女性を中心に広まる
「インスタ映え」の追求という社会現象
みなさんは、「インスタ映え」という流行語をご存知ですか? 「インスタ映え」とは写真アプリ、インスタグラムで写真うつりが良いことを指します。
オシャレなレストランに行った時「パシャリ!」、今日はお化粧のノリがいいと思えば「パシャリ!」、秘境に旅行して「パシャリ!」……。つまり、最近の一部の若い女性の生活は、「どうすればインスタ映えするか?」という発想を起点として整頓し直されているのです。
自己アピールと言えばそれまでですが、「みんなに自分を良く見せたい」、あるいは「みんなから一目置かれたい」という承認欲求は、太古の昔から存在してきた人間の本源的な欲求であり、それ自体は決して悪いことではありません。インスタグラムは、そうした女性たちのささやかな欲求を満足させるためには、うってつけのツールと言えるでしょう。
いずれにせよ、SNSにおける人々の交流は、昔はテキスト、すなわち文章が主流だったのですが、最近は写真や動画へと移ってきています。
インスタグラムは、
ビジネスとしての重要度も増している
インスタグラムはフェイスブック(ティッカーシンボル:FB)に買収され、現在ではその一部門となっています。そして最近は。インスタグラムがフェイスブックの業績に貢献する割合がどんどん高まっています。
フェイスブックは、広告収入に依存しています。それはインスタグラムも同様です。
つまり、それらの売上高がどんどん伸びているということは、広告主がより多額の予算をそれらへ振り向けていることを意味するのです。もっと踏み込んで言えば、化粧品や旅行業界の消費者へのアプローチが、だんだんインスタグラムへ移ってきているということです。
インフルエンサーによるマーケティングが
企業にとってより重要に
こと消費行動に関して言えば、女性は周囲に影響を受けやすいと言われます。その「周囲」とは、つまり女友達ということでしょう。
ネットの世界で発信力のある人は、「インフルエンサー」と呼ばれます。SNSのユーザーは、インフルエンサーを「お友達」のように感じ、大いに影響されます。
つまり、「インスタ映え」が流行する時代においては、インフルエンサーが広告戦略の基軸になるということです。
インフルエンサーを上手く広告戦略に生かす
アルタ・ビューティー
インフルエンサーの重要性をよく理解し、それを企業戦略にうまく取り込んでいるのが、アルタ・ビューティー(ティッカーシンボル:ULTA)です。
アルタ・ビューティーは1990年に創業された全米最大の化粧品の小売業者で、化粧品、香水、スキンケア商品、ヘアケア商品を販売しているほか、店舗内で美容室も営業しています。品揃えの良さ、価格の安さ、便利さの面では、他社を圧倒しています。
同社は、全米に974店舗を展開しています。
同社のネット戦略が上手くいっている事は、ネット通販の伸びを見れば一目瞭然です。
直近の第2四半期(7月期)決算では、ネット通販が前年比+72.3%と、さらに加速しました。同社は、いわゆるオンライン・イベントを催しており、それが人気を博しています。
またアフィリエート・プログラムに注力しており、インフルエンサーがソーシャル・メディアを通じてアルタ・ビューティーを紹介するようインセンティブを与えています。
一方、実店舗の既存店売上比較も立派です。
「ここだけしか手に入らない商品」を
化粧品メーカーと共同開発
さらに、化粧品メーカーに対して「アルタ・ビューティーでしか買えない商品を特別企画で開発して欲しい」と要請し、そのような「ここだけでしか手に入らない商品」を積極的にマーケティングしています。
現在、そういうエクスクルーシブ(独占的)な商品を準備中であり、来期以降、続々とそれらが店頭に並ぶ予定です。とりわけ、昨年取り扱いを開始した化粧品ブランド『MAC』は、流行に敏感な若い女性から熱烈に支持されており、ベストセラーになっています。
アルタ・ビューティーは業績を見ても、ピカピカです。
【今週のまとめ】
アルタ・ビューティーが外的要因で下落中の今
絶好の仕込み場が到来!
最近、アルタ・ビューティーの株価は下落しています。しかし、これは同社の業績が悪いからではありません。
※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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株価下落の原因は、「最近業績の悪化に苦しんでいる百貨店各社が苦し紛れに、これまであまり値引きをしてこなかった化粧品をどんどん投げ売りするのではないか?」という懸念が生じているためです。
もし百貨店が化粧品の値引き攻勢に出ると、当然、アルタ・ビューティーにも影響が及ぶと考えられます。
しかしアルタ・ビューティーは、今日説明してきたように、ソーシャル・メディアでインフルエンサーを通じてアルタ・ビューティー独自の商品を売ることに注力しているので、比較的悪影響を受けにくいと思います。
普段、めったに安いところで買える機会が無い優良企業なので、現在の株安は絶好の仕込み場です。
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