は上昇したが、4月2日に迫るトランプ政権による相互関税の詳細発表を前に先行き不透明感が重石になった。祝日明けの日経平均株価は下落スタートもすぐに上昇に転じると、しばらく堅調に推移したが、終盤にかけては再び下落。FOMC後の方向感の定まらない米国株の動向を引き継ぐ形となった。
2月の全国消費者物価指数(CPI)が予想を上回ったことを背景に日銀の追加利上げ観測が高まり、三菱UFJフィナンシャル・グループが連日で上場来高値を更新。米半導体設計会社の買収を発表したソフトバンクグループも買われた。
【日経平均】37677.06円↓(-74.82円)
【グロース250】667.10→(+0.29)
【NYダウ】41953.32ドル→(-11.31ドル、20日)
【ナスダック】17691.626↓(-59.164、20日)
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
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【2】今日の注目株!
配当増額ランキング、株主還元拡充も!
今日は直近、配当予想を増額した企業を確認しよう。株式相場は徐々に落ち着きを取り戻しているが、依然として不透明感は強い。こんな時こそ配当予想を増額した先行きに期待できそうな企業に注目してみたい。

南都銀行は株主還元方針を変更。配当性向を従来の30%から40%へと引き上げ、自社株買いは「機動的に実施」と拡充した。力強い賃上げと物価の上振れ傾向を背景に日銀の追加利上げ観測は根強く、利ザヤ改善などの恩恵が期待できる銀行株の上昇が続いている。表外ではあるが、東邦銀行や東京きらぼしフィナンシャルグループも業績予想の上方修正とともに配当増額を発表し、株価は好調だ。27日(木)の権利付き最終売買日を通過した後の上昇一服や、米国景気の動向などは気がかりだが、政策保有株の売却や国債投資の環境改善など好材料の多い銀行株は今後も注目を集めそうだ。
半導体等装置部品会社のフェローテックホールディングスも株主還元方針を拡充。新たにDOE(株主資本配当率)を採用し下限を3.5%に設定。総還元性向目標は30%から50%へと引き上げた。3月に入ってからは、旧村上ファンド系とされる投資会社シティインデックスイレブンスの大量保有が判明しており、さらなる還元拡充などへの思惑も高まる。半導体関連では芝浦メカトロニクスも、生成AIの需要増を背景に業績上方修正と合わせて配当増額を発表している。
中国電力は一過性要因もあったが、経営効率化や送配電事業の好調を背景に業績予想と配当予想を増額修正。財務が改善するまでは配当性向10%を維持する予定だが、足元では自己資本比率が目安の15%を超えてきており、通期決算時に配当性向の引き上げが発表される可能性がある。東映は業績見通しを勘案して配当増額も、普通配当でなく特別配当での引き上げのため、持続性を見極めたい。
■南都銀行株価チャート/日足・6カ月
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【3】金曜連載「ザイアナリスト小林大純『IPO株ココだけの話』」
JX金属は順調な滑り出しも、その他は伸び悩み?
19日に大型IPO(新規株式公開)として注目されたJX金属が上場したので、今週の結果を確認しておこう。また、下表には発表済みの4月IPO予定も掲載した。
JX金属の公開価格は820円。売出規模は4386億円となり、昨年10月の東京地下鉄(東京メトロ、3486億円)を上回り、2018年のソフトバンク(2兆6461億円)以来の大型IPOだった。公開株の多い大型IPOは上場時に一定の換金売りが出るものの、同社は公開価格を2.8%上回る843円で初値を付け、その後の株価も上昇。順調な滑り出しと言っていいだろう。
同社の詳細については、以前に案内した記事*をあわせて見てほしい。上場前には「非鉄金属株としては株価が割高」といった見方もあったが、徐々に「半導体材料株」との認識が浸透しつつあるのだろう。2024年5月に公表した「中長期の事業戦略および事業目標について」に掲げる事業シフトや利益成長が着実に進むようなら、もう一段の株価上昇の余地もあると考えられる。5月中旬に発表予定の本決算を含め、同社の情報発信に注目だ。
その他の今週のIPOでは、公募・売出規模10億円台のTalentXこそ堅調な初値を付けたが、20~30億円程度あったメディックスやミークは伸び悩んだ印象。投資家の関心がJX金属に向いた影響もありそうだが、IPO株に対する投資意欲が後退していないか注視する必要があるだろう。
来週はダイナミックマッププラットフォームなど6社、再来週はジグザグが上場予定のため、2月21日号や2月28日号でチェックしてほしい。また、4月のIPOはIACEトラベルとデジタルグリッドが発表されている。デジタルグリッドは電力取引市場を運営し、大企業から出資を受けるなど注目されそうだが、公募・売出規模が90~100億円とやや大きくなる見込み。まさにIPO株に対する投資意欲が問われそうだ。
*「JX金属」のIPOは買い!? 初値予想を「820円前後」に引き下げた理由や公開価格、PER・PBRなどの指標、配当利回り、購入申込期間など注目の超大型IPOを解説!

小林大純
ダイヤモンド・ザイ アナリスト
早稲田大学法学部卒、早稲田大学大学院ファイナンス研究科(現経営管理研究科)修了(MBA)。金融情報サービス会社などを経て現職。日本株アナリストとして各種メディアで活動中。
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