・任天堂など値がさ株の上昇や円安により日経平均は1カ月ぶりに3万8000円回復!
・ゲームや「推し活」など株価好調な銘柄が多いIP・エンタメ系企業を確認
・投資の疑問は「株主還元との向き合い方」
【1】今日の株式相場早わかり!
1カ月ぶりに終値は3万8000円台
日経平均株価は続伸! 26日の米国市場で主要株価指数は小幅ながらそろって上昇。トランプ政権の関税政策を巡る過度な警戒感は後退したが、コンファレンスボードの3月消費者信頼感指数が予想以上に低下したことが重石になった。一方、金利低下を受けてハイテク株の一角が買われた。米株高を引き継いで日経平均株価は320円あまり上昇してスタート。ただ、4月2日に発表を予定している相互関税に関してトランプ米大統領の「あまりにも多くの例外は望まない」などの発言が伝わると、上げ幅を100円未満に縮める場面も見られた。一方、値がさ株を中心に買いが入ったほか、再び150円台に乗せた円安・ドル高なども追い風に午後は盛り返し、日経平均株価は1カ月ぶりに3万8000円台で取引を終えた。
ファーストリテイリングやソフトバンクグループなどの主力株が上昇したほか、証券会社による「買い」投資判断の付与を受けて任天堂が大幅高となった。なお、明日は3月末の権利付き最終売買日。配当や株主優待が欲しい人は明日までに買い付けを済ませておこう。
【日経平均】38027.29円↑(+246.75円)
【グロース250】673.70↑(+1.98)
【NYダウ】42587.50ドル→(+4.18ドル、25日)
【ナスダック】18271.855↑(+83.262、25日)
■日経平均株価チャート/日足・6カ月
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【2】今日の注目株!
業績・株価好調のエンタメ、エムアップやアルファポリス
株式市場には依然として先行き不透明感がくすぶるが、こうした中でもゲームやアニメといったIP(知的財産)・エンタメ系事業を展開する企業の株価は好調だ。外部環境の影響を受けにくいという理由もあるが、日本が誇るエンタメビジネスの成長力の高さゆえとも言える。そこで今回は、日経平均株価が軟調だった期間に特に株価が好調だったエンタメ企業を確認してみよう。

1位はエムアップホールディングス。ファンクラブ/サイトの制作・運営から電子チケット販売、EC事業などを行う。最近何かと話題の「推し活」は一昔前の「オタク」とは違い、性別問わず幅広い世代で当たり前のように聞かれる。生活費を削ってでも「推し活」に使うお金は減らさないという声も多く、「推し活」ビジネスは成長性だけでなく耐久性でも優れていそうだ。最高益更新が続いているが、所属アーティストやコンサート形態の多様化、音楽系以外の領域拡大などを背景に今後も力強い成長が続きそうだ。
アルファポリスは無料で投稿、閲覧できる小説・漫画投稿サイトを運営。投稿された作品を、ユーザー評価等を参考に編集・出版・販売することで、安定してヒット作を生み出せる点に強みがある。人気書籍のアニメ化などによるメディアミックスの強化や海外販売の拡大によりさらなる成長を目指す。
VTuber(バーチャルユーチューバー)関連のANYCOLORとカバーは、動画配信からグッズ販売、イベント開催、企業プロモーションなど多展開できる点が強み。『モンスターハンター』最新作の売れ行きが絶好調で、今後『バイオハザード』最新作の発表なども期待されるカプコン、『ウルトラマン』に関するライセンス事業の国内外展開が期待される円谷フィールズホールディングスなども注目だ。
■エムアップホールディングス株価チャート/日足・6カ月
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【3】水曜連載「投資の疑問に答えます」
株主還元の強化で株価が急騰する銘柄は?
(ご質問)
株主還元政策の変更で株価が急騰する銘柄と、そうでない銘柄の違いはどこにあるのでしょうか?
(答え)
期待したほどの還元強化でなかったと受け止められたのかもしれません…が、そもそも還元強化が好まれる銘柄について考えましょう!
従来、「日本企業は過剰に資本(株主から預かったお金)を蓄積している」という批判が根強くありました。このため、東証が「資本コスト(株主として会社にお金を預ける以上、最低限求める見返り)や株価を意識した経営」を要請すると、資本の抑制・圧縮を目的とした株主還元の強化(増配や自社株買い)に踏み切る企業が増えたわけです。ただ、東証の要請ですでに還元強化への期待が高まっていた面もあるでしょう。株主還元を強化したにもかかわらず株価が伸び悩む銘柄は、期待したほどの還元強化ではなかったと受け止められた可能性があります。
今回はさらに踏み込み、投資家として株主還元とどのように向き合うべきか考えましょう。本質的に、株主の持ち分としてお金が企業にとどまるのと、配当としてお金が株主の手元に入るのとに変わりはありません。配当課税を考慮すると、事業への再投資に回すなら企業にとどまった方がよいとも言えます。それでも株主還元が好まれる理由としては、
(1)再投資によるもうけが株主の満足できる水準に届かない(前段の批判につながります)
(2)経営陣が必ずしも株主にとって最適なお金の使い方をするとは限らない
などが挙げられます。
これらを踏まえると、資本効率を示すROE(自己資本利益率)が低く、低PBR(株価純資産倍率)にとどまる銘柄ほど株主還元の強化が好まれると考えられます。実際、還元政策と株価の関係を調べた証券会社・調査会社からも同様の指摘があるため、還元強化に着目した銘柄選びの際には参考にしてみて下さい。
(ザイアナリスト 小林大純)
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