・日経平均は反発、賃金の伸びで長期金利は2008年以来の高水準に
・今日は人気の通信各社、少額投資&高利回りなど3月の株主優待に注目
・今週の予定では米経済を占う重要指標をチェック
【1】今日の株式相場早わかり!
反発、パウエル氏「米経済は堅調」日本は賃金増
日経平均株価は反発! 7日の米国市場では主要株価指数がそろって反発した。2月の雇用統計で、非農業部門雇用者数の伸びが前月比+15.1万人と市場予想を下回ったほか、失業率も4.1%に上昇。ただ、パウエル連邦準備理事会(FRB)議長が「足元の米経済は堅調」という認識を示し、景気悪化への懸念が和らいだようだ。今日の日経平均株価も朝方こそ下落する場面があったが、前場の取引終了にかけて一時3万7113.48円(+226.31円)まで上昇した。レーザーテックが大幅高になるなど、半導体関連株の一角に買いが入ったが、三菱重工業やIHIといった防衛関連株は軟調だった。
今朝発表された1月の毎月勤労統計で、物価変動を考慮した実質賃金は-1.8%と3カ月ぶりのマイナスになった。ただ、所定内給与(基本給)が+3.1%と32年3カ月ぶりの高い伸びを見せ、日銀の追加利上げ観測を後押し。長期金利(10年物国債利回り)は1.575%と2008年10月以来の水準に上昇した。今週の経済指標の焦点はコラムコーナーでも確認しておこう。
【日経平均】37028.27円↑(+141.10円)
【グロース250】638.98↑↑(+7.97)
【NYダウ】42801.72ドル↑(+222.64ドル、7日)
【ナスダック】18196.221↑(+126.966、7日)
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
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【2】今日の注目株!
人気が高い通信各社など…注目の3月株主優待は?
今日は3月に実施される人気の株主優待を確認しよう。決算期末を迎える企業が多い3月は優待も豊富だ。昨今は資本政策の一環として優待を活用する企業が増え、今月3日にはトヨタ自動車が優待制度を導入すると発表。また、制度変更の動きも多いため、新たに狙い目の優待が見つかるかもしれない。それに、株式相場はなお不安定感な展開が続いているため、3月末にかけて相場急落で優待株の買いチャンスが到来する可能性もありそうだ。

人気の高さが目立つのは通信各社。NTTは2年以上3年未満保有した際にdポイント1500pt、5年以上6年未満保有した際に3000ptがもらえる。辛抱強く保有する必要はあるが、1万円台の投資で優待が利用できるのはうれしい。KDDIは今年から優待内容を大きく変更し、Pontaポイント、ローソン/成城石井商品詰め合わせセット、寄附から1つ選択する形となった(1年以上の保有が条件、通常2000円相当だが5年以上保有なら3000円相当)。ローソンへの経営参画で早々にラインナップを変更するなど、優待に積極的な印象を受ける。
表外だがソフトバンクも要チェックだ。2026年3月末の初回優待(PayPayポイント1000pt)をもらうため、2025年3月末から株を保有する必要がある。投資額が2万円台と少なくてすむ上、優待+配当利回りが9%近くあり、早くも注目を集めているようだ。
少額投資&高めの利回りなら家電のヤマダホールディングス、様々なコースから選びたいならゆうちょ銀行、東京在住なら東京地下鉄(東京メトロ)も有用。ただし、ゆうちょが株式の売出しを実施している点や、各社の必要株数には注意しておこう。
なお、権利確定日が3月末の株主優待の権利付き最終売買日は27日となる。優待が欲しい投資家はこの日の取引終了までに購入しよう。
(ザイ優待アナリスト 小林大純)
■NTT株価チャート/日足・6カ月
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【3】月曜連載「ザイアナリスト仲村幸浩『今週の焦点』」
米国景気と為替に注目、相場の急変動に要注意
先週の日経平均株価は-268.33円(-0.72%)。週を通してトランプ米大統領の関税政策を巡る発言に振り回された。また、低調な経済指標を受けた米国の景気後退懸念や日銀の追加利上げ観測を背景とした為替の円高進行、中国に対する半導体販売規制に関する報道なども重石になり、半導体株を中心に主力株が幅広く売られた。
米国で物価高と景気後退が併存するスタグフレーションへの懸念が高まっている中、週末に発表される3月のミシガン大学消費者調査に注目したい。前回に続き、さらなる消費者センチメント(心理)の悪化と期待インフレ率の上昇が確認された場合にはスタグフレーション懸念を一段と強めることが予想される。また、週後半にかけて発表される2月の消費者物価指数(CPI)および卸売物価指数(PPI)が上振れた場合も、リスク回避の動きに拍車がかかりそうだ。さらに、堅調とされてきた雇用関連の指標にも徐々に黄色信号がともってきているため、1月の雇用動態調査(JOLTS)求人件数(11日)も要注目だ。
国内では、1月の毎月勤労統計調査(10日)と春闘集中回答日(12日)が重要となる。力強い賃上げが確認されれば、日銀の追加利上げ観測がさらに強まり、為替の円高が一段と進行する恐れがある。この場合、上述した米国の経済指標の低調な結果が重なれば円高スピードが加速し、とりわけ日本株に強い売りが広がりそうだ。奇しくも、週末には株価指数先物・オプション3月物の特別清算指数算出(メジャーSQ)を控える。需給(売りと買いのバランス)主導で相場の変動率が高まりやすい環境下であることにも注意しておきたい。一方、来週に日米の金融政策イベントを控えているため、経済指標が無難な結果に終われば、重要イベントを前に持ち高調整の買いが入りそうだ。
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仲村幸浩
ダイヤモンド・ザイ アナリスト
立教大学経済学部卒業。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。証券会社や金融情報サービス会社を経て2023年10月より現職。マーケットアナリストとして各種メディアで活動中。
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