2025年9月10日(水)、米国・シアトルからザイ投資戦略メルマガ「ポール・サイの米国株&世界の株に投資しよう!」で情報配信をしている元フィデリティ投信トップアナリストのポール・サイさんが、ストックボイス社が手掛ける経済・マーケット番組「WORLD MARKETZ」(TOKYO MX 月~金 22時~23時)に生出演した。

今回の放送では、シアトル在住のポールさんが中国の上海を訪れて、現地の様子をリポートしてくれた。中国の自動販売機は日本の自動販売機と違ってテクノロジーが進んでおり、中国の割安なテクノロジー企業も上昇しているようなので、さっそくチェックしていこう。
トランプ関税の影響で、中国の家具展覧会に来るアメリカ人が少なかった
番組は、シアトル在住のポールさんが上海から出演していることを、アシスタントの新宮志保さんが紹介し、上海でポールさんが何をしているのか質問するところから始まった。
「実は私の彼女が家具のバイヤーで、2つの家具展覧会に参加しに来たのと、私も中国の経済状況の調査を兼ねて一緒に参加しています」とポールさん。

番組MCの渡部一実さんが「展覧会の雰囲気やトランプ関税に絡んだ事情など、感じたことはありますか」と聞くと、ポールさんが衝撃を受けた出来事があったそう。
それは、関税の影響でアメリカ人の参加者が比較的少なかったこと。ポールさんが展覧会で現地の人に話を聞くと、昔はアメリカに輸出していたけれど、関税の影響で今はもうほぼゼロに近いとのこと。たまに輸出するにしても、トランプ関税の執行が止まっている間に急いで発注、発送するのだという。
ただ、中国でしか作られないタイプの家具もたくさんあるため、アメリカのバイヤーは代替のサプライヤーを他の途上国で探すのに苦労しているようだ。
このような関税による物価上昇の影響を、ポールさんはまだアメリカで感じていないけれど、関税が長期化すればじわじわ出てきそうだとのことだった。
日本への戦勝80周年記念のドキュメンタリーが、中国は世界の平和を願うという内容で締められた
続いて、中国で有事の雰囲気が感じられるかの話題に。
中国で9月3日(水)、日本への戦勝80周年記念の大規模軍事パレードが行われ、習近平・中国国家主席やプーチン・ロシア大統領、金正恩・朝鮮労働党総書記、鳩山由紀夫元首相などが参加したけれど、中国が台湾に侵攻するようなピリついた雰囲気をポールさんは感じたのか、渡部さんが質問した。
ポールさんが中国を訪れたのは8年ぶりで、暑かったせいもあるかもしれないけれど、街の雰囲気はおとなしく、経済活動が少し鈍化しているように感じたとのこと。
戦勝記念日で、地下鉄のテレビは当時の上海での激戦ぶりや、人々の暮らしが大変だったことを伝えるドキュメンタリーを放送していたけれど、最後の締めは、今の繁栄と平和は当時生きていた人たちのおかげで、中国は世界の平和を願うという内容だったそう。
中国は景気が悪く、軍事パレードや大規模な軍事演習を実施するなど国民の不満の捌け口を外に向かわ
中国の自動販売機はWeChatでしか買えなかった一方、家具展覧会の値付けはすべて米ドルだった
次に渡部さんが気になったのが、中国の金融決済事情だ。インターネット規制でアメリカのアプリや検索が使えないなかで、ポールさんはどうやって中国で金融決済していたのか質問した。
日本の自動販売機は商品を買うと落ちてくる、または機械の手が取ってくれるけれど、中国の自動販売機は購入の手順が違ったのだそう。
まずWeChatでQRコードを読み込むと、冷蔵庫のドアが開き、手に取った商品をカメラが認識して、WeChatで決済するという流れで、日本と手順が違ったことが面白かったようだ。
もっとも、ポールさんは中国の口座を持っていないため、WeChatがうまく作動せず、炎天下でも水を買えない状況でのどが渇いたそう。中国は電子通貨がかなり流行っていて、中国政府が細かい取引を全部モニタリングできるシステムになっており、システムに入っている人には便利だけれど、システム外の人にはかなり不便だったようだ。
そのような状況がある一方で、中国の家具展覧会の値付けが中国人民元ではなく、すべて米ドルだったそう。アメリカへの家具の商流が減っても、欧州の人も南米の人も肌感覚で米ドルが分かるため、そのようになっているようで、アメリカの金融システムの根本である米ドルの強さを、ポールさんは改めて感じたようだ。
中国株は、中国景気の回復やAIの進展を見込んで、バリュエーションが低かったテクノロジー会社を中心に上昇
最後は中国株の話題に。
MSCIチャイナなどは結構上がっているけれど、ポールさんは中国株をどのように見ているのか、渡部さんが聞いた。
中国の景気は悪いけれど、株は景気を先行するところがあり、これからの回復やAIの進展を見込んで、バリュエーション(企業価値評価)が低かったテクノロジー会社を中心に、中国株は上昇しているとのこと。

また、アメリカの金利が下がると、新興国の株が上昇する傾向があるところも支えとなったようだ。
「個別銘柄では香港上場のテンセントの株価が強いですね」と渡部さんが紹介すると、WeChatを展開するテンセントや、アリババは中国の代表的なインターネット企業で、隅々にまで浸透しているとポールさん。

ナスダック上場のJD.comについては、中国のAmazonみたいなもので、中国の不動産価格が下落していて、消費マインドが冷えているため、アリババやテンセントほど上がっていないのは合理的だとのことだった。

「ナスダック上場のPDDはどうですか?」と渡部さんが聞くと、PDDはTemuなどを海外展開して成功しているため、割と横ばいのJD.comとは違い、上昇トレンドに入っているとのことだった。

ここまで、9月10日(水)放送の「WORLD MARKETZ」に出演した、ポールさんのマーケット解説を中心にお届けした。
冒頭でも紹介したとおり、ポールさんはザイ投資戦略メルマガ「ポール・サイの米国株&世界の株に投資しよう!」で情報配信をしている。登録後10日間は無料だ。米国株投資をしてみたい、すでにしているけどもっと現地からの情報が欲しい、ポールさんが推奨する個別銘柄やポートフォリオ(直近2年半で140%上昇)を見てみたいという人は、こちらをぜひ登録してみてほしい。
●ポール・サイ ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。
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