米国では決算発表シーズン真只中!
これまでのところ好調なすべりだしに
米国株は、いま2018年第2四半期決算発表シーズンの真只中にあります。今日までにS&P500指数に採用されている500企業のうち、87社が決算発表を終えています。つまり、全体の17%の決算発表が終わったというわけです。
これまでのところ、第2四半期決算発表シーズンのすべり出しは好調です。
すでに決算発表を終えた企業のうち
87%がEPSでコンセンサス予想を上回る!
調査会社ファクトセットによれば、これまでに決算を発表した企業のうち87%がEPSでコンセンサス予想を上回りました。過去5年間の平均では70%の企業がEPSでコンセンサス予想を上回っていることから、今回の87%という数字は立派です。
2018年第2四半期のEPS成長率は、前年同期比+20.7%が見込まれています。
これは素晴らしい数字で。すでに2018年の第1四半期は+25.4%成長を記録したわけですが、そこを起点として4期連続で前年同期比+20%を超える成長率が見込まれており、これは極めて稀にみる絶好調と言えます。
今は「業績相場」の真っ直中!
強気のスタンスを堅持すべき
これはいつも言っていることですが、強気相場は「金融相場」と「業績相場」の2つに分解できます。
最初は、中央銀行が景気支援のために金融緩和し、それを好感して株式市場が上昇します。これが「金融相場」です。
そして景気が回復してくると、中央銀行は金利政策を景気テコ入れからインフレ抑制へとシフトし、ゆっくりと政策金利を引き上げ始めます。この場合、金利は「順風」から「逆風」へと変わってしまったわけですから、もはや「金融相場」という形容はふさわしくありません。
ただ利上げ局面では、景気そのものは良いわけですから、好景気を背景に企業がどんどん利益を伸ばすのであれば、その利益伸長を買う相場が現れると考えるのが自然です。これが「業績相場」です。
いま、われわれは業績相場の真只中にいます。上に見たように「4期連続でEPS成長率が前年同期比+20%を超えている」わけですから、我々が業績相場に期待する順調な業績の伸びが実現していると評価できます。したがって、今は強気のスタンスを堅持すべきでしょう。
これほどまでにEPSが良い理由は
好調なアメリカ経済+税制改革法案の効果
なぜこれほどまでに業績が良いのか、という点ですが、まずアメリカ経済そのものが好調である点が指摘出来ます。
次に、去年のクリスマス前に駆け込みで成立した税制改革法案が企業や消費者にとって大きな減税となり、それが(1)法人税率を下げる、(2)減税で浮いた分を個人が消費に回す、というような効果を生んだことも見逃せないでしょう。
実際、第2四半期のS&P500採用企業の純利益マージンは11.6%が見込まれており、これは大変立派な数字です。法人税率の低下が、純利益マージンの拡大に少なからず貢献していることは間違いありません。
売上高も77%がコンセンサス予想を上回る
素晴らしい結果に!
次に、売上高に目を転じます。
これまでに決算発表した企業のうち、77%が売上高でコンセンサス予想を上回りました。過去5年の平均では58%の企業が売上高でコンセンサス予想を上回っていることから、今回の77%という数字は素晴らしいです。
ドル高や米中貿易戦争の影響で
ガイダンスは弱気な会社がやや多い
ガイダンスとは、「来期以降のEPS、売上高に関する、会社側の予想」を指します。そして、そのガイダンスをアナリスト達のコンセンサス予想と比較することで、「良い」「悪い」を判断します。
これまでのところ、9社が「悪いガイダンス」を発表しており、これは最近の傾向よりやや悪いと言えます。弱気なガイダンスが増えている理由として(1)ドル高、(2)米中貿易戦争、という2つの要因が指摘できると思います。
セクター別の業績では
「消費循環銘柄」や「消費安定銘柄」が好調
セクター別では、消費循環銘柄でのポジティブ・サプライズが際立ちました。S&P500指数には全部で66社の消費循環銘柄が含まれているのですが、これまでに10社が決算発表を終えており、その全てがEPSでポジティブ・サプライズを発表しました。また、売上高でのポジティブ・サプライズ比率は70%でした。
消費安定銘柄も予想外に健闘しました。S&P500指数に含まれている24社の消費安定銘柄のうち、これまでに8社が決算発表を済ませており、うち88%がEPS、ならびに売上高でポジティブ・サプライズを出しました。
金融セクターは、まちまちな印象を受けました。また、事前の期待が高かったハイテク銘柄も飛び抜けて良い感じはありませんでした。さらに、エネルギー・セクターは期待外れに終わっています。
【今週のまとめ】
決算発表シーズンもいよいよ佳境
今週発表される主要企業の決算に注目!
今週は、いよいよ決算発表シーズンが佳境を迎えます。主な企業の決算発表のスケジュール、ならびにEPSと売上高のコンセンサス予想を示しておきます。
| ■2018年7月23日(月)〜27日(金)に決算発表する主な企業 | ||||||
| 日付 | 銘柄(ティッカーシンボル) | EPS | 売上高 | |||
| 7月23日(月)引け後 | アルファベット(GOOG) | 7.95ドル | 321.4億ドル | |||
| 7月25日(水)寄付前 | ボーイング(BA) | 3.36ドル | 239.8億ドル | |||
| 7月25日(水)寄付前 | コカコーラ(KO) | 60セント | 85.4億ドル | |||
| 7月25日(水)引け後 | フェイスブック(FB) | 1.70ドル | 133.5億ドル | |||
| 7月25日(水)引け後 | ビザ(V) | 1.08ドル | 509億ドル | |||
| 7月26日(木)寄付前 | マクドナルド(MCD) | 1.93ドル | 53.3億ドル | |||
| 7月26日(木)引け後前 | アマゾン(AMZN) | 2.52ドル | 533.8億ドル | |||
| 7月27日(金)寄付前 | シェブロン(CVX) | 2.09ドル | 466.4億ドル | |||
| 7月27日(金)寄付前 | エクソン・モービル(XOM) | 1.28ドル | 717.3億ドル | |||
2018年第2四半期決算発表シーズンは、これまでのところ滑り出しは好調です。米国株式市場は「業績相場」の真只中にあり、しかも企業業績は立派な数字が相次いで発表されているわけです。ポジションを持っている人もリスクを避けて決算前に手じまいするのではなく、ここは教科書通り、そのままポジションを抱き続けるべきだと思います。
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