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AIのトレンドは変わらない。エヌビディアの決算が失望されて株が下がったら、買う機会になる

2025年8月29日公開(2025年8月29日更新)
ポール・サイ
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 元フィデリティ投信トップアナリストで、米国・シアトルからザイ投資戦略メルマガ「ポール・サイの米国株&世界の株に投資しよう!」で情報配信をしているポール・サイさんが、東京MX2で毎週月曜~金曜22時から放送されている、「WORLD MARKETZ」に電話でゲスト出演した。

ポール・サイさんプロフィール

 今回の放送は、ジャクソンホール会合でパウエルFRB議長が利下げを示唆したことに対するポールさんの見方と、トランプ大統領のクックFRB理事解任命令の話題に。エヌビディアの決算をめぐる投資の方針も語ってくれたので、さっそくチェックしていこう。

パウエルFRB議長は悩んでいる! ジャクソンホール会合で利下げを示唆したとみなされたが、今は少し利下げに傾いているだけ

 番組は、ポールさんが少し前にコロナにかかってしまったことを、アシスタントの木村カレンさんが紹介するところから始まった。

 「1週間ちょっと前にコロナにかかりましたが、パキロビットという薬を飲んだらほぼ1日で治りました。普通の風邪より治りが早かったです」とポールさん。今回流行っているコロナが弱い種類で、ポールさんの症状もマイルドになった面もあるようだ。
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 すると、番組MCの渡部一実さんが「お大事にしてください」と気を使いつつ、マーケットの話題を切り出した。

 ジャクソンホール会合でパウエルFRB議長が講演し、労働市場が弱まり、関税によるインフレの影響も一時的なことを理由に、利下げを示唆したとして、株は買われたけれど、パウエル議長の発言で気になるところはあったか、ポールさんに質問した。

S&P500 日足 (出所:TradingView)

 「簡単に言うと、パウエル議長は悩んでいる」とポールさん。労働市場が普通の状況ではなく「奇妙だ」という言葉もパウエル議長は使っており、政策の柔軟さが欲しい時期なのだそう。政策の方向をはっきりさせず、今は少しだけ利下げの方向に傾いているだけというスタンスのようだ。

 マーケットは9月に0.25%利下げ、年内2回でトータル0.50%の利下げを8割ほど織り込んでいて、ポールさんの感覚も同様かと渡部さんがたずねると、今の金利は上中下で言うと中の上で、AIが雇用市場を弱くする要因もあったため、少し利下げてもよいのではとポールさんは答えた。

 そして、ポールさんがもう1つ注目しているのは、FRBに政治的な制限がかかっていること。トランプ大統領が利下げ圧力をかけており、いったん利下げしたら利上げしづらくなる分、パウエル議長も利下げに慎重になっているかもしれないという。

トランプ政権は黒人女性のクックFRB理事を標的にして、不正をすれば罰せられる見せしめにしたい可能性も

 すると渡部さんが、トランプ大統領がクックFRB理事の解任を命令した話題を持ち出した。アメリカには1年間住む契約をすると、低い住宅ローンを借りられる制度があるけれど、クック理事はミシガン州で契約した2週間後にジョージア州でも契約した不正をしたようで、そのあたりの詳しい事情をポールさんに聞いた。

 ポールさんによると、この不正を意図的にやったかがポイントで、事実を見ると意図的にやったように見えるそう。有罪になれば懲役30年があり得る、割と深刻な違反なようだ。

 ただ、アメリカ人の1つの価値観としてあるのは、赤信号を無視するくらいの悪いことはバレていないだけで誰でもやっていて、結局はどこで線を引くかがポイントになるということ。

 そして、黒人女性のクックは、DEI(多様性・公平性・包括性)政策が重視された民主党政権時代にFRB理事に登用されたため、リベラルなメディアは、黒人女性である彼女の不正にそこまで注目せず、トランプがFRBをコントロールしようとすることに焦点を当てているようだ。

 もっとも、トランプ政権はむしろ、黒人女性だからこそ標的にして、不正をすれば罰則がある見せしめにしたい可能性があるそう。不正でないならすぐに理由を言えるはずが、クックが何も言わなかったことからも、FRB理事辞任は避けられないとポールさんも見ている。

AIのトレンドは変わらない。エヌビディアの決算が失望されて株が下がったら、買う機会になる

 続いて、番組放送翌日の8月27日(水)に控えているエヌビディアの決算の話題に。(※日本時間8月28日(木)早朝に発表されたエヌビディアの決算は市場予想を上回った)

 メタ、マイクロソフト、アマゾンなどはAIの設備投資に前向きで、エヌビディアのAIチップも、旧世代のホッパーから新世代のブラックウェルに移行が進んでいることから需要が強いそう。

 そのため、エヌビディアの決算でいい数字が出ると市場は期待しており、期待を下回った場合、株価が下がるかもしれないけれど、そこは株を買う機会になるとポールさんは語った。

 すると渡部さんが、オープンAIのサム・アルトマンCEOが「今のAIに対する期待が高すぎて決算が負けてしまう」といった発言をしたことを、ポールさんはどう思うか質問した。

 ポールさんはまず、サム・アルトマンは「AIに期待できることには制限があり、思ったほど進歩しない可能性がある」と言っただけで、未来の決算見通しが鈍化するわけではないと訂正した。

 そのうえで、AIは人間のようにその場で学習して成長できないところに問題があるとしながらも、時間をかければ解決できることであり、AIのトレンドに対するポールさんの方向性は変わらないとのことだった。

 ここまで、8月26日(火)放送の「WORLD MARKETZ」に出演した、ポールさんのマーケット解説を中心にお届けした。

 冒頭でも紹介したとおり、ポールさんはザイ投資戦略メルマガ「ポール・サイの米国株&世界の株に投資しよう!」で情報配信をしている。登録後10日間は無料だ。米国株投資をしてみたい、すでにしているけどもっと現地からの情報が欲しい、ポールさんが推奨する個別銘柄やポートフォリオ(直近2年半で140%上昇)を見てみたいという人は、こちらをぜひ登録してみてほしい。

●ポール・サイ  ストラテジスト。外資系資産運用会社・フィデリティ投信にて株式アナリストとして活躍。上海オフィスの立ち上げ、中国株調査部長、日本株調査部長として株式調査を12年以上携わった後、2017年に独立。40代でFIREし、現在は、不動産投資と米国株式を中心に運用。UCLA機械工学部卒、カーネギーメロン大学MBA修了。台湾系アメリカ人、中国語、英語、日本語堪能。米国株などでの資産運用を助言するメルマガを配信中。


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