米大統領選の投票が11月8日に迫っています。過去の数々の女性蔑視発言が指摘され、テレビ討論会で圧勝したヒラリーに「勝負あった」とする見方が圧倒的でしたが、ここにきて何やらキナ臭い気配が漂ってきました。ヒラリー候補のメール問題が再燃し、いくつかの世論調査でトランプ氏の支持率がわずかながら逆転したとも伝えられています。それを受け為替や株価も大きく動いています。米大統領選は、これからどうなってしまうのか!? 刺激的な金融メルマガ「闇株新聞プレミアム」が、今後の政治経済の流れを左右するこの問題について指摘しています。
FBIが唐突にメール問題を再調査
トランプが支持率で抜き返す動きも
先週末(10月28日)、FBIが唐突に「ヒラリーの私用メールについて再調査を始めると」公表しました。理由は「捜査に関する新たなメールが見つかった」とのこと。現段階では見つかったというメールの中に「致命的なもの」が含まれているかは不明ですが、この時期にこの件が蒸し返されるというのは極めて異常事態です。
そもそも本紙は、バイデン副大統領が出馬を見送った段階(2015年10月21日)で“日本にとって最悪な大統領候補”であるヒラリー・クリントンに「当確」を打ち、先月にも「選挙資金格差は歴然」と再確認したばかりです。
[参考記事]
●死に体のオバマ政権で世界経済が大混乱も。次期大統領がヒラリーなら日本には最悪!? (2015年10月23日)
●米大統領になるのはヒラリーかトランプか!? 本選挙1カ月前、世界の経済・金融はどうなる?(2016年9月23日)
ヒラリーのメール問題についてはFBIが民主党大会前の7月上旬に「訴追せず」と発表しました。それを待ってオバマ大統領が支持を表明し、ヒラリーが正式に民主党代表に選出されたという経緯があります。いわば政治的に決着がついたわけで、この先は白であろうが黒であろうが関係なしに、この問題にはフタがされたわけです。
民主党大統領候補のヒラリー・クリントンが国務長官時代の2009年に、国務省のアカウント「.gov」ではなく私用のメールアドレスとサーバー「clintonemail.com」を公務にも私用していた問題。ヒラリーは「公用と私用で2台のスマートフォンを持ち歩きたくなかった」からだと釈明したが、連邦記録法では機密保持等の理由から政府高官は公務にあたり公用のアドレスで交信することや、やりとりした電子メール等は全て公文書として保管することが義務付けられている。ヒラリーは「職務に関係のないプライベートな内容」の3万件以上のメールを削除していたが、本当にプライベートな内容だけだったのかが争点となり、「証拠隠滅の可能性もある」としてFBIが捜査した。捜査は難航したが7月5日にジェームス・コミ―長官が、司法省にヒラリーを刑事訴追する勧告を行わないと発表した。
私用メール問題は政治的に決着がついて
蓋がされたはず…大きな力が働いている!?
そこからの大統領選は、民主党とその支援団体の支持を取り付けたヒラリーと、共和党とその支援団体の支持を取り付けていない実質無所属のトランプの戦いとなりました。トランプは確かに資産家ですが、彼は大統領選をビジネスとしか考えておらず自己資金を注ぎ込む考えなど毛頭ありません。
対して、ヒラリーには支持団体から選挙資金が続々と集まっているので、いわゆる「実弾」に圧倒的な差がついています。ここからの「実弾」は激戦州に集中的コマーシャルを流すために投入されるほか、闇では相手候補のスキャンダルを暴き出すための工作にも使われます。ですから本誌は「今後はトランプのスキャンダルしか出ない」と書いてきました。実際に、トランプの過去の醜聞などが出るなど、その通りになっていたと思います。
もう勝負はあったはずなのに、なぜ今になって固く締められたはずのヒラリー側のスキャンダルの蓋が、再びこじ開けられることになったのか!?
FBIによると元下院議員のわいせつ事件捜査で押収したノートパソコンに、その元下院議員の別居中の妻でヒラリーの側近であるフーマ・アベディンのアカウントに残っていたメールから、ヒラリーから送信された未発見の私用メールが見つかったからだとされていますが「子どもだましの理由」です。
FBIが表に出せない理由で取得したデータに、FBIが何としても手に入れたかった重要なメールが含まれていた可能性があります。そもそもヒラリーが「不注意で私用メールを使ってしまった」という弁明は信憑性がなく、本当はメールの内容を誰にも見られたくなかったからです。
ヒラリーは何かを隠しFBIはそれを摑んだ
トランプの一発逆転大勝利はあるのか!?
趨勢が決まりつつあった大統領選が、がぜん面白くなってきました。当然ながらこの問題でヒラリーが転落するようなことがあれば、もう選択肢はトランプしかありません。その目が出てきて金融市場には再びドル安・株安の流れがきています。
はたして、トランプに大逆転の可能性はあるのでしょうか!? 本紙は「なし」と見ています。確かに一部の世論調査ではトランプが逆転しているようですが、大統領選挙は州ごとの「選挙人総取り方式」です。メーン州とネブラスカ州は按分に近い方式ですが民主党候補と無所属候補(トランプのことです)の差が大きく、トランプが勝利するには激戦州のフロリダ州、オハイオ州、ノースカロライナ州などでほぼ全勝しなければなりません。
可能性は全くゼロではありませんが、ほとんど無視できる程度です。結局のところヒラリーは逃げ切ると、本紙は見ています。
では、なぜこの期に及んでFBIが再び蓋を開けたのか!? 問題の私用メールがどんな内容だったかはまだよくわかりませんが(恐らく永久にわからないでしょう)、「ヒラリー大統領」に対しての大きな反作用もしくは抑止力が働いているものと感じます。ヒラリー政権はスタートから不安定となりそうです。
株価や為替の動きですが、もともと経済・通商政策はヒラリーもトランプもあまり変わらず、どちらも国内産業保護・ドル安・財政赤字拡大路線です。ヒラリーが逃げ切れば「やれやれの円安」になるかもしれませんが、もともとドル安だったところに政権不安定によるドル安が加わって、来年の比較的早い時期から本格的なドル安・円高に見舞われるような気がしています。
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