各国の中銀総裁が、相次いでタカ派コメントを発言
先週、各国の中央銀行総裁が揃ってタカ派のコメントをしました。
米国連邦準備制度理事会(FRB)のジャネット・イエレン議長は、「資産価格(つまり株式市場)が高い水準まで買われている」と警鐘を鳴らしました。
英中銀のマーク・カーニー総裁は、利上げをほのめかす発言をしました。
さらに、欧州中央銀行(ECB)のマリオ・ドラギ総裁は、「債券買入れプログラムが、終わりに近づいている」旨の発言をしました。
長期金利の上昇は、景気の強さの表れ
こうした一連の発言を受けて、米国の10年債利回りは、先週2.149%から2.301%へ上昇、ドイツの10年債は0.256%から0.472%へ上昇、英国の10年債は1.040%から1.264%へと上昇しました。
このような債券利回りの上昇は、債券が売られたことを意味します。
一般に、景気が強く、中央銀行が政策金利をぐいぐい引き上げる局面では、長期債ほど価格の下落幅が大きいです。先週は、世界の投資家がこの法則に従順にしたがったと言えるでしょう。
下は、米国の10年債の利回りから2年債の利回りを引き算した「差」のチャートです。
このチャートが下がるほど、「長短金利差は縮小した」と読みます。普通、景気が強いとき、ないしはインフレが懸念されるときは、長短金利差が拡大します。
すると先週は、突然、「景気は強いぞ」という見方が台頭したと言えます。
先週は、NYダウやS&P500にくらべ
ナスダックの下げがきつかった
さて、株式市場に話を進めたいのですが、先週、上に述べたような長期金利の上昇が見られる中、ダウ工業株価平均指数は-0.2%、S&P500指数は-0.6%、そしてナスダック総合指数は-2%の調整となりました。つまりナスダック総合指数の下げが大きかったのです。
※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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なかでもアルファベット(ティッカーシンボル:GOOGL)、ネットフリックス(ティッカーシンボル:NFLX)、エヌヴィディア(ティッカーシンボル:NVDA)などの、今年の相場のけん引役となってきた銘柄が弱かったです。
実はこのへんの銘柄は6月9日(金)にも急落を演じています。そのことについては6月12日のレポートで説明しました。
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あのときの下げは、特にトリガー(きっかけ)になるようなニュースが無く、あくまでもテクニカル的な自律調整だと思われていました。
それに比べて先週の下げは、長期金利の上昇という明快な下げ理由があります。一般に、高いバリュエーション(株価評価)で買われている銘柄ほど、金利上昇に弱いです。実際、これまで人気の中心だったネット株やハイテク株の多くは、50日移動平均線を試す展開となっています。
これらの銘柄が持ち堪えることが出来るかどうかは、今後の10年債利回りの動向にかかっていると思います。
【今週のまとめ】
米国のネット株、ハイテク株を保有している人は
米国10年債の値動きに注目
米国のネット株、ハイテク株は重要な局面にさしかかっています。これらの銘柄が売り圧力を浴びている理由は、長期金利が上昇しているからです。
したがって、今週以降は特に米国10年債の動きに注目してください。
もし米国10年債利回りが現在の2.30%の水準からどんどん上昇するようであれば、この辺りの銘柄は、ポートフォリオから外した方が無難でしょう。
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