2021年2月に新規上場した「IPO株」の中で、アナリストが「強気」と診断する「QDレーザ(6613)」と「WACUL(4173)」をチェック!
発売中のダイヤモンド・ザイ5月号には、連載「10倍株を探せ!【IPO株】研究所」を掲載!「IPO」とは、企業が上場して、市場に株式を公開すること。IPO株は公開価格と比較して、初値が大幅に上昇する場合が多いほか、上場してからも値動きがダイナミックで、短期間のうちに急騰することも少なくない。ただし、上場直後に盛り上がった後、すぐさま失速してしまう銘柄もあるため、“玉石混交”な側面もある。
この連載では、直近で新規上場したIPO株にスポットを当て、IPO株の専門家であるフィスコの小林大純さんが、今後の投資判断を「買い」「強気」「中立」「弱気」「売り」の5段階で評価。今回は2021年2月に新規上場したIPO株の中から、今後さらなる成長の可能性を秘めた注目の2銘柄をピックアップして解説する。「成長株」投資に興味がある人は、ぜひ参考にしてほしい!
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2021年2月に新規上場したのは全部で7銘柄!
すべて初値が公開価格を上回り、なかには4倍以上になった銘柄も
2021年2月に新規上場を果たしたのは全部で7銘柄で、いずれも初値が公開価格を上回った。1月に新規上場銘柄が一つもなかったこともあって、2月5日上場のQDレーザ(6613)には資金が集中。初値は公開価格の2.3倍まで上昇した。
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ほかにも、初値が公開価格の2倍以上になった銘柄は4つあり、WACUL(4173)とアピリッツ(4174)はなんと4倍以上に。2月の上場銘柄の好調ぶりについて、フィスコの小林大純さんは次のように分析する。
「メガネ型ディスプレイを開発したQDレーザへの注目度は高く、初値後も株価上昇が続きました。今年初のIPO株の好調が、その後上場する企業への追い風になったのです」(小林さん)
また、2月中旬に日経平均株価が30年ぶりに3万円を超えたことも、IPO市場にとってはプラスに。「日経平均採用銘柄などへの高値警戒感が高まったのがその理由です。一方、上場間もない株は株価に過熱感がないだろうという思惑で、個人投資家の資金が流入しました」(小林さん)
そのため、公募額が大きかったQDレーザやアクシージア(4936)、coly(4175)などにも買いが集まり、初値が好調だったというわけだ。
しかし、2月末になると、米国の長期金利上昇などの影響で、日経平均株価は一時1200円超下落し、IPO株の多くも急落した。金利が上昇する局面では、PERが高いIPO株は下落しやすい。こういったリスクが高まる中でも「買い」なのは、”大幅増収が期待できる銘柄”に限られてくるだろう。
2021年2月の【IPO株】7銘柄の投資判断は? |
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上場日 | 公開価格 | 初値 (騰落率) |
株価 (3/3) |
予想PER (PBR) |
今後1年の 高値予想 (安値予想) |
投資判断 |
5日 | ◆QDレーザ(6613・東M) | |||||
340円 | 797円 (+134.4%) |
1315円 | -倍 (32.09倍) |
2300円 (900円) |
強気 | |
【分析コメント】光通信などで用いられる「量子ドットレーザ」技術に強み。また、消費者向け製品としてメガネ型ディスプレイの展開に期待。 | ||||||
10日 | ◆アールプランナー(2983・東M) | |||||
2210円 | 5000円 (+126.2%) |
2975円 | 13.6倍 (1.80倍) |
4000円 (2000円) |
中立 | |
【分析コメント】愛知県を中心に「アールギャラリー」などのブランドで戸建住宅事業を展開。首都圏での販売拡大などに期待も、株価は割安感乏しい。 | ||||||
18日 | ◆アクシージア(4936・東M) | |||||
1450円 | 2051円 (+41.5%) |
1520円 | 44.4倍 (15.79倍) |
2000円 (1000円) |
中立 | |
【分析コメント】化粧品・サプリメントを展開。成長期待の高い中国大手ECサイトとの提携など、マーケティングに強み。同業他社に比べPERが高い。 | ||||||
19日 | ◆WACUL(4173・東M) | |||||
1050円 | 4645円 (+342.4%) |
3055円 | 554.4倍 (65.59倍) |
4500円 (3000円) |
強気 | |
【分析コメント】アクセス解析ツール「AIアナリスト」を用いたウェブサイト改善サービスを提供。デジタル活用を進めたい企業からの受注が好調。 | ||||||
25 日 |
◆アピリッツ(4174・東J) | |||||
1180円 | 5600円 (+374.6%) |
5330円 | 64.0倍 (4.50倍) |
7500円 (3500円) |
中立 | |
【分析コメント】ECサイト支援のWebソリューション事業とオンラインゲーム事業を展開。高成長が続くも、急騰で株価には過熱感がある。 | ||||||
26 日 |
◆室町ケミカル(4885・東J) | |||||
820円 | 1424円 (+73.7%) |
1500円 | 28.8倍 (17.61倍) |
1600円 (700円) |
中立 | |
【分析コメント】医薬品の有効成分である原薬や健康食品、液体処理関連製品を手掛ける。原薬需要は強いが、減収予想で類似企業よりPERも高い。 | ||||||
26 日 |
◆coly(4175・東M) | |||||
4130円 | 8450円 (+104.6%) |
7640円 | 31.1倍 (26.47倍) |
1万円 (5000円) |
中立 | |
【分析コメント】モバイルオンラインゲームを展開。21年1月期は「魔法使いの約束」をけん引役に大幅増収増益予想。業績好調が維持できるか注目。 | ||||||
アナリストの注目は、新商品への期待が高い「QDレーザ」と、
主力サービスが絶好調な「WACUL」の2銘柄!
ここからは、2021年2月に新規上場した7銘柄の中で、小林さんが特に注目している2銘柄を詳しく紹介していこう。
まずは、久々のIPO株ということで注目を集めたQDレーザ(6613)だ。
QDレーザは、光通信やバイオ系検査装置、精密加工などで用いられる「量子ドットレーザ」に強みを持つ、技術力が高い企業。視力やピント位置に依存せず、常に映像がクリアに見えるメガネ型ディスプレイを販売しており、上場前から投資家からの期待が高かった。
上場直後は株価が急騰して過熱感があり、2月中旬から株価は下落したものの、3月中旬からは回復基調。2021年3月期は28%の増収を予想しており、上場で調達した資金で、メガネ型ディスプレイを2022年3月期に2500台、2023年3月期以降に5万7000台生産する見通し。大手企業との提携も相次いでいることから、投資拡大で赤字が続くものの、中長期的な業績成長が期待できる。
続いて紹介するのは、ウェブサイト改善ツールのWACUL(4173)だ。
WACULは、日本企業のDX(デジタルトランスフォーメーションの略。デジタル技術を浸透させることで、社会や生活、企業の生産性をより良いものへ変換させるという意味)進展により、ウェブ解析ツール「AIアナリスト」の販売が好調。大幅増収で、2021年2月期は黒字転換の見通し。さらに、2022年2月期は売上高が(前期予想比)48.6%増、営業利益が3.4倍となる見込みだ。
足元の株価は、上場直後のPERが600倍超と株価に過熱感があったうえに、ベンチャーキャピタルの保有株が多かったことから、下落が続いている。しかし、主力サービスは安定収益が見込める継続課金ビジネスで、売上高総利益率も80%超と収益力も高いことから、今後は高PERでも買われる可能性が高い。
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■「IPO株が当たらない!」という人は、まずこちらの記事へ!
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【2024年11月1日時点】
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◆SMBC日興証券 | ||||
主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) | ネット配分・抽選方法 | 口座数 | ||
2023 | 2022 | 2021 | ||
19社 52社 |
24社 47社 |
26社 80社 |
10%:1人1票の平等抽選 最大5%:「ステージ別抽選」※1 |
345万 |
【ポイント】 大手証券の中でもIPOに力を入れており、例年、主幹事数・取り扱い銘柄数ともに全証券会社中でトップクラス! また、国内五大証券会社のひとつだけあり「日本郵政グループ3社」や「JR九州」「ソフトバンク」などの超大型IPOでは、主幹事証券の1社として名を連ねることも多い。10%分の同率抽選では、1人1単元しか申し込めないので資金量に関係なく誰でも同じ当選確率となっているのがメリット。さらに、2019年2月からは、預かり資産などによって当選確率が変わる「ステージ別抽選」がスタート。平等抽選に外れた人を対象にした追加抽選で、最高ランクの「プラチナ」だと1人25票が割り当てられて当選確率が大幅にアップする。 ※1 預かり資産残高などによって決まる「ステージ」ごとに、別途抽選票数が割り当てられる。 |
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◆SBI証券 | ||||
主幹事数(上)/取扱銘柄数(下) | ネット配分・抽選方法 | 口座数 | ||
2023 | 2022 | 2021 | ||
21社 91社 |
13社 89社 |
21社 122社 |
60%:1単元1票の平等抽選 30%:「IPOチャレンジポイント」順に配分 10%:知識・経験・資力と取引状況を踏まえて配分 |
1245万 ※ |
【ポイント】 ネット証券にもかかわらず、主幹事数、取扱銘柄数ともに大手証券会社に引けをとらない実績を誇る。特に取扱銘柄数がダントツで、2023年は全96社中91社と約95%のIPO銘柄を取り扱った。つまり、SBI証券の口座さえ持っていれば、ほとんどのIPO銘柄に申し込めると考えていいだろう。個人投資家への配分の100%がネット投資家へ配分されるのも魅力。1単元1票の抽選なので、多くの単元を申し込むほど当選確率は高くなる。当選確率がアップする「IPOチャレンジポイント」が、資金量・取引量と関係なく、IPOに申し込み続ければ誰にでも貯められるのもメリットだ。また、スマートフォン専用サイトでIPOの申し込みや情報確認ができるのも便利。 ※SBIネオトレード証券、FOLIOの口座数を含んだSBIグループ全体の口座数。 |
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※ 主幹事数、取扱銘柄数はREITを除く。口座数は2023年12月末時点。 |