米国株の今後の展望をスゴ腕ファンドマネージャーが予測！｢マグニフィセント･セブン｣などの“割高な大手ハイテク株”から“割安株”に株式市場の主役が交代へ！

【米国株】トランプ関税問題に揺れる米国株市場の今後の展望と、新たに相場の主役になりそうな株をスゴ腕ファンドマネージャーが解説！（※取材は2025年4月上旬）

ダイヤモンド・ザイでは、毎号巻頭の「ZAiニュース・チャンネル」で、マネーに関する”最旬“トピックを取り上げている。発売中のダイヤモンド・ザイ6月号のテーマは「スゴ腕ファンドマネージャーに直撃！【米国株】の行く末は？」。

トランプ政権の関税政策で、世界中の株式市場は不安定に。お膝元である米国株も調整局面に入っているが、気がかりなのは今後の値動きだ。そこで今回は、米国のニュートン・インベストメント・マネジメントのファンドマネージャーであるブライアン・ファーガソン氏に緊急取材。米国株市場の展望と、これからの市場を牽引する株について聞いた！（聞き手はダイヤモンド・ザイ編集部）
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関税政策の影響で今後も不透明な状況は続くが、
規制緩和策は「金融」や「エネルギー」関連株に追い風！

──トランプ政権の発足以降、米国株市場は株価調整が続いています。現状をどのように分析されていますか？

ファーガソン　現在の米国株市場は、先行きが不透明な状況です。そのおもな原因は、新政権の関税政策の方向性が明確でないことで、これが企業の事業活動を鈍化させています。企業は、事業や設備投資の計画を立てるのが困難な状況に置かれています。

　しかし、関税政策の全体像が見えれば企業は対策を講じられるため、株式市場は現状よりも安定するでしょう。また、新政権の経済政策は短期的には市場の変動要因となり得ますが、長期的には特定の企業にとって成長機会となる可能性もあります。

──具体的には、どのような政策が米国企業の成長を後押しするとお考えですか？

ファーガソン　新政権が推進する成長戦略において、規制緩和は重要な柱です。中長期的な視点では、特に金融業界とエネルギー業界が、その恩恵を大きく受けるとみています。

──両分野に注目している背景を教えてください。

ファーガソン　金融機関では資本要件の緩和などによる融資・投資の拡大が期待できます。エネルギー企業では、温室効果ガス排出削減規制の見直しなどによるコスト削減や、生産性向上が見込まれます。
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──AIデータセンターや建物の電化により、今後は電力需要が大幅に増加すると言われています。

ファーガソン　現在、電力供給は逼迫しており、需給バランスの調整が喫緊の課題となっています。そこで、効率の高い電力供給が可能なガスタービン発電に注目しています。

　ガスタービン発電の普及に伴い、燃料となる天然ガスやガスタービン自体の需要が今後伸びるでしょう。これらの需要拡大から恩恵を受ける企業の業績拡大も見込めます。

──新政権の政策には期待できる側面もあるとのことですが、S＆P500の今後の見通しについては、どのように予測されていますか？

ファーガソン　S＆P500は当面のところ調整局面が続くと考えられますが、関税政策に関する不透明感が解消されれば、年末に向けて年初来の水準まで回復すると見ています。大幅上昇を見込んでいないのは、S＆P500の主要構成銘柄であるマグニフィセント・セブン（※）の株価が割高であると判断しているからです。これらの大手ハイテク企業は成長が鈍り、PERも低下する可能性があります。
（※マグニフィセント・セブンとは、米国株市場を代表するテクノロジー企業であるアルファベット、アップル、メタ・プラットフォームズ（旧フェイスブック）、アマゾン、マイクロソフト、テスラ、エヌビディアの7社のこと）

──大手ハイテク企業の成長鈍化を予測されているのは、どうしてですか？

ファーガソン　大手ハイテク企業のAI関連投資は過熱気味ですが、将来的な収益への貢献は、まだ不透明。今後収益を圧迫する可能性もあります。一方で、米国株市場には、大手ハイテク株以外にも割安で成長性の高い企業が多い。私の22年の運用経験の中でも、株価指標で見た割高銘柄と割安銘柄の乖離が、これほど拡大した局面は例がありません。過去15年続いた成長株優位の市場は転換点を迎え、今後は割安株が市場を牽引すると予測しています。

──AIの影響については、どのようにお考えですか？

ファーガソン　現在、AIによる収益向上の恩恵はハイテク企業に集中しています。しかし、今後はさまざまな業界の一般企業にも広がるでしょう。AIの進化は初期段階ですが、学習段階からビジネスや社会への応用段階へと移行しつつあるからです。
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　そのため、AIが業界の垣根を越えて、テクノロジーに重点を置く企業の成長を加速させるのではないでしょうか。例として、大手金融や大手ヘルスケア企業のように、多額の資金をテクノロジー開発に投資する企業が挙げられます。こういった企業は大量のデータを保有しており、AIなどの先進技術を活用することで、収益や効率性を大幅に改善できる可能性があります。

──AIへの期待が高まる一方、米国株の長期的な成長について不安視する意見も出ています。

ファーガソン　米国株は幾度も逆境を乗り越え、長期的に大きく上昇してきました。今後も高い成長性を維持し、投資家に大きな利益をもたらすと確信しています。

　特に、米国にはエネルギー自給率の高さや人口の増加といった強みがあります。世界中から多くの人々が米国への移住を望んでいる点も、経済成長を支える重要な要素です。加えて、強力な資本主義システムが米国企業の競争力を高め、今後も経済成長を後押しするでしょう。
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