【今回のまとめ】
1.先週の雇用統計は悪かった
2.今回のリセッションでは特に雇用の回復が遅い
3.それは米国大統領選挙に影響を及ぼしかねない
4.「QE3」が発表される確率は高まった
5.世界の中央銀行が揃い踏みで緩和しているときは強気を堅持せよ
足踏み状態の米国雇用統計
先週金曜日(7月6日)に発表された6月の非農業部門雇用者数はプラス8.0万人と、3カ月連続して10万人を下回る数字でした。

失業率も8.2%に張り付いたままでした。

このため年初には「あわよくば11月の大統領選挙までには失業率が8%台を切るかも」という期待を抱いていたオバマ陣営は焦り始めています。
雇用回復が特に遅い今回のリセッション
リーマンショック以降の今回のリセッションでは、過去の景気後退局面に比べて雇用の回復に特に時間がかかっています。

リーマンショックから既に4年近くが経過しましたが、現在の雇用水準はまだまだ直近のピークからは程遠く、リセッション前の水準に戻るまでには今後も長い時間を要すると思われます。
雇用を選挙戦の争点にするミット・ロムニー候補
共和党のミット・ロムニー候補はこのような状況を見て、「雇用」を選挙戦の中心的な争点にしようとしています。
現在の両候補の支持率は、以下のようになっています。

上に示した「リアルクリアポリティクス」は米国政治に特化したウェブメディアです。同社のデータは全米のあらゆる有権者投票意向調査を全て集計したものですので、最も包括的な統計だと考えることが出来ます。
現在は僅差でオバマ大統領が優勢ですが、未だ11月の投票までは時間がありますので、選挙戦の動向は予断を許しません。
FRB議長の態度は変化するか?
さて、今回の雇用統計に改善が全く見られなかったことで、バーナンキFRB(連邦準備制度理事会)議長の挙動が再び注目されています。目先のカギを握る日付は7月17日、18日の両日に催される、バーナンキ議長の上院議会証言です。また、次回の連邦公開市場委員会は7月31日と8月1日の2日間にわたって開催されます。
このどちらかのイベントでバーナンキ議長の態度に変化が見られるかどうかに市場関係者の注目が集まるものと思われます。
いまアメリカで最も注目されるFEDウォッチャー(FRBの金融政策を専門に研究する人)であるウォールストリート・ジャーナルのジョン・ヒルゼンラース記者は、雇用統計が発表された7月6日の午後に「QE3(量的金融緩和第3弾)の可能性が少し高まった」という見方を打ち出しています。
世界的な金融緩和が相場を下支えする
先週はECB(欧州中央銀行)と中国人民銀行が相次いで政策金利を引き下げたほか、英中銀も資産買い入れプログラムを500億ポンド拡大し、3750億ポンドとしました。
このように各国中央銀行がこぞって緩和している状況では、市場参加者のリスク姿勢が高まる可能性があります。したがって、相場が押し目をつけたところは積極的に買い向かうスタンスを堅持したいと思います。
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