金融庁の資料によると現在日本には都市銀行5行、地方銀行・第二地銀105行、信託銀行4行、それに旧・長銀の新生銀行とあおぞら銀行の合わせて116行があるとされています(外国銀行は含まず)。今週は刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』の人気シリーズ「株式市場における今後の勝ち組・負け組」から、銀行各社の最新動向をお伝えします。
上場82行の合計純利益がわずか5399億円、
業績低迷の地方銀行で再編が進まない理由
まずは105行中82行が上場している地方銀行・第二地銀から見ていきます。
都市銀行や信託銀行と違い、地方銀行はまだほとんど再編が行なわれていません。地方銀行もそれなりに再編を考えているようですが、基本的に共同持ち株会社を設立して、その下に2~3行の地方銀行が「そのまま」ぶら下がる形式でしかなく、コストカットなど再編効果もほとんど期待できません。
さらに最近は新潟県と長崎県で地方銀行の経営統合に「県内シェアが上がりすぎる」と公正取引委員会がストップをかけるなどして、ますます再編が進まないことになります。
2017年4~9月期の連結純利益は合計で5399億円(前期比16%減)しかなく、長期貸し出しの平均金利は1%を下回っているようです。こういう時こそ、吸収合併による統合でリストラを断行し、メガバンクにも匹敵する巨大地銀を誕生させて全国展開すべきと考えますが、天下り先が少なくなるため金融庁が認めないのでしょう。
5大銀行グループの中間決算で前年同期比
純利益プラスは三菱UFJと三井住友だけ
5大銀行グループ(三菱UFJ、三井住友、みずほ、りそな、三井住友トラスト)はどうでしょう。
2017年4~9月期の連結純利益は合計1兆5333億円で前年同期比10%増となっていますが、プラスだったのは三菱UFJ(6269億円、前年同期比28%増)と三井住友(4201億円、同17%増)だけで、みずほは3166億円(同12%減)、りそなは940億円(同3%減)、三井住友トラストは754億円(同14%減)でした。
5大銀行グループ合計で、貸出金利から預金金利(ほとんどゼロですが)を差し引いた国内向け預貸金利回りは0.84%と5年前から0.37%も低下していますが、政策保有株の売却益が2241億円もあり2017年4~9月期の連結純利益を押し上げているようです。
さて、ここで3大メガバンク(三菱UFJ・三井住友・みずほ)の株式市場での評価を見てみます。三菱UFJが予想PER=9.2倍、実績ベースPBR=0.61倍、予想配当利回り=2.46%、三井住友が予想PER=10.2倍、実績ベースPBR=0.60倍、予想配当利回り=3.70%、みずほが予想PER=11.1倍、実績べースPBR=0.56倍、予想配当利回り=3.84%となります。
「何でこんなに安いのか」と不思議に思える株価です。もちろん金融機関なのでPBRが割安に放置されることはよくありますが、それを踏まえても「これから何か問題が出てくるのではないか!?」と警戒させる水準です。
みずほの業績回復はしばらくなさそう
りそなが三井住友に吸収される可能性
3行の中でみずほだけが最大19000人の人員削減計画を明らかにしています(三菱UFJや三井住友も業務量削減を発表していますが、余剰人員を別のビジネスに振り向けるものではっきりと人員削減と打ち出したのはみずほだけです)。
また、現在発売中の雑誌ZAITEN12月号には、佐藤康博社長が当局とマスコミを操り不祥事まで利用して人事を支配し、権力を独占した経緯が詳しく書かれています。本誌は3大メガバンクで株価的に妙味があるのは「みずほ」と考えていましたが、やめることにします。こういう状態になると業績はなかなか回復しないものだからです。
となると5大銀行グループの中で、唯一吸収合併される可能性が残る「りそな」がクローズアップされてきます。りそなは唯一の信託兼営であり、公的資金も完済するなど、グループ内の信託銀行が弱い三井住友とは最良の組み合わせとなるはずです。
上場しているりそなホールディングスは、時価総額が1.3兆円ほどと手ごろで、PBRが0.66倍であるため膨大な合併差益も出るでしょう。
三井住友銀行が信託業務に弱い? 同じ「三井住友」の名を冠した三井住友信託銀行があるじゃないかと思われがちですが、刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』によると三井住友銀行と三井住友信託銀行は“犬猿の仲”で、「合併も経営統合も業務提携も絶対にない」とのこと。りそな銀行を巡る5大銀行グループ最後の再編劇に注目です。
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