「最近、連敗続きで……」「たまに勝ってもトータルでは赤字」という投資家は少なくないだろう。そこで自分の売買戦略の見直しをおススメしたい。たとえば、過去の売買データをもとに取引を行うプログラムトレードはいかがだろうか。
実際にプログラムトレードをするかどうかは別にしても、過去の検証は今後の取引の参考になるはずだ。とはいえ一般的にプログラムトレードといえば、ツールの利用や売買シグナルを受け取るために、ある程度の費用がかかるもの。そこで、今回は無料で利用できる日本株向けのトレードツールを紹介しよう。
なんと30年分のチャートが表示可能
マネックス証券が提供している投資ツール「マネックストレーダー」は、最大5万本のろうそく足、30年分(!)の長期チャートが表示でき、日中足でも数カ月分のチャートが表示できる。ちなみに、他社のトレードツールの日中足表示期間は、長くてもせいぜい5日程度だから、その異色ぶりは際だっている。マネックス証券の会員ならば無料で利用できる。
さらに、このチャートデータを利用したバックテストと自動発注のプログラムトレードが可能だ。バックテストとは、過去の値動きに対して、ある売買ルールが有効かどうか検証すること。プログラムトレードは、その検証結果にもとづいて、行うトレードのことだ。
マネックストレーダーでは、あらかじめ75種類のテクニカル指標を使った売買戦略が用意されており、その中から選んでバックテストができる。
ゴールデン・デッドクロスは本当に有効かを検証してみた
「移動平均線のゴールデンクロスで買い、デッドクロスで売れば儲かる」とよくいわれる。早速、マネックストレーダーで日経平均のETF(1321)を対象に検証してみた。
よく使われる移動平均線の25日線と75日線の検証結果が【図表1】だ。チャート上には買い(Buy)と売り(Sell)のポイントが表示されている。また、チャートの上にはトータル損益の推移が折れ線グラフで表示されている。
【図表1】を見ると、最終的に現時点ではプラスだが、2001年~2005年までは赤字続き、トレンドが大きく発生した時期は利益が出るが、もみあい相場が続くと損失が膨らんでいく様子がわかる。残念ながら一般的に使われる移動平均線のゴールデン・デッドクロスが有効な戦略だとは、とても言い難いようだ。
その他の移動平均線を使った売買結果や売買の条件もまとめた【図表2】。なお、マネックストレーダーでは、損益、勝率、個別の売買状況といった詳細なバックテスト結果が見られる。
本当に使える移動平均線は64日と66日だった!
マネックストレーダーのバックテストでは、変数値(たとえば、移動平均線の日数)を変更し、最適な変数値を自動計算してくれる【図表3】。
一般的には使われない日数の移動平均線によるゴールデン・デッドクロスが過去に大きな利益をもたらしていたかもしれない。
移動平均線で最適な変数値を探した一例が【図表4】だ。なんと64日線と66日線という普段では使いそうもない移動平均線が見つかった。ここでは100株単位で売買しているので、日経平均のETFが1万円ならば100万円の投資金額となる。検証の結果、年平均で16万4000円程度の利益を上げることができた。ただし、2001年、2003年、2007年は年間の損益がマイナスだった。
移動平均線は、順張り系の指標なのでトレンドが大きく出た年は利益が出るが、もみあいの年はなかなか苦戦する。【図表4】の損益グラフには、その様子が現れている。
年利30%、勝率8割の超高利回り指標!?
ためしに逆張り系の指標「RSI」でも最適な変数値を探してみた。その結果が【図表5】だ。
8割近い勝率、年間平均損益が30万円弱。約100万円の投資で年間30万円だから、とんでもなく高利回りだ。この最適化した指標の結果は【図表6】にまとめた。
今回のバックテストでは、損切り値、手数料などの設定は行わなかったが、実際には、細かな設定が可能だ。また、変数値の範囲を限定してバックテストを行ったので、時間をかけて探せば、さらに最適な変数値が見つかるだろう。
もちろん過去に大きな利益をもたらした指標といえども、将来の利益を保証してはくれない。とはいえ、バックテストを行い、プログラムトレードに関する理解が深まれば、今後の投資に役立つことは間違いない。マネックス証券の口座開設は無料なので、ぜひ一度お試しあれ。
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