【今回のまとめ】
1.キプロスへの金融支援が決まった
2.預金者も巻き込んだ解決策になっていた
3.キプロスの銀行預金は一時的に封鎖された
4.キプロスの預金の多くはロシアのオフショア・マネー
5.舞台裏で救済を巡ってロシアとドイツがバトル
6.ギリシャやスペインの預金者の動きに注目すること
16日土曜日の発表の内容
先週の土曜日(3月16日)に、欧州連合(EU)がキプロスへの金融支援の具体的方法を決めました。金融支援は二段構えになっています。
1.EUならびに国際通貨基金(IMF)が最大100億ユーロを支援
2.キプロスの銀行の預金者に58億ユーロの「預金税」を課税
合計で158億ユーロの支援ということになりますが、これは当初キプロスが希望していた170億ユーロより少ない金額であるのみならず、預金者を巻き込んだ解決策になっており、金融関係者を驚かせました。
今回、EUは「預金者にも痛みを負担してもらいたい」ことを明確に打ち出し、キプロスの銀行にある預金のうち10万ユーロ以上の部分については9.9%、それ以下の部分については6.75%の「預金税」を課すと発表しています。
預金封鎖はもう行なわれている
このニュースが正式発表される直前に、キプロスでは一時的な預金封鎖が実施されました。つまりオンライン取引で預金を移動したりできなくなったのです。ATM(現金自動預け払い機)からもお金が引き出せなくなっています。
18日月曜日は、キプロスの銀行休業日です。つまり19日火曜日の朝に銀行が開いた時には、預金者の口座から、10万ドル以上の部分についてはその9.9%が、10万ドル以下の部分についてはその6.75%が、こつ然と消えてしまっていることになるわけです。
なぜキプロス?
キプロスはトルコの南の地中海に浮かぶ島国です。同国は欧州、中東、アフリカに近いという地の利を生かしてタックスヘイブンになることを目指しました。
ソ連が崩壊した後、ロシアの富豪層が税金を忌避し、マネー・ロンダリング(資金洗浄)するためにキプロスにペーパー会社を設立するということが流行しました。
その後、キプロスは2004年に欧州連合(EU)に加盟しました。その際にキプロスは同国の銀行業界の影の部分を粛清するはずだったのですが、体質改善が遅々として進まないまま、今日に至りました。
ロシアとドイツのエゴのぶつかり合い
ギリシャ問題で南欧諸国の銀行が相次いで危機に見舞われた際、キプロスの銀行セクターの不健全性も露見しました。
しかしキプロスの銀行を欧州連合のおカネで支援するということは、欧州連合に加盟していないロシアの富豪の預金を、EUのおカネで保護することになってしまうという矛盾が生じるのです。EUの中心メンバーであるドイツは、そのような救済方法にとりわけ難色を示しました。
したがって今回、EU側がキプロスの希望した170億ユーロを満額支援するのではなく、わずか100億ユーロの支援にとどめたということは、ドイツのメルケル首相にとっては「駆け引きに勝った」と胸を張れる結果だったと言えます。
なぜ小口預金者も巻き添えになったのか?
はっきり言って、ロシアから逃避した税金逃れやマネー・ロンダリングのお金に9.9%の「預金税」を課すことに関しては、同情の声は多くありません。しかし10万ユーロ以下の金額を預金している、キプロス市民にも6.75%の「預金税」が降りかかって来ることに関しては「なぜ弱者までもが巻き添えになるのだ」という声があります。
これに関しては、もしロシア人だけをターゲットにして課税してしまうと税率が10%を超えてしまうし、あからさまに外国人だけに不当な取り扱いをする印象を与えてしまいます。9.9%なら「この程度はマネー・ロンダリングの必要経費だから、仕方ない」と諦めがつくけれど、それ以上負担が多くなると「金輪際、キプロスの銀行は、使わない」と考えるロシア人が相次ぐ可能性があるわけです。
キプロスとしては、今後もオフショアの金融センターとしての役割を担っていきたいと考えていますので、大切なお客さんに逃げられてしまうと困るわけです。
今回、一般の市民も巻き込んだ理由は、「痛み分け」にすることでロシアの富裕層にも納得してもらう意味合いが込められているのです。
ユーロに対する影響
キプロスのGDPはユーロ圏の0.2%にすぎません。またここまで説明してきたように、今回の事件は同国のオフショア・バンキング・センターとしての特殊な事情が影響しています。したがって、ユーロに与える影響は軽微だと考えるべきでしょう。
ただ、ギリシャやスペインには経営内容の悪い銀行が多く存在します。週末のニュースを見て早とちりし、ギリシャやスペインの国民が「自分の銀行でも同様のことが起きるのではないか?」と考え、預金を引き出し始めると、ユーロ圏はとたんに不安定になるでしょう。その場合はユーロが弱含むことも考えられます。
その意味で、18日月曜日以降の欧州の預金者の動きを注視したいと思います。
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