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「アップル株価下落」と「オバマ再選」の意外な関係

【第242回】 2012年12月3日公開(2025年6月3日更新)
広瀬 隆雄
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【今回のまとめ】
1.オバマ大統領のプランでは裕福層は来年大幅な増税になる
2.その前に駆け込み特別配当を発表する企業が相次いでいる
3.長期キャピタルゲイン税率も引き上げられる可能性がある
4.アップルなど含み益が乗っている株はこの影響で利食われた
5.共和党対民主党の対立はクリスマスを前にエスカレートすると覚悟せよ

 先週の米国株式市場はまちまちでした。ダウ工業株価平均指数は+0.1%、S&P500指数は+0.5%、ナスダック総合指数は+1.5%でした。

 これは「財政の崖」を前に投資家が様子見を決め込んでいるからだと説明されています。「財政の崖」とは、ブッシュ大統領の時代に導入された減税策をはじめとする様々な不況対策が、今年の年末に終了することを指します。

オバマ大統領の「財政の崖」回避プランによる、さまざまな影響

 オバマ大統領ならびに民主党は、財政赤字を削減する切り札は増税であると考えています。とりわけ裕福層に対しては「もっと負担してほしい」と厳しい態度をとっています。

 2012年の実効最高税率は37.9%ですが、オバマ案ではこれが44.6%になります。

税率引き上げの内訳は:
1.最高税率を現行の35%から39.6%へ
2.メディケア税を現行の2.9%から3.8%へ
3.税控除に上限を設定する→実質的に1.2%の増税となる

からなっています。

 配当収入に関しては、現行の15%の税率が、「オバマ・プラン」では一気に実効最高税率である44.6%になるため、投資家のとってはせっかく配当をもらっても、それが税金で半分近く持っていかれるリスクが高まっているのです。

特別配当ブーム。配当実施企業は例年の3倍に

 このため多くの企業は、税率が上がるかもしれない来年まで待たず、今のうちに特別配当を出しておこうと考え、相次いで特別配当を発表しています。11月に特別配当を発表した企業は175社にのぼり、これは通常の3倍のペースです。

 具体的にはコストコ(ティッカー:COST)ラスベガス・サンズ(LVS)などがその例です。またウォルマート(WMT)ウォルト・ディズニー(DIS)は配当の支払いを前倒しにしました。

 また、米国企業の多くは海外の子会社に利益が蓄積されています。その利益をアメリカに送金すると課税される場合があります。そこで海外子会社の利益は動かさず、米国内で社債を発行するなどして配当原資を確保する企業もあります。このため米国では年末を前にして時ならぬ資金調達ブームが起きています。

 さらに、オバマの提案では、米国株の個別銘柄を保有する株主に対しても影響が出てくる項目が含まれています。

 さらにオバマ・プランでは、「長期キャピタルゲイン税率」も現行の15%から23.8%(高所得世帯の場合)へと引き上げることが提案されています。これは近年特にパフォーマンスがよく、含み益が乗っている銘柄を保有している投資家にとって、年末の前に利食いするインセンティブを与えます。アップル(AAPL)株が調整した一因はここにあると指摘する向きもあります。

不透明感の持ち越しはマーケットにとってよくない

 以上に論じたシナリオは、あくまでも現行のオバマ・プラン下でのシナリオであり、今後の「財政の崖」の交渉の過程で、さまざまな譲歩があるものと思われます。

 「財政の崖」の回避については「とりあえず支出の一斉削減だけは臨時の合意で回避し、税制改革に関してはもっと議論を詰める必要があるから、来年やろう」という話になるケースもあるでしょう。

 その場合問題なのは、投資家の多くが(「財政の崖」問題は、いずれにせよ今年の年末で結論が出る…、それから後は、フレッシュな気持ちで仕切り直し出来る)と考えている点とのギャップです。

 いざ、フタを開けてみると、増税論議が来年もダラダラと続く…、そういうリスクも実は大きいのです。

財政の崖をめぐる対立は、クリスマス直前まで続く

 ここで大事なのは、共和党も民主党も自分たちの支持者に対して「オレは頑張った」という実績作り、言い換えればパフォーマンスを演じる必要がある点です。

 共和党としては「オレは最後まで増税反対の立場を貫いた」という実績を作る必要がありますし、逆に民主党としては「社会福祉支出を護り、裕福層からより多くの税金をむしり取った」と有権者にアピールしたいわけです。

 これらは真っ向から対立する価値観であり、その双方が五分五分で拮抗しているので、話し合いが前に進まないわけです。

 双方が「土壇場まで粘った」という点を誇示したい以上、この問題はクリスマス直前まで揉めると思います。株式市場的には、今後も二転三転してもおかしくないわけです。

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