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日経平均株価は、トルコショックや米中関係が上値を圧迫も、企業業績の好調で下値は堅い!? 難しい相場の今は、25日移動平均線を下回った銘柄の売却が良策!

2018年8月21日公開(2022年3月29日更新)
藤井 英敏
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 「トルコショック」を受け、GDPに対する対外債務比率が高く、経常収支が赤字の新興国の通貨安懸念が燻り続けています。また、関税の引き上げ競争を行い、対米関係が悪化している中国の先行き、景気悪化も同様に懸念されています。このような状況を受け、リスク回避型の投資家が、安全資産の「米国債」や「日本円」を買うため、外国為替市場でドル安・円高となり、これが日本株の上値圧迫の要因として機能しています。

 トルコ問題に関しては、トルコが8月21日から24日まで犠牲祭と呼ばれる休日に入り、金融市場も休場となるため、目先は大きな動きはないでしょう。しかし、トルコの裁判所は17日、トルコ在住の米国人牧師アンドルー・ブランソン氏の釈放申請を却下したため、米国が追加制裁に踏み切るとの観測もあります。このように不穏なムードが続いているため、犠牲祭明けのトルコリラや、それを受けた新興国通貨の動向は、引き続き、マーケットの波乱要因となる見通しです。

 一方、中国問題に関しては、米中の事務レベルの通商協議が22~23日に開かれます。そこで、「両国が11月の国際会議の場を利用して首脳会談の開催を模索している」との報道もあったようです。ですが、一部通信社のインタビューで、20日、トランプ大統領は、(中国との貿易戦争を続ける期間は)「無期限だ」、(事務レベルの協議について)「大きな進展を期待していない」と述べています。確かに、株安や人民元安に見舞われている中国が譲歩して、米中貿易摩擦が和らぐという、楽観的な見方も一部にあるようです。しかしながら、この問題は市場の期待通りの進展をみせずに相当長期化し、今後もときどき、マーケットを大きく動かすことになると、やや慎重にみておいた方がよさそうです。

トルコショックや米中貿易摩擦の影響で
閑散相場が続くが、株価指数の下値は堅い

 このような不透明な外部環境を受け、お盆休みが本格的に明けた20日の東証1部の売買代金は今年2番目の少なさで、超閑散の夏枯れ相場でした。多くの投資家が市場参加せず、様子見を決め込んでいるからでしょう。このため、外部環境が目に見えて改善しない限り、この閑散相場が当面の間、続くことを覚悟しておく必要がありそうです。

 ただし、日経平均株価TOPIXといった株価指数に関しては、下値は堅いとみています。主因は好調な企業業績です。日本経済新聞社が14日までに発表を終えた主要上場企業1588社(金融除く)を集計した結果によれば、56%の企業が増益となり、4社に1社にあたる24%は最高益です。また、2019年3月期通期の純利益は0.3%減と期初予想よりも上振れ、プラス圏への浮上も視野に入ってきたそうです。この好調な業績がバリュエーション面で、日本の株価指数を力強くサポートする見通しです。

■日経平均株価チャート/日足・6カ月
日経平均株価チャート/日足・6カ月日経平均株価チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 しかし、バリュエーションが割安だから買ってくるのは、多くの場合、内外の機関投資家です。彼らの投資対象は、その運用規模の制約から、必然的に大型株が中心になります。よって、下値で買いが見込めるのは当面の間、大型株だけということになるでしょう。

冴えない状況が続く小型株は
いまだ”復活の兆し”なし

 逆に、彼らが関与せず、個人投資家の関与率の高い小型株は現在、悲惨な状況です。また、この悲惨な状況が改善する兆しが残念ながら見当たらない状況です。例えば、20日の東証マザーズ指数の終値は951.93ポイントです。年初来安値は16日の932.07ポイントです。つまり、年初来の底値圏で低迷を続けています。テクニカル的にも、以前まで、サポートとして機能し続けていた60ヵ月移動平均線(20日時点で978.25ポイント)を割り込んだままの状況が続いています。

■東証マザーズ指数チャート/日足・6カ月
東証マザーズ指数チャート/日足・6カ月東証マザーズ指数チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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 もちろん、月足ですので、8月末の終値が同線を上回り、現在の水準が「下ひげ」になっていれば、「終わりよければ全てよし」となります。ただ私が以前から注目している週足のMACD(13週-26週)とシグナル(9週)は共に綺麗に低下中で、一向にゴールデン・クロスする気配がありません。少なくとも、このゴールデン・クロスが実現するまでは、マザーズ銘柄を中心とする小型材料株は、安易な値頃感からの買いは入れるべきではないでしょう。

 なお、市場関係者へのヒアリングベースでは、新興銘柄中心に信用取引を行っている個人の評価損益率は平均してマイナス20%を下回っており、毎日、断続的に追証が発生しているそうです。追証絡みの投げ売りが一気にドッと出て、セリングクライマックスになれば、それはそれで買い場となるケースが多いのですが、なかなかそうなりそうもありません。

 というのは、東証マザーズ指数が1000ポイントの大台を割れて、991.50ポイントを付けた、7月5日に、取り敢えず、投げるべき人は投げ尽くしたため、現在、多額の評価損を抱えている投資家は、「もう一生我慢してもいい。損切りはしない。」と腹をくくっている人が大半のようなのです。このような投資家は、既に現引きをしている、または現引きする用意があることが多く、ある意味「特定株化」しており、当面、市場で流通しないでしょう。

 一方、現引きする資金がない個人は、維持率が証券会社の定める基準値を下回って、且つ、追証を差し入れることができないと、強制決済ということになります。おそらく、そのような強制決済売りが毎日、粛々と証券会社によって執行されていると推察します。ですが、その売り物を拾いにいこうという投資家がほぼ皆無のため、新興市場全体の地盤沈下が止まらないのでしょう。このようにセリクラも発生せず、「陰湿な”じり安”」が続いている限り、新興市場の「底入れ&上昇相場回帰」は夢のまた夢だと思います。

難易度の高い相場への無理な参加を控えるために
「25日移動平均線」をチェックしよう

 私は、株式投資で成り上がりたいのなら、原則として、「25日移動平均線」を下回っている銘柄を保有するべきでないと考えています。よって、もし、あなたの保有する銘柄が25日移動平均線を下回っているのなら、それをすぐに売却し、相場環境が好転するまでは現金のままで置いておいて、虎視眈々と再エントリーのタイミングを待つべきだと思います。正直、ここまで難易度の高い相場に無理して参加する意味はないと感じています。やればやるほど損をする。今はそんな投資環境ですから。

 ただ、個人の中には、ポジションを持っていないと、気が済まない、落ち着かないという、「ポジション中毒」の方もいます。そのようなケースでは、次善策としては、その売却資金の範囲内でいいから、25日移動平均線を上回っている銘柄群(テクニカルが良好で値動きが強い銘柄)の中から、あなたが「これはいい」と思える銘柄に乗り換えるのもありでしょう。とにかく、あなたが大口個人ではなく、資金量が限られた小口の個人なら、資金効率を最優先し、テクニカルが悪くて値動きが弱い銘柄とは1日も早く縁を切るべきです。

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