ヤフー、三菱商事など、3月期決算企業「人気20銘柄」の第1四半期決算をズバリ診断!
ダイヤモンド・ザイの特集「最新決算でわかった! 好発進の上ブレ期待株」では、発表された3月期決算企業の第1四半期決算で、早くも上方修正した企業や、業績進捗率のいい企業を一挙公開している。
今回はその中から「人気20銘柄の通信簿」を抜粋して紹介しよう!
過去最高益なのに、株価は冴えない不思議
3月期決算企業の第1四半期(4~6月期)決算が発表された。ここで好発進した企業は年間を通じて業績、株価とも上ブレしやすいのでチェックしたい。
この第1四半期は、世界的な好景気を追い風に4社に1社は過去最高益に。ところが株価はイマイチ冴えない。例えば、「日立建機(6305)」や「コマツ(6301)」は過去最高益にもかかわらず株価が下落した。
これはいくつかの要因が複雑に絡み合っているためだ。
まずはコンセンサス(複数アナリストによる業績予想の平均)が高すぎること。“市場の期待”というハードルが高くなりすぎているのだ。
反対に、企業は通期見通しを上方修正しないところがほとんど。「米中貿易摩擦の影響や中国の景気減速を懸念して、アクセルを踏みきれない企業が多いようです」(ニッセイ基礎研究所チーフ株式ストラテジストの井出真吾さん)。
市場の期待と企業予想のギャップが大きく、株価の重しになっているというワケだ。
3カ月後の中間決算で上方修正が増えそう
ただし、「3カ月後の中間決算時には上方修正する企業が増えるでしょう」(マネックス証券チーフ・ストラテジストの広木隆さん)。
一番大きな要素は為替。為替予想を1米ドル100~105円に据える企業が多いが、足元では111円台。円安の進行を考慮しただけでも十分に増益要因になる。
さらに「米・中間選挙前の10月下旬には米中貿易摩擦も落ち着くでしょう。そうなれば、企業も見通しに自信を持ちやすくなります」(広木さん)。
また、こころトレード研究所の坂本慎太郎さんは、「今年は外国人投資家が現物と先物の合計で6兆~7兆円を売り越しています。中間決算以降、日本企業が上方修正したタイミングで日本株に戻ってくるのでは」と見ている。
第1四半期の結果は、実力の表れ。ここで好成績の銘柄を仕込んでおけば、中間決算以降、株価に反映される公算が大きい。
下表「人気20銘柄の通信簿」や、ダイヤモンド・ザイに掲載した第1四半期決算の「上方修正率」「業績進捗率」が高い好発進の銘柄をチェックして、夏から秋にかけての仕込みの参考にしてほしい。
■3月期決算企業の「人気20銘柄」第1四半期決算をズバリ判定! | |||||
評価 | 対通期 営業利益進捗率 |
最低購入額 | 前年同期比 売上高伸び率 |
前年同期比 営業利益伸び率 |
最新の株価 |
強気 | ◆ヤフー(4689・東1) | ||||
36.6% | 4万円 | 9.0% | -8.9% | ||
【銘柄コメント】営業利益は8.9%減だったが、市場平均予想を上回り、アク抜けを意識。コスト増も成長投資として割りきれる。 | |||||
強気 | ◆三菱商事(8058・東1) | ||||
34.1%(※) | 32万円 | 2.2倍 | 73.5%(※) | ||
【銘柄コメント】第1四半期は資源分野や機械事業を中心に好調。石炭の市況上昇効果や数量回復効果が寄与したとみられる。(※当期利益) | |||||
強気 | ◆NTTドコモ(9437・東1) | ||||
31.3% | 29万円 | 3.8% | 9.9% | ||
【銘柄コメント】光通信の収入増などで営業利益は市場平均予想を上回る。金融などを含むスマートライフ事業も増益を確保。 | |||||
強気 | ◆トヨタ自動車(7203・東1) | ||||
29.7% | 71万円 | 4.5% | 18.9% | ||
【銘柄コメント】営業利益は18.9%増の6826億円と市場平均予想を上回り、好発進。ただし北米事業は減益でリスク要因。 | |||||
強気 | ◆ソニー(6758・東1) | ||||
29.1% | 61万円 | 5.1% | 23.7% | ||
【銘柄コメント】スマホの不振が目立つが、ゲーム&ネットワークサービス分野の好調が際立つ。営業利益は24%増の254億円。 | |||||
評価 | 対通期 営業利益進捗率 |
最低購入額 | 前年同期比 売上高伸び率 |
前年同期比 営業利益伸び率 |
最新の株価 |
強気 | ◆コマツ(6301・東1) | ||||
28.3% | 32万円 | 15.1% | 85.8% | ||
【銘柄コメント】進捗率は28.3%と好スタート。主力の建設機械は、国内の減少を北米や欧州、アジアの好調が補った。 | |||||
強気 | ◆みずほフィナンシャルグループ(8411・東1) | ||||
28.2%(※) | 2万円 | 20.7% | 36.1%(※) | ||
【銘柄コメント】経常利益は46.9%増の2091億円と市場平均予想を上回る。非金利収支など顧客部門の収益が復調。(※当期利益) | |||||
強気 | ◆オリエンタルランド(4661・東1) | ||||
26.3% | 119万円 | 9.9% | 19.0% | ||
【銘柄コメント】サプライズはないが、好調な出足。35周年イベントの訴求力の強さが再確認できたことは評価材料になる。 | |||||
強気 | ◆エムスリー(2413・東1) | ||||
24.7% | 42万円 | 23.0% | 18.0% | ||
【銘柄コメント】製薬・医療機器企業マーケティング支援ビジネスなど各事業が好調。9月28日に株式分割、流動性も向上へ。 | |||||
強気 | ◆日本電産(6594・東1) | ||||
23.9% | 159万円 | 11.9% | 20.0% | ||
【銘柄コメント】第1四半期は各利益とも過去最高を更新。車載・家電・商業・産業用も順調で、通期計画を上方修正。 | |||||
評価 | 対通期 営業利益進捗率 |
最低購入額 | 前年同期比 売上高伸び率 |
前年同期比 営業利益伸び率 |
最新の株価 |
強気 | ◆三菱重工業(7011・東1) | ||||
19.6% | 41万円 | 0.3% | 4.9倍 | ||
【銘柄コメント】税引前利益は3.2倍。通期計画は据え置いている。発電設備などを手掛けているパワー事業の損益が改善した。 | |||||
強気 | ◆任天堂(7974・東1) | ||||
13.6% | 369万円 | 9.1% | 88.4% | ||
【銘柄コメント】Nintendo Switchの販売台数は予想を下回ったが、ソフトウェアの販売本数が好調に推移。決算への警戒は解消。 | |||||
中立 | ◆富士通(6702・東1) | ||||
56.9% | 41万円 | -6.0% | 16倍 | ||
【銘柄コメント】第1四半期の決算はいいが、退職金給付制度変更やPC事業売却などの特殊要因。海外の減収トレンドは継続。 | |||||
中立 | ◆武田薬品工業(4502・東1) | ||||
49.2% | 48万円 | 0.4% | -49.3% | ||
【銘柄コメント】営業減益だが、前期は株式売却益があったため実質増益。ただし、シャイアー買収の進捗見極めで手掛けづらい。 | |||||
中立 | ◆東日本旅客鉄道(9020・東1) | ||||
28.8% | 102万円 | 2.0% | 0.1% | ||
【銘柄コメント】順調なスタートだが、市場平均予想の範囲内。運輸、流通・サービス、不動産・ホテルの各事業利益は安定的。 | |||||
評価 | 対通期 営業利益進捗率 |
最低購入額 | 前年同期比 売上高伸び率 |
前年同期比 営業利益伸び率 |
最新の株価 |
中立 | ◆パナソニック(6752・東1) | ||||
23.5% | 14万円 | 7.7% | 19.1% | ||
【銘柄コメント】営業利益はほぼ計画線。電池のさらなる増収が見込まれ、第2四半期以降の増益幅拡大に期待したいところ。 | |||||
中立 | ◆村田製作所(6981・東1) | ||||
20.1% | 185万円 | 25.7% | 15.2% | ||
【銘柄コメント】営業利益の進捗率は20.1%と物足りなさがある。ただし、成長期待の大きい車載向けの関心は根強いだろう。 | |||||
中立 | ◆日立製作所(6501・東1) | ||||
19.8% | 8万円 | 3.7% | 12.4% | ||
【銘柄コメント】情報・通信システムや社会・産業システム、建設機械事業が順調。営業利益の進捗率は市場の期待並み。 | |||||
中立 | ◆日本航空(9201・東1) | ||||
14.9% | 40万円 | 8.7% | 0.7% | ||
【銘柄コメント】WEB経由での予約数が増加。国際線旅客事業は好調。営業利益は0.7%増で、会社計画に沿った内容。 | |||||
中立 | ◆新日鐵住金(5401・東1) | ||||
13.8% | 23万円 | 6.3% | -27.6% | ||
【銘柄コメント】営業利益が27.6%減の481億円と、想定線の内容。粗鋼生産見通しは263万トン増産であり、下支え要因。 | |||||
評価と銘柄コメントは村瀬智一さん、若杉篤史さん(ともにRAKAN RICERCA)。最低購入額は2018年8月6日時点の終値より算出。 |
(※関連記事はコチラ!)
⇒日経平均株価の2018年後半~2019年の動きを予測!11月の米・中間選挙前に株価は下落、選挙後に一時的に上昇するも、2019年は先行き不透明感で再び軟調に
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