米国の銀行大手ウエルズファーゴのCEOが空席に!
次期CEOは外部人材をスカウトか
先週、ウエルズファーゴ(ティッカーシンボル:WFC)のティム・スローンCEOが突如引退すると発表しました。彼は米議会に召喚され、下院銀行サービス委員会のマキシン・ウォーターズ委員長らにぎゅうぎゅう絞られたばかりです。
ティム・スローンが議会に呼び出された理由は、2016年9月に発覚した架空口座開設事件以降、続々と明るみに出たウエルズファーゴの不正に関し、経営体質改善の進捗状況の説明を求められたからです。
この公聴会の16日後、「もう自分ではダメだ!」と悟ったスローンは、辞職したわけです。
連邦準備制度理事会からお目付け役としてウエルズファーゴに送り込まれたエリザベス・デューク会長は、「次のCEOは社外からスカウトする」と明言しました。ウエルズファーゴのCEOは必ず社内の叩き上げの人間がなるという伝統がありましたが、初めてその慣習が打ち破られることになるわけです。
次期CEO候補に関しては、現在、全く白紙の状態だそうです。その間、暫定CEOはアレン・パーカー法務担当役員が勤めます。
次期CEOは、FRBや議会からも賛同を得られるような人選でなくてはいけません。
不正問題発覚以降、ウエルズファーゴの株価は
セクター平均を大幅に下回る
2018年2月以降、ウエルズファーゴは、連邦準備制度理事会から「1.95兆ドルを天井として、それ以上、総資産を増やしてはならない」という総量規制を受けています。ジェローム・パウエル議長は、最近「当分ウエルズファーゴへの総量規制を緩和する気は無い」とコメントしました。
ウエルズファーゴの株価は、2016年9月のスキャンダルから起算して+7.3%しか上昇していません。これに対してKBW銀行株指数は、同じ期間で+31%でした。つまり、ウエルズファーゴの株価は、セクターを大幅にアンダー・パフォームしています。
ウエルズファーゴの業績は横ばいだが、
新CEOの就任により投資家からは見直される可能性も
ウエルズファーゴは、かつて全米で最も尊敬される銀行でしたし、時価総額もトップでした。しかし近年は、売上高、純利益ともに頭打ちになっています。
ウエルズファーゴの売上高が下がっている理由は、各種フィーから成る非金利収入がじりじり下がっているからです。
それらのフィーの中には、消費者が間違って口座残高を超える額の小切手を書いたときなどに課せられるペナルティーなどが含まれています。
近年、ウエルズファーゴは、行員にノルマを課して出来高競争させると同時に、どんどんフィーを吊り上げ、預金者から恨みを買っていました。スキャンダル発覚以降、そういう荒っぽい商法はまずいということでフィーを抑制する方針が打ち出されています。
現在、ウエルズファーゴは「1.95兆ドルの総資産を超えてはならない」という天井をFRBから課せられているので、融資を増やす方法で業績を伸ばすことは出来ません。
従って、暫くの間、ウエルズファーゴの業績は横這いを続けることが予想されます。
ただし、配当性向は38%前後で、現在の配当の水準を維持することは問題ありません。
新しいCEOを迎え入れ、監督当局や預金者からの信頼を取り戻せば、投資家から見直される可能性があります。
【今週のまとめ】
ウエルズファーゴにはバフェットも期待!
投資を検討する価値は十分にある
ウエルズファーゴの筆頭株主は、ウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウェイです。4.27億株、発行済み株式数の8.86%を所有しています。
ウエルズファーゴのブランドは、先のスキャンダルでいくぶん傷ついたものの、未だピカピカだと思います。ウエルズファーゴの店舗は、ライバル行のそれより明るくフレッシュです。行員教育は行き届いており、サービスは溌剌としています。
今回のCEO交代を機に、バリュー投資家はそろそろウエルズファーゴへの投資を検討しても良いのではないでしょうか?
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