【今回のまとめ】
1.オバマ大統領のプランでは裕福層は来年大幅な増税になる
2.その前に駆け込み特別配当を発表する企業が相次いでいる
3.長期キャピタルゲイン税率も引き上げられる可能性がある
4.アップルなど含み益が乗っている株はこの影響で利食われた
5.共和党対民主党の対立はクリスマスを前にエスカレートすると覚悟せよ
先週の米国株式市場はまちまちでした。ダウ工業株価平均指数は+0.1%、S&P500指数は+0.5%、ナスダック総合指数は+1.5%でした。
これは「財政の崖」を前に投資家が様子見を決め込んでいるからだと説明されています。「財政の崖」とは、ブッシュ大統領の時代に導入された減税策をはじめとする様々な不況対策が、今年の年末に終了することを指します。
オバマ大統領の「財政の崖」回避プランによる、さまざまな影響
オバマ大統領ならびに民主党は、財政赤字を削減する切り札は増税であると考えています。とりわけ裕福層に対しては「もっと負担してほしい」と厳しい態度をとっています。
2012年の実効最高税率は37.9%ですが、オバマ案ではこれが44.6%になります。
税率引き上げの内訳は:
1.最高税率を現行の35%から39.6%へ
2.メディケア税を現行の2.9%から3.8%へ
3.税控除に上限を設定する→実質的に1.2%の増税となる
からなっています。
配当収入に関しては、現行の15%の税率が、「オバマ・プラン」では一気に実効最高税率である44.6%になるため、投資家のとってはせっかく配当をもらっても、それが税金で半分近く持っていかれるリスクが高まっているのです。
特別配当ブーム。配当実施企業は例年の3倍に
このため多くの企業は、税率が上がるかもしれない来年まで待たず、今のうちに特別配当を出しておこうと考え、相次いで特別配当を発表しています。11月に特別配当を発表した企業は175社にのぼり、これは通常の3倍のペースです。
具体的にはコストコ(ティッカー:COST)、ラスベガス・サンズ(LVS)などがその例です。またウォルマート(WMT)やウォルト・ディズニー(DIS)は配当の支払いを前倒しにしました。
また、米国企業の多くは海外の子会社に利益が蓄積されています。その利益をアメリカに送金すると課税される場合があります。そこで海外子会社の利益は動かさず、米国内で社債を発行するなどして配当原資を確保する企業もあります。このため米国では年末を前にして時ならぬ資金調達ブームが起きています。
さらに、オバマの提案では、米国株の個別銘柄を保有する株主に対しても影響が出てくる項目が含まれています。
さらにオバマ・プランでは、「長期キャピタルゲイン税率」も現行の15%から23.8%(高所得世帯の場合)へと引き上げることが提案されています。これは近年特にパフォーマンスがよく、含み益が乗っている銘柄を保有している投資家にとって、年末の前に利食いするインセンティブを与えます。アップル(AAPL)株が調整した一因はここにあると指摘する向きもあります。
不透明感の持ち越しはマーケットにとってよくない
以上に論じたシナリオは、あくまでも現行のオバマ・プラン下でのシナリオであり、今後の「財政の崖」の交渉の過程で、さまざまな譲歩があるものと思われます。
「財政の崖」の回避については「とりあえず支出の一斉削減だけは臨時の合意で回避し、税制改革に関してはもっと議論を詰める必要があるから、来年やろう」という話になるケースもあるでしょう。
その場合問題なのは、投資家の多くが(「財政の崖」問題は、いずれにせよ今年の年末で結論が出る…、それから後は、フレッシュな気持ちで仕切り直し出来る)と考えている点とのギャップです。
いざ、フタを開けてみると、増税論議が来年もダラダラと続く…、そういうリスクも実は大きいのです。
財政の崖をめぐる対立は、クリスマス直前まで続く
ここで大事なのは、共和党も民主党も自分たちの支持者に対して「オレは頑張った」という実績作り、言い換えればパフォーマンスを演じる必要がある点です。
共和党としては「オレは最後まで増税反対の立場を貫いた」という実績を作る必要がありますし、逆に民主党としては「社会福祉支出を護り、裕福層からより多くの税金をむしり取った」と有権者にアピールしたいわけです。
これらは真っ向から対立する価値観であり、その双方が五分五分で拮抗しているので、話し合いが前に進まないわけです。
双方が「土壇場まで粘った」という点を誇示したい以上、この問題はクリスマス直前まで揉めると思います。株式市場的には、今後も二転三転してもおかしくないわけです。
【※米国株を買うならこちらの記事もチェック!】
⇒米国株投資で注意が必要な「為替」と「税金」とは?「特定口座(源泉徴収あり)」か「NISA口座」で投資をして、口座内に「米ドル」を残さないのがポイント!
| ※証券や銀行の口座開設、クレジットカードの入会などを申し込む際には必ず各社のサイトをご確認ください。なお、当サイトはアフィリエイト広告を採用しており、掲載各社のサービスに申し込むとアフィリエイトプログラムによる収益を得る場合があります。 |
【2025年12月1日時点】
「米国株」取扱数が多いおすすめ証券会社 |
| ◆SBI証券 ⇒詳細情報ページへ | |
| 米国株の取扱銘柄数 | 取扱手数料(税込) |
| 約4900銘柄以上 | <現物取引>約定代金の0.495%(上限22米ドル)/<信用取引>約定代金の0.33%(上限16.5米ドル) |
|
【SBI証券のおすすめポイント】 |
|
| 【関連記事】 ◆【SBI証券の特徴とおすすめポイントを解説!】株式投資の売買手数料の安さは業界トップクラス! IPOや米国株、夜間取引など、商品・サービスも充実 ◆「株初心者&株主優待初心者が口座開設するなら、おすすめのネット証券はどこですか?」桐谷さんのおすすめは松井、SBI、東海東京の3社! |
|
| ◆楽天証券 ⇒詳細情報ページへ | |
| 米国株の取扱銘柄数 | 取扱手数料(税込) |
| 約5100銘柄以上 | <現物取引>約定代金の0.495%(上限22米ドル)/<信用取引>約定代金の0.33%(上限16.5米ドル) |
| 【楽天証券おすすめポイント】 米国、中国(香港)、アセアン各国(シンガポール、タイ、マレーシアなど)と幅広い銘柄がそろっており、米国株の信用取引も利用可能! 指定の米国ETF15銘柄については買付手数料が無料で取引ができるのもお得。米ドル⇔円の為替取引が0円と激安! さらにNISA口座なら、米国株の売買手数料が完全無料(0円)。米国株の注文受付時間が土日、米国休場を含む日本時間の朝8時~翌朝6時と長いので、注文が出しやすいのもメリット。米国株式と米国株価指数のリアルタイム株価、米国株オーダーブック(板情報)、さらに米国決算速報を無料で提供。ロイター配信の米国株個別銘柄ニュースが、すぐに日本語に自動翻訳されて配信されるのもメリット。米国株の積立投資も可能。米国株の貸し出しで金利がもらえる「貸株サービス」も行っている。 |
|
| 【関連記事】 ◆【楽天証券おすすめのポイントは?】トレードツール「MARKETSPEED」がおすすめ!投資信託や米国や中国株などの海外株式も充実! ◆【楽天証券の株アプリ/iSPEEDを徹底研究!】ログインなしでも利用可能。個別銘柄情報が見やすい! |
|
| ◆マネックス証券 ⇒詳細情報ページへ | |
| 米国株の取扱銘柄数 | 取扱手数料(税込) |
| 約5100銘柄以上 | <現物取引>約定代金の0.495%(上限22米ドル)/<信用取引>約定代金の0.33%(上限16.5米ドル) |
| 【マネックス証券のおすすめポイント】 外国株式の取り扱い銘柄数はトップクラス! また、米国株の買付時の為替手数料が0円(売却時は1ドルあたり25銭)となるキャンペーンが長期継続しており、実質的な取引コストを抑えることができる。さらに、外国株取引口座に初回入金した日から20日間は、米国株取引手数料(税込)が最大3万円がキャッシュバックされる。米国ETFの中で「米国ETF買い放題プログラム」の対象22銘柄は、実質手数料無料(キャッシュバック)で買付が可能。米国株の積立サービス「米国株定期買付サービス(毎月買付)」は25ドルから。コツコツ投資したい人に便利なサービス。米国株は、時間外取引に加えて店頭取引サービスもあり日本時間の日中でも売買できる。しかもNISA口座なら、日本株の売買手数料が無料なのに加え、外国株(海外ETF含む)の購入手数料も全額キャッシュバックされて実質無料! 企業分析機能も充実しており、一定の条件をクリアすれば、銘柄分析ツール「銘柄スカウター米国株」「銘柄スカウター中国株」が無料で利用できる。 |
|
| 【関連記事】 ◆【マネックス証券の特徴とおすすめポイントを解説】「単元未満株」の売買手数料の安さ&取扱銘柄の多さに加え、「米国株・中国株」の充実度も業界最強レベル! |
|
| ◆松井証券 ⇒詳細情報ページへ | |
| 米国株の取扱銘柄数 | 取扱手数料(税込) |
| 約5000銘柄以上 | <現物取引>約定代金の0.495%(上限22米ドル)/<信用取引>約定代金の0.33%(上限16.5米ドル) |
| 【松井証券のおすすめポイント】 米国株の売買手数料は他の大手ネット証券と同水準なうえ、為替手数料は完全無料(0円)とお得!さらにNISA口座では、米国株の取扱手数料が無料に! 米国株でも信用取引が可能で手数料が業界最安水準。2025年7月から米国株のプレマーケットに対応し、日本時間18時(夏時間は17時)から取引が可能になったのもメリット。さらに投資情報ツール「マーケットラボ米国株」や専用の取引ツール、リアルタイム株価が無料、夜間での取引に便利な返済予約注文(IFD注文)、米国株専用ダイヤル「米国株サポート」や「株の取引相談窓口(米国株)」などが特徴となっている。また、米国株専用の「松井証券 米国株アプリ」は、リアルタイム株価の表示に加え、米国株の情報収集から資産管理、取引までスマホで対応可能だ。 |
|
| 【関連記事】 ◆【松井証券のおすすめポイントは?】1日50万円以下の株取引は手数料0円(無料)! その他の無料サービスと個性派投資情報も紹介 ◆「株初心者」におすすめの証券会社を株主優待名人・桐谷広人さんに聞いてみた! 桐谷さんがおすすめする証券会社は「松井証券」と「SBI証券」! |
|
| ◆moomoo証券 ⇒詳細情報ページへ | |
| 米国株の取扱銘柄数 | 取扱手数料(税込) |
| 約6300銘柄以上 | <現物・信用取引>約定代金の0.132%(上限22米ドル) |
| 【moomoo証券のおすすめポイント】 米国やカナダ、オーストラリア、シンガポール、マレーシアなどグローバルにサービスを展開するネット証券。米国株には特に力を入れており、取扱銘柄数は業界トップクラス。売買手数料も大手ネット証券の4分の1程度だ(ただし売買手数料の上限は22米ドルと他社と同水準)。さらに、為替手数料が無料なので、米国株の売買コストのお得さでは頭ひとつ抜け出している。米国株に関するデータや情報も充実。最大上下60本の板情報や過去20年分の財務データ、大口投資家の売買動向など、銘柄分析に役立つさまざまな情報が無料で利用できる。24時間取引に対応しているので、日本時間の昼間にも売買が可能。1ドルから米国株を買うこともできる。取引アプリには対話型AIの「moomoo AI」を搭載。米国株の基礎知識から米国市場の動向、銘柄分析まであらゆる質問に答えてくれるので、米国株初心者には力強い味方となるだろう。 |
|
| 【関連記事】 ◆【moomoo証券のおすすめポイントを解説】米国株投資家には特におすすめの米国生まれのネット証券! プロレベルの高機能ツールやAIツールも魅力! |
|
| ※ 本記事の情報は定期的に見直しを行っていますが、更新の関係で最新の情報と異なる場合があります。最新の情報は各社の公式サイトでご確認ください。 |





































