2017年の相場展望はドルと日本株、欧州株が強気
今回は2017年に入っての第1回目ですが、私は今年の相場展望を次のように考えています。
| ■2017年の相場展望 | ||||||
| 2016年末の引け値 | 2017年の目標 | スタンス | ||||
| ドル/円相場(1ドル=) | 117円 | 125.19円 | 強気 | |||
| S&P500指数 | 2338.83 | 2081.60 | 弱気 | |||
| 日経平均株価 | 1万9114.37円 | 2万1025.80円 | 強気 | |||
| ユーロストックス600 | 361.42 | 401.18 | 強気 | |||
大まかに言うと、ドルには強気、米国株には弱気、日本株と欧州株には強気です。くわしく解説していきましょう。
米国長期金利は、長期低下トレンドからいよいよ脱出か
米国の長期金利は、過去35年間に渡る長期低下トレンドを脱し、上昇に転じると予想しています。その理由は:
1)トランプ減税で景気が良くなること
2)減税は国債の増発を招く可能性がること
によります。
一般に、市中金利と株式は「競争関係」にあり、金利が上昇する局面では、株式のバリュエーションは圧迫を受けます。
トランプの税制改革プランにより、ドル高の流れに
共和党ならびにドナルド・トランプの税制改革プランには、法人減税が盛り込まれています。その代り、米国企業が海外に貯め込んだ利益は、アメリカに戻すことが要求されると思われます。米国企業が海外で稼いで利益の一部は、現地通貨建てで保管されており、それをアメリカに送金する場合、「ドル買い」がおきます。
つまり、もしトランプのこの法案が実現すれば、ドル高になるでしょう。
今週からはじめる米国の決算発表は、
ドル高により下方修正が見込まれる
今週から米国では、2016年第4四半期の決算発表シーズンに突入します。
昨年11月8日の大統領選挙でドナルド・トランプが勝って以来、ドル高が起こっています。しかし、S&P500採用企業の売上高の約3割は海外で発生していますので、ドル高は利益圧迫要因となります。
このため各企業は、今回の決算カンファレンスコールで2017年のEPS(1株あたり利益)予想を下方修正すると予想されます。現時点における2017年のS&P500全体のEPSは、下のグラフのように132.92ドルとなっていますが、この数字は高すぎるというわけです。
2017年の世界経済は、トランプによる政治リスクに晒される
ドナルド・トランプは、中国やメキシコからの輸入品に関税をかけることを提唱しています。このような保護貿易主義が経済成長にマイナス効果をもたらすことは、広く経済学者に知られています。
実際、ドナルド・トランプが保護しようとしている米国の製造業は、すでに国際競争力を失っています。競争力の無い産業を保護しても、それは生産性の向上にはつながりません。
企業は限られた投資資金の中から、世界で最も投資効率の良い場所を選んで工場を建設するものです。それを政府が「国内で投資しろ!」と指図すれば、政府から民間のビジネスへの過剰な口出しで、企業の収益力の減退を招くリスクもあるのです。
中国製品にアメリカが関税をかければ、中国は報復措置として米国製品に関税をかけるでしょう。このような貿易戦争のエスカレートは、世界の経済成長の足を引っ張ることになります。
このように今年の世界経済は、トランプの誤解に満ちた経済政策のおかげで、かつてない不確実性に晒されているのです。
【今週のまとめ】
トランプ政策のポジティブ面だけでなく
ネガティブ面にも注意を払おう
昨年11月8日にドナルド・トランプが当選して以来、マーケットではトランプのもたらす良い面ばかりが強調されてきました。しかし冷静に考えてみれば、トランプが提唱していることは、とんでもないことが多いです。
投資家としては、ポジティブ面だけに気を取られるのではなく、バランス良くトランプの経済政策を評価してゆく態度が必要でしょう。
今週の銘柄ですが、2017年はアメリカより欧州のパフォーマンスが良くなると考えているので、BP(ティッカーシンボル:BP)やドイツ銀行(ティッカーシンボル:DB)に注目したいです。
また貿易戦争のターゲットになりにくい「どうしてもここを使うしかない」という企業に投資したいと思います。
具体的には、ウランを提供しているカメコ(ティッカーシンボル:CCJ)、銅を生産しているサザンコッパー(ティッカーシンボル:SCCO)、ビジネスマンの出張に欠かせないアメリカン・エキスプレス(ティッカーシンボル:AXP)、原油価格の上昇で恩恵をこうむるトランスオーシャン(ティッカーシンボル:RIG)などが良いと思います。
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