世界投資へのパスポート

米国の非伝統的緩和政策は当面継続の見通しか?6月19日のFOMCは「バーナンキ発言」を軌道修正へ世界の株式市場に一時的な安堵感 トレードのチャンスが生まれる

【第269回】 2013年6月17日公開(2025年4月18日更新)
広瀬 隆雄
facebook-share
twitter-icon
このエントリーをはてなブックマークに追加
RSS最新記事

【今回のまとめ】
1.水曜日の連邦公開市場委員会では現状維持が発表されるだろう
2.新興国の中央銀行は通貨防衛に躍起になっている
3.米国の金融引き締めが新興国に影響するケースは何度もあった
4.今はFRBの事情ではなく、世界への影響を深慮すべき局面

FOMCの金融政策は当面変更なしか

 6月19日に米国の連邦公開市場委員会(FOMC)が当面の金融政策を発表します。市場の予想としては、現行の政策になんら変更は加えられないという見解がコンセンサスになっています。

 とりわけ、債券買い入れプログラムをいつ縮小しはじめるか? という問題については、5月22日に米国連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が示した「次の2、3回のFOMCのうちどこかで縮小を始めるかもしれない」というコメントを撤回し、「当分、何もやりません」というメッセージを打ち出す可能性が強いようです。

 市場参加者がそう考える直接の理由は、ウォールストリート・ジャーナルのFEDウォッチャー、ジョン・ヒルゼンラースが先週木曜日にその可能性を指摘したことによります。

5月22日の引き締め発言は性急過ぎた

 バーナンキ議長が債券買い入れプログラムの縮小をほのめかして以来、世界のマーケットは調整しています。

 下のチャートは、米国の代表的株価指数であるS&P500指数と日経平均株価です。いずれもバーナンキ発言以降、下落に転じています。

 こうした動揺は先進国だけでなく、新興国の株式市場にも広がっています。下のチャートは新興国ETFであるアイシェアーズMSCIエマージングマーケットETFです。

バーナンキ発言以降、世界の投資家のお金が新興国から急速に逃避、その結果、新興国通貨が急落しているので、それらの国の中央銀行は防戦に回っています。

 タイがバーツを買い支えたのはその一例ですし、インドネシア中銀は利上げを行いました。ブラジルはこれまで外国からの投資資金に課してきた金融取引税を緩和しました。

 このように世界の株式市場が動揺した一因は、これまで長くFRBがきわめて緩和的な金融政策を維持してきたため、世界の投資家はより有利な投資先を求めていろいろな資産へ手を出したことによります。また投資家が慢心していたことも指摘できるでしょう。

 しかしFRBが金融を引き締めると、手を広げ過ぎてしまったのを、巻き戻す必要が出て来るわけです。

引き締めに転じる初期段階では市場が過剰反応する

 このようにFRBの方針が変更されるとその余波で世界の市場が急落することは、過去に何度も繰り返されてきました。

 1994年にアメリカの経済が湾岸戦争に絡んだ不況から立ち直り、FRBが金融を引き締め始めた時は南米の株式市場が混乱しました。また、ドットコム・ブームの後半の金融引き締め局面ではロシアのルーブル危機が起きました。

 こうした経験を踏まえ、国際通貨基金(IMF)は先週金曜日に発表されたアメリカに関する年次協議報告書の中で「FRBが引き締めに転じる初期段階では、金融市場が過剰反応するリスクがある。それが長期金利の急上昇を招き、金融市場のボラティリティ(振幅)が増す危険性がある。市場の混乱が長引くようだとそれはいずれ実態経済へも悪影響を及ぼすだろう」と釘をさしています。

世界の株式市場に短期的だがチャンスが産まれそう

 IMFが指摘するように、米国の債券市場ではFRBによる債券買い入れプログラムの縮小を織り込むかたちで長期金利が上昇(債券価格は下落)しはじめています。

 バーナンキ議長は来年の1月で任期が切れます。後任に譲る前に債券買い入れプログラムの縮小を打ち出したいのですが、それはあくまでもFRBの都合にすぎません。

 もし世界の金融市場の混乱が収まらないのであれば、早期引き締めのメリットより、それが作り出す混乱のデメリットの方が大きくなってしまいます。

 そこのあたりまで配慮した上で、6月19日のFOMCではFRBは様子見を決め込むと思います。

 これは世界の株式市場、とりわけ新興国株式市場に安堵をもたらし、短期のトレーディング・チャンスを提供する可能性があります。

 ただしFRBはいずれ引き締めに転じなければいけないので、これはあくまでもごく短期に一回転取るトレーディングだと割り切る必要がありそうです。

【※米国株を買うならこちらの記事もチェック!】
米国株投資で注意が必要な「為替」と「税金」とは?「特定口座(源泉徴収あり)」か「NISA口座」で投資をして、口座内に「米ドル」を残さないのがポイント!

※証券や銀行の口座開設、クレジットカードの入会などを申し込む際には必ず各社のサイトをご確認ください。なお、当サイトはアフィリエイト広告を採用しており、掲載各社のサービスに申し込むとアフィリエイトプログラムによる収益を得る場合があります。
証券会社(ネット証券)比較!売買手数料で比較ページへ
ネット証券会社(証券会社)比較!取引ツールで比較ページへ
 つみたてNISA(積立NISA)おすすめ比較&徹底解説ページへ
証券会社(ネット証券)比較!人気の証券会社で比較ページへ
ネット証券会社(証券会社)比較!株アプリで比較ページへ
 iDeCo(個人型確定拠出年金)おすすめ比較&徹底解説!詳しくはこちら!
ネット証券会社(証券会社)比較!最短で口座開設できる証券会社で比較ページへ
ネット証券会社(証券会社)比較!外国株で比較ページへ
桐谷さんの株主優待銘柄ページへ
証券会社(ネット証券)比較IPO(新規上場)比較ページへ
ネット証券会社(証券会社)比較!キャンペーンで比較ページへ
証券会社(ネット証券)比較!総合比較ページへ
【2025年4月1日時点】

「米国株」取扱数が多いおすすめ証券会社

◆マネックス証券 ⇒詳細情報ページへ
米国株の取扱銘柄数 取扱手数料(税込)
約4900銘柄 <現物取引>約定代金の0.495%(上限22米ドル)※買付時の為替手数料が無料/<信用取引>約定代金の0.33%(上限16.5米ドル)
【マネックス証券のおすすめポイント】
外国株の取扱銘柄数はトップクラス! また、米国株の買付時の為替手数料が0円(売却時は1ドルあたり25銭)となるキャンペーンが長期継続しており、実質的な取引コストを抑えることができる。さらに、外国株取引口座に初回入金した日から20日間は、米国株取引手数料(税込)が最大3万円がキャッシュバックされる。米国ETFの中で「米国ETF買い放題プログラム」対象21銘柄は、実質手数料無料(キャッシュバック)で取引が可能。米国株の積立サービス「米国株定期買付サービス(毎月買付)」は25ドルから。コツコツ投資したい人に便利なサービス。米国株は、時間外取引に加え、店頭取引サービスもあり日本時間の日中でも売買できる。また、NISA口座なら、日本株の売買手数料が無料なのに加え、外国株の購入手数料も全額キャッシュバックされて実質無料! 企業分析機能も充実しており、一定の条件をクリアすれば、銘柄分析ツール「銘柄スカウター米国株」「銘柄スカウター中国株」が無料で利用できる。
【関連記事】
◆【マネックス証券の特徴とおすすめポイントを解説】「単元未満株」の売買手数料の安さ&取扱銘柄の多さに加え、「米国株・中国株」の充実度も業界最強レベル!
【米国株投資おすすめ証券会社】マネックス証券の公式サイトはこちら
◆SBI証券 ⇒詳細情報ページへ
米国株の取扱銘柄数 取扱手数料(税込)
約5300銘柄 <現物取引>約定代金の0.495%(上限22米ドル)/<信用取引>約定代金の0.33%(上限16.5米ドル)
【SBI証券のおすすめポイント】
ネット証券最大手のひとつだけあって、米国から中国、韓国、アセアン各国まで、外国株式のラインナップの広さはダントツ! 米国株は手数料が最低0米ドルから取引可能で、一部米国ETFは手数料無料で取引できる。また、2023年12月1日から米ドルの為替レートを「0円」に引き下げたので、取引コストがその分割安になった。さらにNISA口座なら米国株式の買付手数料が無料なので、取引コストを一切かけずにトレードできる。米国株を積立購入したい人には「米国株式・ETF定期買付サービス」が便利。また、米国株の信用取引も可能。さらに、リアルタイムの米国株価、48種類の米国指数および板情報を無料で閲覧できる点もメリットだ。米国企業情報のレポート「One Pager」、銘柄検索に使える「米国株式決算スケジュールページ」や「米国テーマ・キーワード検索」、上場予定銘柄を紹介する「IPOスピードキャッチ!(米国・中国)」など情報サービスも多彩。「SBI 証券 米国株アプリ」は「米国市場ランキング」「ビジュアル決算」「銘柄ニュース」などの機能が充実している。
【関連記事】
◆【SBI証券の特徴とおすすめポイントを解説!】株式投資の売買手数料の安さは業界トップクラス! IPOや米国株、夜間取引など、商品・サービスも充実
◆「株初心者&株主優待初心者が口座開設するなら、おすすめのネット証券はどこですか?」桐谷さんのおすすめは松井、SBI、東海東京の3社!
【米国株投資おすすめ証券会社】SBI証券の公式サイトはこちら
◆楽天証券 ⇒詳細情報ページへ
米国株の取扱銘柄数 取扱手数料(税込)
約4750銘柄 <現物取引>約定代金の0.495%(上限22米ドル)/<信用取引>約定代金の0.33%(上限16.5米ドル)
【楽天証券おすすめポイント】
米国、中国(香港)、アセアン各国(シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア)と幅広い銘柄がそろっており、米国株の信用取引も利用可能! 指定の米国ETF15銘柄については買付手数料が無料で取引ができるのもお得。さらに、2023年12月からは米ドル⇔円の為替取引が完全無料! NISA口座なら米国株の売買手数料が0円(無料)なのもメリットだ。米国株の注文受付時間が土日、米国休場を含む日本時間の朝8時~翌朝6時と長いので、注文が出しやすいのもメリット。米国株式と米国株価指数のリアルタイム株価、さらに米国決算速報を無料で提供。ロイター配信の米国株個別銘柄ニュースが、すぐに日本語に自動翻訳されて配信されるのもメリット。米国株の積立投資も可能で、積立額は1回3000円からとお手軽。楽天ポイントを使っての買付もできる。銘柄探しには、財務指標やテクニカル分析などの複数条件から対象銘柄を検索できる「米国株スーパースクリーナー」が役に立つ。
【関連記事】
【楽天証券おすすめのポイントは?】トレードツール「MARKETSPEED」がおすすめ!投資信託や米国や中国株などの海外株式も充実!
◆【楽天証券の株アプリ/iSPEEDを徹底研究!】ログインなしでも利用可能。個別銘柄情報が見やすい!
【米国株投資おすすめ証券会社】楽天証券の公式サイトはこちら
◆DMM.com証券(DMM株) ⇒詳細情報ページへ
米国株の取扱銘柄数 取扱手数料(税込)
約2400銘柄 無料
【DMM.com証券おすすめポイント】
米国株の売買手数料が完全無料なので、取引コストに関しては割安! ただし、配当金が円に両替される際の為替スプレッドが1ドルあたり1円と高いので、配当狙いで長期保有する人は注意が必要だ。他社と違う点としては、外貨建ての口座がなく、売却時の代金や配当が自動的に米ドルから円に交換されること。米ドルで持っておきたい人には向かないが、すべて円で取引されるため初心者にとってはわかりやすいシステムと言えるだろう。また、米国株式と国内株式が同じ無料取引ツールで一元管理できるのもわかりやすい。米国株の情報として、米国株式コラムページを設置。ダウ・ジョーンズ社が発行する「バロンズ拾い読み」も掲載されている。
【関連記事】
◆DMM.com証券「DMM株」は、売買手数料が安い!大手ネット証券との売買コスト比較から申込み方法、お得なキャンペーン情報まで「DMM株」を徹底解説!
◆【証券会社比較】DMM.com証券(DMM株)の「現物手数料」「信用取引コスト」から「取扱商品」、さらには「最新のキャンペーン情報」までまとめて紹介!
【米国株投資おすすめ証券会社】DMM.com証券の公式サイトはこちら
【米国株の売買手数料がなんと0円!】
DMM.com証券(DMM株)の公式サイトはこちら
本記事の情報は定期的に見直しを行っていますが、更新の関係で最新の情報と異なる場合があります。最新の情報は各社の公式サイトでご確認ください。

ダイヤモンド・ザイ 2025年6月号好評発売中!
【クレジットカード・オブ・ザ・イヤー 2023年版】2人の専門家がおすすめの「最優秀カード」が決定!2021年の最強クレジットカード(全8部門)を公開! 最短翌日!口座開設が早い証券会社は? おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き
ZAiオンライン アクセスランキング
1カ月
1週間
24時間
楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード!
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!

大企業で1億円
NISA投信グランプリ
チャート入門

6月号4月21日発売
定価950円(税込)
◆購入はコチラ!

楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!Amazonで購入される方はこちら!

[大企業で10倍株!]
◎第1特集
ソニーやサンリオ、JALなど92銘柄
大企業で10倍株!

●日本が誇る大爆騰株!最強10倍株
●夢を買う!次世代テーマ10倍株
●現実的に狙う!手堅い実力10倍株

●若手アナリスト&編集部員が発掘!
株価10倍になるZ世代株
●株価がすべて200円未満!激安10倍株
●オリエンタルランドや東京エレクトロンは?低迷大型株を売り買い診断

◎第2特集
第3回ダイヤモンド・ザイNISA投信2025
グランプリ宣言!
ザイは毎年、個人投資家目線でNISAで買いの投信を表彰します!

●日本株総合部門
●日本中小型株部門
●米国株部門
●世界株部門
●新興国株部門
●リート部門
●フレッシャー賞
●ダメなモンはダメと言います!期待ハズレな残念投信3本を今年も発表!

◎第3特集
値上げに勝つ!インフレ時代の最強節約術77
●コメの値上がりが家計を直撃!食費のワザ
●省エネで家計を守る!光熱費のワザ

●惰性で払っている固定費を点検!生活費のワザ
●もらえる制度はフル活用!医療&教育費のワザ
●資産40億円の億り人マサニーさんの節約術

【別冊付録】
3回集中講座の第1回!
買い時・売り時がQ&Aでわかる!チャート入門
「チャートのつくりとトレンドの読み方」

◎連載リニューアル!
●プロがこの先1カ月の日本株のポイントを解説&ガチ予測!
●3カ月先を読む「日本株」と「為替」の透視図

◎いつもの連載も充実
●ZAiのザイゼンがチャレンジ!目指せ!お金名人Vol.09
●17億円トレーダー・ジュンのFX成り上がり戦略Vol.04
●10倍株を探せ!IPO株研究所2025年3月編
●おカネの本音!VOL.34 オモロー山下さん
●株入門マンガ恋する株式相場!VOL.102
●マンガどこから来てどこへ行くのか日本国
●人気毎月分配型100本の「分配金」速報データ


>>「最新号蔵出し記事」はこちら!


「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!


>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

【法人カード・オブ・ザ・イヤー2023】 クレジットカードの専門家が選んだ 2023年おすすめ「法人カード」を発表! 「キャッシュレス決済」おすすめ比較 太田忠の日本株「中・小型株」アナリスト&ファンドマネジャーとして活躍。「勝つ」ための日本株ポートフォリオの作り方を提案する株式メルマガ&サロン

ダイヤモンド不動産研究所のお役立ち情報

ザイFX!のお役立ち情報

ダイヤモンドZAiオンラインαのお役立ち情報