【今回のまとめ】
1.米国市場は堅調
2.欧州と英国の中銀が異例の発表で緩和的姿勢を打ち出した
3.米国の雇用統計は9月の量的緩和政策縮小着手を決定的にした
4.これら要因が「わかりやすいドル高」局面を形成している
5.株式投資には強気で臨みたい
米国市場は堅調 一方、欧州は・・・
先週(7月1日〜5日)の米国市場はS&P500指数が+1.6%、ダウ工業株価平均指数が+1.5%、ナスダック総合指数が+2.2%上昇しました。

一方、ユーロ圏ですが、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は「ECBはずっと緩和的なスタンスを維持する」と明言しました。また今後の金利誘導に関しても下方バイアス、すなわち一層の緩和というバイアスを持っているとしました。
ECBは1999年に発足して以来、一度もこのように将来の金利政策に関して予め約束してしまうことはありませんでした。その意味で今回の発表は異例です。
最近、米国の連邦準備制度理事会(FRB)がこれまで実施してきた債券買い入れプログラムの縮小を打ち出してきた余波で、欧州の長期金利も上昇し始めています。そうした動きをECBが迷惑に思っていることがハッキリしたカタチで示されたといえるでしょう。
特に今回は、普通、インフレに対してタカ派、つまりインフレに対して断固とした態度を取ることで有名なドイツでさえも、一層の緩和を支持しました。その理由は、ドイツの景気が急速に冷え込んでいるからです。
それを具体的に見ることにします。先週発表された製造業購買担当者指数ではスペイン、イタリア、フランス、ギリシャなど、ほとんどの先進国の指数が上昇しました。
マークイット
その中にあって、ドイツの製造業購買担当者指数だけが5月に比べてマイナスになったのです。
マークイット
英国も量的緩和政策の再拡大を示唆
英国の中央銀行であるイングランド銀行(BOE)では先週の政策金利会合がマーク・カーニー新総裁のデビューとなりました。彼は今後のBOEの政策に関してガイダンスを盛り込む方針を打ち出しました。
ECB同様、これまでBOEは将来の政策に対するガイダンスを示して来なかったので、ここでも異例の措置が取られたことになります。
今回の会合では「最近の金利先高観の台頭は、英国の国内経済の実情と照らして、正当化できない」と明らかな金利の低め誘導が行われました。さらに量的緩和政策の再拡大の決定が、もうすぐそこまで来ていることをほのめかしました。
米国では量的緩和政策の縮小が確実に
ECBやBOEがここへきて緩和拡大の姿勢をしめしているのとは正反対に、米国ではこれまで実施してきた債券買い入れプログラムの縮小が、いよいよ9月にも実施される可能性が高まりました。
その理由は先週金曜日に発表された6月の非農業部門雇用者数が+19.5万人と強かったことによります。
単位:千人 米国労働省統計局
加えて4月と5月の数字も合計7万人へと上方修正されました。つまり、最近、雇用の拡大は安定してきているので「債券買い入れプログラムの縮小に着手するなら、今でしょ」という機運が盛り上がっているのです。
それはドルの先高観の台頭につながっています。言い換えれば、いまは「わかりやすいドル高」局面にあるということです。
マーケットは、既に「9月頃に債券買い入れプログラムの縮小が始まり、来年夏くらいまでには量的緩和政策が終わり、来年の冬までにはフェドファンズ・レートの引き上げが始まる」というシナリオをメインに据え始めています。
すでに5月22日以降の世界の市場の調整局面で、このシナリオの織り込みは始まっていますから、実際に9月に縮小が始まっても、それは相場を動かす材料にはならないと思われます。
株式投資には強気スタンスを堅持すること!
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| ※ 本記事の情報は定期的に見直しを行っていますが、更新の関係で最新の情報と異なる場合があります。最新の情報は各社の公式サイトでご確認ください。 |



































