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今回の下落を予測していたプロを直撃!今後の日本株がたどる道を冷静に考えてみた

2013年6月28日公開(2025年10月20日更新)
ザイ編集部
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 ニクソンショックに続く歴代10位の下落率を記録し、日経平均が大きく頭(こうべ)を垂れた。約1カ月前の5月23日のことだ。その後も乱高下が続き、ずっと悲観論を唱えてきた一部の識者が“したり顔”で同じようなコメントを口にし始めた。

 「それ見たことか。やはりアベノミクス相場はバブルだったのだ!」

 しかしながら、本誌が取材した3人のプロは正反対の見解を示しているのだ。

今回の下落は過去に起きた
様々な大暴落とは別モノ!

 まず、レオス・キャピタルワークス最高運用責任者の藤野英人さんは次のように指摘する。

 「昨年11月以降、ほぼ一貫して上昇し続けてきた市場の一休みだと考えています。市場がパニックに陥った局面ほど、よい企業に驚くほど割安な価格で投資できる好機であることに変わりはありません」

 実は、暴落前から藤野さんはこんな言葉を口にしていた。

 「きっかけは何でもよく、結果的に利益確定売りが飛び交ってブラックマンデーのような下げに見舞われる可能性はある。だが、世界的に景気回復が進むはずで、それが腰折れしなければ絶好の買い場となる」

 また、マネックス証券チーフ・ストラテジストの広木隆さんも、同じく一時的な調整だと捉えている。

 「これまでの歴史的な暴落は、ブラックマンデーやリーマンショック、ニクソンショックといった重大な経済イベントや東日本大震災のような災害など、強烈な外的ショックによって引き起こされてきたものです。これに対し、今回の暴落はそれまでの急ピッチの上昇の反動、いわば自律反落が主な要因です。自律反落でこれだけの下げになるのは珍しい。このような“異常”は、いつか修正されるものです。この下げは待ちに待った押し目買いの好機と捉えてよいでしょう」

 さらに、SMBC日興証券チーフ株式ストラテジストの阪上亮太さんも強気のスタンスを貫いている。

 「5月に入って顕著となった“過熱状態”に対する“健全な調整”と考えられるでしょう。日本株を取り巻くファンダメンタルズや金融政策・経済政策の見方が大きく変わったわけではありません」

 

今は半年もの上昇に対する日数の調整、
外国人投資家は参院選後に買ってくる!

 5月の相場上昇があまりにも急だったことから、きっかけさえあれば売りが売りを呼ぶ連鎖が発生しやすい脆弱な状態にあったのだ。たとえ5月23日の暴落がなかったとしても、7月の参議院選挙が終われば“材料出尽くし”で株価がピークアウトするはずだと指摘する声もあるが、阪上さんはこう反論する。

 「自民党大勝の可能性が高いことは日本人なら誰もが知っていますが、日本のことをよく知らない外国人投資家も増えており、彼らはむしろ選挙後に買いを活発化させる可能性があります」

 現状もまだ調整が続いている状態だが、むやみに悲観する必要はないという。
 「一度大きな動揺に見舞われると、相場が落ち着くまでにはしばらく時間がかかります。株価の下落による株価水準の調整に加えて、日数の調整も必要となってくるからです」(広木さん)

第1四半期の決算発表が引き金に!
上方修正が確認されれば株価上昇へ

 ただし、「再上昇に転じた後は買われる銘柄は変化するでしょう」と阪上さんは言う。5月の暴落前までは、ガンホーやバイオ株などのような値動きが派手な株や、低PBR株、株価が出遅れている景気敏感株に人気が集中していた。

 「ここまでは“金融相場”の色彩が強く、金融や不動産が物色の中心で、一部のバイオ関連の銘柄もバブル的に過熱しました。だが、今後は景気回復を意識した動きになってくるはず」(藤野さん)

 つまり、“金融相場”から“業績相場”へのシフトだ。阪上さんいわく、相場上昇の初期ではPBRがPERよりも重視されるが、ある程度の上昇後はPERが優勢になる傾向があるという。

 「輸出関連株の多くは、想定為替レートが保守的なので、期が進むにつれて業績予想を上方修正し、最高益更新が相次ぐ展開もありえます。第1四半期の段階で上方修正ラッシュとなる可能性も考えられます」(広木さん)

 参議院選挙を機に政治面の脆弱性が解消され、第1四半期決算で日本企業の業績拡大が確認されれば、外国人投資家が今まで以上に積極的に日本株を買ってくると考えるほうが自然だ。「第1四半期の進捗率が高ければ、株価の上昇余地は高まります」と藤野さんも読む。

米国の出口戦略の具体化は日本株にプラス!
これからいよいよ本格上昇を開始する株は?

 もちろん、懸念材料も存在する。米国の景気回復を受けてFRBが量的緩和の出口戦略に踏み切る可能性が取り沙汰されており、その観測浮上が5月の暴落の一因ともなった。もっとも、広木さんはむしろポジティブに働く可能性があると説く。

 「金融緩和の出口戦略が具体化すれば米国株は弱含み、一時的には日本株にも影響が及ぶでしょう。しかし、FRBの方向転換はドル高・円安要因となるので、世界景気の動向に極めて敏感な日本株が積極的に買われるはずです」

 その結果、年内にも日経平均は1万7000円台の水準に達し、さらに来年には2万円をめざすと広木さんは予想する。これに対し、低く見積もっても1万6000円、高く見積もれば1万8000円までの上昇もあり得ると阪上さんも見ている。最も弱気の予想をしている藤野さんは今期業績の進捗率によって上昇余地は変わってくるとしながらも、1万5000円台の回復は十分に達成可能と考えている。

 5月23日の大きな下落から始まった日本株の調整局面だが、ここにきて徐々にだが日本株市場は落ち着きを取り戻しつつある。プロの相場予測をもとに今こそ割安な株価でいい株を買いたいところだ。現在発売中のダイヤモンド・ザイ8月号では、「リーマンショック前の業績を超えた株」「超控えめな会社予想の株」「利益の伸び率自体が伸びる株」「連続増配が続く株」など計5テーマ20銘柄を紹介している。20万円以下で買える株も含まれているので、是非チェックしてみてほしい。

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