【今回のまとめ】
1.先進国の経済の基礎的要件は悪化している
2.ドイツの不景気で投資家はドイツ国債を買っている
3.スペイン国債は再び危険水域へ
4.米国の経済指標も弱い一方で、QE3に対する根強い期待がある
5.極端な強気ないし弱気に偏らず、自然体で
くたびれてきたNY市場
先進国の経済の基礎的要件は一層悪化しています。
その一方で、米国では7月31日と8月1日の両日開催されるFOMC(連邦公開市場委員会)でQE3(追加的量的緩和政策第3弾)が発表されるのではないかという期待が出ています。
目下の米国株式市場は、この2つの材料の狭間で、かろうじてバランスを保っている状態です。6月以来の上昇局面のモメンタムには衰えが感じられます。
欧州の投資家はドイツ国債に逃げ込む
そこでまず、先週(7月16日~20日)に発表された経済指標を振り返ると、ZEW(欧州経済センター)による7月の景況感調査では、指数が-19.6と先月の-16.9を下回りました。ZEW景況感指数は、将来の景気の見通しに関するアンケート調査です。
また現在の景況感について質問した、カレント・エコノミック・コンディションに関してもドイツの指数が先月比-12.1を記録し、景況感の悪化が印象付けられました。

景気後退感が強まったことで、欧州の投資家はドイツ国債に逃げ込んでいます。このためドイツの5年債は先週、利回り0.242%という、極めて低い水準(=国債価格は上昇)で取引を終えています。

その半面、スペインの5年債の金利は6.723%に上昇しており、再び危険な水準に近づいています。
米国の決算はかなり“ボロボロ”に
一方、米国に目を転じると、先週は6月の小売売上高(-0.5%)、新規失業保険申請件数(38.6万件)、6月の中古住宅販売件数(437万件)、6月の景気先行指標総合指数(-0.3%)などが相次いで市場予想より悪い数字を記録しました。
さらに決算発表に目を転じると、これまでに決算発表した企業のうち、事前の売上予想を達成したのはわずか43%という、かなりボロボロの結果に終わっています。
売上成長への期待はこのところかなり下方修正されましたが、それすら達成しなかった企業が続出しました。

皮肉にも株式市場は、そういう悪い決算のニュースにはあまり反応しませんでした。これは、すでに悪いニュースがかなり株価に織り込まれていることの表れなのかもしれません。
投資家はいまだ強気過ぎる
このように経済を巡るニュースには明るいものが少ないにも関わらず、下のグラフ(青)に見るように、強気の相場観を持つ投資家がかなり多いのです。
その理由は7月31日と8月1日の両日開催される、次のFOMCでQE3がいよいよ発表されると考える投資家が多いからです。

したがって、次のFOMCでもしQE3が発表されなければ、市場は落胆する可能性があります。そのリスクを考慮すると、現在の株価水準は中途半端な水準だと言えるでしょう。

上のS&P500指数のチャートからもわかるように、6月以降の上昇トレンドはいまだ維持されていますが、ここは、極端に強気ないしは弱気の相場観に偏ることなく、中立的、つまり「自然体」の姿勢で臨むのがよいと思います。
今週の決算スケジュール
今週の主な決算のスケジュールを掲げておきます。なお表中の「ウィスパー」とは“ささやき”の意味で、決算直前の投資家の期待値を示しています。

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