・日経平均は3日続落…米関税懸念と配当・優待狙いの買いが交錯
・NEC・KDDIなど3月末基準で株式分割を実施し、買いやすくなる銘柄を点検!
・今週の予定は米PMIやPCEなど…米経済や為替に注意?
【1】今日の株式相場早わかり!
米関税懸念は根強いが、配当・優待狙いの買いが支え
日経平均株価は3日続落! 21日の米国市場では主要株価指数がそろって反発した。前の日に決算発表したナイキや物流のフェデックス、半導体のマイクロン・テクノロジーが大幅安となり、NYダウも一時500ドル超の下落。しかし、4月2日に導入を予定している「相互関税」について、トランプ大統領が「柔軟性がある」などと述べたことで、関税政策に対する懸念が和らいだようだ。米株高の流れを引き継ぎ、今日の日経平均株価も160円あまり上昇してスタートしたが、寄り付きをこの日の高値に失速。先週末の終値を挟みもみ合う場面が多かった。引き続き米関税政策をめぐる不透明感が相場の重石となる一方、配当や株主優待を狙った買いが支えとなったが、この日の安値で取引を終えた。
売買代金上位は高安まちまちで、フジクラなどが堅調、三菱重工業などが軟調だった。3月末の権利付き最終売買日は今週27日となるが、新年度相場の行方を占う上で注目の経済指標の発表なども控える。コラムコーナーで予定をしっかり確認しておこう。
【日経平均】37608.49円→(-68.57円)
【グロース250】665.57↓(-1.53)
【NYダウ】41985.35ドル→(+32.03ドル、21日)
【ナスダック】17784.051↑(+92.425、21日)
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
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【2】今日の注目株!
NEC・KDDI・味の素などが3月末基準で株式分割!
3月末を基準日として、48社が最低投資額の引き下げにつながる株式分割を実施する予定だ。権利付き最終売買日は今週27日で、翌28日から株式分割後の株価で取引が始まる。2025年になっても、個人株主の裾野拡大を狙った株式分割は多いようだ。従来は最低投資額が高く、投資を見送らざるを得なかった銘柄も、株式分割で手が届くようになるかもしれない。昨年は三菱重工業、日立製作所といった有力企業の株式分割が大変注目されたが、今回の顔ぶれも要チェックだ。

KDDIは1→2株、第一生命ホールディングスは1→4株、NECは1→5株、味の素は1→2株の分割を実施。三菱重工のように、分割後も息の長い株価上昇が期待されるのはNECだ。現在の最低投資額は150万円超とやや高額だが、株式分割後は30万円台まで下がる見込み。DX(デジタルトランスフォーメーション)支援サービス「ブルーステラ」が高い伸びを示すITサービスや、国内外の予算拡大で注目される防衛関連がけん引役となり、直近決算の好調ぶりが光る(1月31日号参照)。
KDDIや味の素は株主優待の人気が高い(3月10日号などを参照)。味の素は今回の株式分割に伴って優待制度を変更し、分割後100株の保有でも500円相当のグループ製品または寄附が受け取れる(半年以上の継続保有が条件)。一方、KDDIは分割後200株(かつ保有1年以上)からが対象となるが、たびたび制度見直しを行うなど優待に積極的な印象で、今後の動向に注目したい。また、KDDIと同様に優待への積極姿勢が感じられるのは第一生命HDだ。
配当利回りが高い銘柄では野村不動産ホールディングス、成長期待が高い銘柄ではリゾートトラストや表外のGENDA(1→2株)などがある。最低投資額の引き下げで購入を検討してみるのもよいだろう。
(ザイアナリスト 小林大純)
■NEC株価チャート/日足・6カ月
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【3】月曜連載「ザイアナリスト仲村幸浩『今週の焦点』」
米景気&為替の動向に注意、PMIやPCEに注目
先週の日経平均株価は+623.96円(+1.68%)。円高一服などから戻りを試す展開となった。一方、日銀の金融政策決定会合は無風通過、米連邦公開市場委員会(FOMC)はややハト派的な結果となったものの、米関税政策などを巡る先行き不透明感が上値を抑えた。
米国では24日(月)にS&Pグローバルによる3月の購買担当者景気指数(PMI)(速報値)が発表される。2月サービス業PMI(速報値)は景況感の拡大・縮小の境界線である50を割り込んだ(確報値は51.0)。再び50割れとなれば、景気後退懸念が強まりそうだ。25日(火)のコンファレンスボード(CB)の3月消費者信頼感指数、週末の2月個人消費支出(PCE)も要注目。先んじて発表されたミシガン大学消費者調査では、一段の消費者心理の悪化と期待インフレ率の上昇が確認された。CBで同様の内容が確認されれば、スタグフレーション(景気悪化とインフレの同時進行)懸念が強まりそうだ。PCEでも消費の下振れが確認された場合、リスク回避の動きに拍車がかかることが予想される。
国内では、週末に日銀金融政策決定会合「主な意見」(3月18~19日開催)、3月東京都区部消費者物価指数(CPI)が発表される。CPIが上振れれば、日銀の追加利上げ観測がさらに高まりそうだ。また年度末にさしかかり、国内企業が海外で稼いだ外貨を円に転換する動きが増える可能性が指摘されている。米経済指標の下振れや日銀の追加利上げ観測と合わせて円高リスクには注意したい。
一方、日本株は27日(木)の権利付き最終売買日に向けた権利取りの動きや、指数連動型ファンドによる配当再投資など、株式需給(売りと買いのバランス)面からの下支えに期待。ただし、4月2日に迫るトランプ米政権の相互関税に関する詳細発表を前に引き続き上値は重そうだ。
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仲村幸浩
ダイヤモンド・ザイ アナリスト
立教大学経済学部卒業。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。証券会社や金融情報サービス会社を経て2023年10月より現職。マーケットアナリストとして各種メディアで活動中。
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