闇株新聞[2018年]

東芝(6502)が4年ぶり黒字で最高益更新も
半導体メモリ事業の売却を止めない不思議
闇株新聞が解剖する「東芝2018年3月期決算短信」

2018年5月25日公開(2022年3月29日更新)
闇株新聞編集部
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東芝が2018年3月期の決算短信を珍しく期限内に発表しました。4年ぶりの黒字で7年ぶりに最高益を更新しましたが、稼ぎ頭の半導体メモリ事業の売却が決まるなど先行きが明るくなったとは言えない状況です。2015年5月に要領を得ないIRから「不適切会計」の闇にいち早く気づいた刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』が、2018年3月期決算から東芝のいまとこれからを読み解きます。

東芝(6502)が4年ぶり黒字で最高益更新も半導体メモリ事業の売却を止めない不思議|闇株新聞が解剖する「東芝2018年3月期決算短信」

半導体事業が稼ぎ出した4675億円は
タダで売却先にくれてやるつもり!?

 東芝が発表した2018年3月期の決算短信では、売上高3兆9475億円(前年比2.4%減)、営業利益640億円(同21.9%減)、最終純利益8040億円(前年は9656億円の赤字)でした。

 売却予定の半導体メモリー事業の営業利益4675億円は「非継続事業」として除外されています。4675億円(税金がかかるのでまるまる全部ではありませんが)のキャッシュは一体どこに消えたのでしょう?

 連結キャッシュフロー計算書を見ても、営業活動によるキャシュフローは416億円しかなく、4675億円は半導体メモリー事業会社に留保されていることがわかります。

 半導体メモリー事業会社は、分社化された2017年4月以降の1年間で稼ぎ出した4675億円のキャッシュ(あるいはその資金で新たに投資された設備)を持ったまま、ベイン・キャピタルを中心とした日米韓連合に売却される可能性が高いということです。それなのに4675億円分が当初の売却価格に上乗せされたという話は聞きません。

 最終利益が8040億円もの金額に達した理由は、原子力事業の子会社だった米ウェスチングハウスの取得金額全額が「チャプター11」(連邦倒産法第11条)で損失と認められ、税負担が4458億円も軽減されたことが大きかったようです。

 そして5月17日には中国政府による独占禁止法に係る審査が通り、半導体メモリー事業会社は6月1日に売却されることになりました。

 そもそも東芝の稼ぎ頭である半導体事業の売却は「2018年3月末までに債務超過を解消できなければ上場廃止」になる事態を回避するための“苦肉の策”でした。その債務超過は6000億円の第三者割当増資で解消されたにもかかわらず、売却中止が検討されることはなかったようです。

東芝から半導体メモリ事業を買い取る
「日米韓連合」2兆円の内訳

 半導体メモリー事業の売却先は「日米韓連合」と呼ばれています。資金も人脈も三流の「ベイン・キャピタル」が駆けずり回って掻き集めた2兆円が、買収の原資になっています。

 その2兆円の内訳を検証してみましょう。まず最大の3505億円を出資するのが東芝自身です。これにHOYAが出資する270億円と合わせ“日本勢”が議決権の50.1%を確保することになっています。

 買収を主導するベイン・キャピタルはたったの2120億円です。彼らはこの金額を確保するために、すかいらーく株の売却を急いでいました。韓国の半導体大手SKハイニックスは最大で3950億円を投資するとしていますが、独占禁止法の審査が長引かぬよう当初10年間は15%以上の議決権を持たないことになっています。

 東芝とHOYAの3775億円が議決権の50.1%であるなら、半導体メモリー事業会社の資本金は7535億円になりますから、ベイン・キャピタルとSKハイニックスの出資額は3760億円(7535億円-3775億円)となるはずです。そのうちベイン・キャピタルが2120億円を出すわけですから、SKハイニックスの当初の出資額は1640億円(3760億円-2120億円)であることがわかります。

 しかし、最大3950億円も投資すると表明しているSKハイニックスが、経営の主導権を取れない15%程度の議決権(あるいは1640億円分の21.7%でも)で納得するはずがありません。つまり、どこかに説明されていない「嘘」があるはずです。

 さらにアップルなど米企業4社が議決権のない優先株で(普通株への転換条項が付いているはず)合計4155億円を出資、邦銀が6000億円を融資して、やっと2兆円になります。

国内でとことん過保護にされてきた東芝は
海外の「物言う株主」と対峙できるか?

 半導体事業会社を売却しても、東芝は最大株主であり続けます。しかし、この優良企業が稼ぎ出す潤沢なキャッシュはもう入ってはこないのです。そうすると東芝は、今期予想でも営業利益700億円程度の“三流会社”になってしまいます。はたしてこれが株主総会で認められるでしょうか?

 半導体事業の売却は、常識で判断すれば重要資産に係る「特別決議」になる案件ですから、臨時株主総会を開催して出席株主の3分の2(議決権ベース)以上の賛成が必要となります。昨年11月の第三者割当増資で新たに株主になったのはすべて海外の「物言う株主」ですから、稼ぎ頭の半導体事業売却が承認されるかはかなり微妙になっていると考えられます。

 現在の株価水準(5月22日終値で312円)は、半導体メモリー事業が売却されることを見込んだ株価とは思えません。今後の株価は波乱含みとなるでしょう。

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東芝は2300億円に及ぶ「不適切会計」で過去の有価証券報告書を訂正しても、誰一人として刑事責任を問われることがありませんでした。国内ではとことん過保護に扱われてきましたが、これから徒党を組んで押し寄せてくる海外の物言う株主たちはそうはいきません。刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』では、今後も東芝の動向を追いかけていきます。

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