【今回のまとめ】
1.債務上限引き上げ法案が成立、危機は回避された
2.第4四半期の米国のGDPは0.75%程度押し下げられる可能性がある
3.来年の第2四半期からは米国の成長が日本より高くなる
4.それはドル高のシナリオが戻って来ることを示唆する
5.11月からは季節的に米国株が高い局面
債務上限引き上げ法案成立で、危機は回避された
先週は米国政府のキャッシュが底をつくと言われた10月17日直前に債務上限引き上げ法案が成立し、間一髪のところでアメリカはデフォルトを免れました。
株式市場はこれを好感し、ダウ工業株価平均指数は週間ベースで+1%、S&P500指数は+1.4%、ナスダック総合指数は+3%上昇しました。このうちS&P500指数とナスダック総合指数は新値を更新しています。

米国経済の基礎的要件を見直す
このところ米国議会の迷走に関する話題に明け暮れたので、米国経済の立ち位置がわからなくなってしまった読者も多いと思います。そこで簡単にそれを整理します。
まず米国政府機関一部閉鎖の影響で、80万人近い公務員が一時帰休させられました。一時帰休期間中のお給料は今後支払われる予定ですが、政府の機能がマヒしている間、米国連邦政府と取引のある民間企業は仕事がなくなりました。経済統計の発表も一部延期となっています。
雇用統計に関しては10月12日(火曜日)にもともと10月4日発表予定だった9月分の数字が発表されます。コンセンサス予想は非農業部門雇用者数が18万人、失業率が7.3%です。
米国政府機関一部閉鎖は一週間閉鎖が続くごとにGDPを0.30%押し下げる効果があると試算されています。閉鎖は2.5週間続いたため、第4四半期のGDPが合計して0.75%削られたと考えるエコノミストが多いです。つまり下のグラフの2013年第4四半期は1.35%程度になるリスクがあるわけです。

さて、上の日米のGDP成長率のグラフをもう少し解説すれば、現在は日本(赤)のGDPの方が米国より高いです。しかし2014年の第2四半期あたりからは成長率が逆転し、再び米国の方が日本より高くなります。
この一因はアベノミクス開始一周年を迎え、来年の日本のGDP成長率の前年同期比比較が苦しくなることに加え、消費税増税の影響もあるからです。
実際、日本のインフレ率は消費税増税の影響でジャンプすると見られています。

日本がインフレになるもうひとつの要因は、言うまでもなくアベノミクスによる量的緩和政策です。下のグラフからもわかるように日銀の総資産はどんどん増えています。

量的緩和のペースが急激であり、なおかつGDP成長率が米国に比べて日本の方が来年は低くなるということは、しばらく膠着状態になっていた為替は来年には再び円安に向かい始めることを示唆しているのではないでしょうか? それは日本株に関して強気要因です。
米国株式市場の季節要因
米国株式市場は11月以降、1年で最も上がりやすいシーズンに入ってゆきます。

このことは積極姿勢で株式投資に臨むべき時期が近いことを意味します。
債務上限引き上げ問題、米国政府機関一時閉鎖問題などが解決したので、ドルはそれなりに堅調だと思います。ドルが堅調な局面では、新興国株式には資金は向かいにくいです。またこのところの議会の迷走は米国の消費者のマインドに悪影響を与えました。その関係で消費循環関連のセクターは、業績を心配する声もあります。
このように消去法で行くと、景気に左右されないバイオテクノロジーやドットコム株などが残ります。しばらくはこのあたりが物色の中心かもしれません。
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