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株主優待が目的で長期保有をしたい投資家必見!「貸株サービス」を使うと優待+配当相当額に加えて銀行預金金利以上の金利(0.1%~)がもらえる!~ネット証券4社の貸株サービスを比較してみた~

2015年6月9日公開(2022年3月29日更新)
肥後 紀子
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保有中の株をネット証券に貸し出すことで、金利を受け取れる「貸株サービス」。株主優待などが目的で長期保有している株がある人には、見逃せないおトクなサービスだ。各社のサービス内容を比較すると共に、特に株主優待銘柄で利用する際の注意点などをまとめてみた。

楽天証券もサービスを開始して、
大手4社の貸株サービスが出揃った!

 各社のサービス内容を比べる前に、まずは「貸株サービス」とは何かを簡単に説明しておこう。

「貸株サービス」とは、自分が保有している株を証券会社に貸し出し、代わりに所定の金利を受け取るというもの。「株式版の銀行預金」と言ってもいいかもしれない。個人投資家から株を借り受けたネット証券は、その株を必要としている機関投資家などに貸し出して金利を得るという仕組みになっている。

 株を貸し出すといっても、個人投資家側でやることは「貸株サービス」の利用を申し込むだけ。見えないところでは名義の書き換えが行なわれているが、通常は意識する必要がない。サービスを利用していても好きなときに株を売却できるし、優待自動取得サービス(後述)を利用することで株主優待も獲得できる。

 以前から貸株サービスを提供していたSBI証券カブドットコム証券マネックス証券に加えて、2014年11月29日からは楽天証券もサービス提供を開始。現在は、ネット証券大手4社ならいずれも貸株サービスを利用することが可能だ。

 今のところ、貸株サービスは他の証券会社にはなく、サービスを利用できるのはこの4社のみ。なお、松井証券には「預株制度」という若干似た仕組みがあるが、貸株サービスとは異なり利用したからといって必ず金利を得られるわけではない。

 では、金利や使い勝手の面で、4社の貸株サービスにはどんな違いがあるだろうか。「番外編」の松井証券も含めたランキング結果を見てほしい。

◎ネット証券4社の貸株サービスラキング
順位 主な貸株金利 最大金利 金利1%以上
の銘柄数
口座開設
1位  楽天証券【詳細情報⇒楽天証券の紹介ページ】
0.1% * 0.5%、0.75%、
ボーナス金利(1.0%~)
上限なし
(現状最大金利10%)
444銘柄
楽天証券口座開設へ
【金利見直し】毎週 【取扱い可能銘柄数】一部非対象銘柄を除く3744銘柄 【株主優待自動取得サービスあり 【信用口座との併用】 ○ 
【備考】6/21までの期間限定で最低金利を0.25%に引き上げ中
2位  カブドットコム証券【詳細情報⇒カブドットコム証券の紹介ページ】
0.1%、0.5%、
ボーナス銘柄(1.0%~)
10% 500銘柄
カブドットコム証券の口座開設へ
【金利見直し】毎月 【取扱い可能銘柄数】約3500銘柄(自社が指定する銘柄) 【株主優待自動取得サービスあり 【信用口座との併用】 ○ 
【備考】信用保証金、先物オプション証拠金、FX証拠金に差し入れている銘柄は貸株サービスを利用できない
3位  SBI証券【詳細情報⇒SBI証券の紹介ページ】
0.1%、0.4%、0.5%、
プレミアム金利(1.0%~)
上限なし
(現状最大金利10%)
212銘柄
SBI証券口座開設へ
【金利見直し】毎週 【取扱い可能銘柄数】3770銘柄(貸出非対象銘柄を除く国内金融商品取引所上場銘柄) 【株主優待自動取得サービスあり 【信用口座との併用】 ○ 
【備考】FX株券担保サービス、証券担保ローン利用の場合は、貸株サービスの利用不可
4位  マネックス証券【詳細情報⇒マネックス証券の紹介ページ】
0.1%、
ボーナス金利(0.5%)
0.5%
マネックス証券口座開設へ
【金利見直し】毎月 【取扱い可能銘柄数】一部非対象銘柄を除く全銘柄 【株主優待自動取得サービスあり 【信用口座との併用】 × 
【備考】「配当金自動取得サービス」もあり(利用時は「通常の貸株金利-0.05%」を適用)
番外  松井証券【詳細情報⇒松井証券の紹介ページ】
松井証券口座開設へ
【金利見直し】― 【取扱い可能銘柄数】東証の貸借銘柄 【株主優待自動取得サービス決算銘柄は貸付申込を行なわない 【信用口座との併用】 × 
【備考】預株料は、「品貸料-(貸株代り金に対する金利)」で計算する
 ※2015年6月1日現在。松井証券の「預株制度」では、松井証券に貸し出した株に逆日歩(追加の貸株料)が発生した場合にのみ「預株料」が受け取れる


 ランキング1位は、4社の中では最後に貸株サービスをスタートさせた楽天証券。期間限定ではあるが最低金利を0.25%に引き上げる取り組みを行なっていることに加えて、1%以上という高い金利の銘柄の数も多いことで他より高い評価となった。

 とは言え、期間限定の最低金利引き上げを除けば、楽天証券と、カブドットコム証券SBI証券のサービス内容には大きな差はないと言ってよいだろう。

現状の最大金利は10%。
しかも、SBIと楽天は最大金利の上限ナシ!

 各社のサービス内容と貸株サービスの特徴をさらに詳しく見ていこう。まずは、取り扱い銘柄だが、各社で表現は異なるものの4社とも上場銘柄のほとんどが貸株の対象と考えて差し支えない。

 次に、気になる金利は、4社とも最低ラインは0.1%。一方、最大金利はカブドットコム証券が10%で、かなりの高金利だ。さらに、SBI証券楽天証券の2社の最大金利はなんと「上限ナシ」。ただし、現時点で適用されている最大金利は2社ともカブドットコム証券と同じく10%となっている(編集部注:10%が適用されるのはSBI証券と楽天証券ではCYBERDYNE(7779)、カブドットコム証券ではアスカネット(2438)、トスネット(4754)など。その他ではSBI証券ではミクシィ(2121)が6.0%、カブドットコム証券ではAiming(3911)が7.0%、楽天証券ではコロプラ(3668)に7.0%の金利が適用される。 *6/8時点)。

 また、金利1%以上が適用される銘柄数は、カブドットコム証券の500銘柄が最高で、楽天証券の444銘柄がそれに続く(編集部注:1%が適用されるのはカブドットコム証券では飛島建設(4805)やサマンサタバサジャパンリミテッド(7829)、比較.com(2477)など。楽天証券ではタマホーム(1419)やクックパッド(2193)、良品計画(7453)などがある。 *カッコ内は6/8時点)。

 では、金利0.1%、1%、5%、10%では、それぞれ1年間でいくらを受け取れるのだろうか。

 まず1日分の金利は、

株価(終値)×保有株数×金利÷365

で計算する。

 ということで、1株1500円の銘柄を100株保有している場合、1年間に受け取れる金額は次の通りだ。

●金利0.1%の場合 1500円×100株×0.1%=150円
●金利1%の場合 1500円×100株×1%=1500円
●金利5%の場合 1500円×100株×5%=7500円
●金利10%の場合 1500円×100株×10%=1万5000円

 メガバンクの定期預金金利が0.025%(預金15万円なら年間の利息は37.5円 *税引前)というこのご時世に、これは見逃せない金額と言えるのではないだろうか(貸株の金利と後で説明する配当相当額はどちらも雑所得となり、金額によっては確定申告が必要になる)。

 各社の適用金利一覧で確認すると、高い金利が適用される銘柄は新興市場の人気銘柄であることが多いが、優待の定番人気銘柄の中にも1%以上のボーナス金利が適用されているものも複数あった。具体的な銘柄と適用金利については、各社のサイトで確認して欲しい。

 なお、前述のとおり、楽天証券は6月21日までの期間限定で最低金利を0.25%に引き上げている。実は、楽天証券は貸株サービスのスタート時にも、最低金利を0.25%とするキャンペーンを実施していて、今後もこうしたキャンペーンが期待できるかもしれない。

優待は自動取得できるが、
継続保有が条件の場合は注意が必要

 使い勝手の部分では、信用取引との併用で各社の対応が分かれた。

SBI証券カブドットコム証券楽天証券の3社は併用が可能だ。ただ、貸株に出してしまうと信用取引の代用有価証券としては使えなくなるため、必要保証金の状況によっては貸株の利用ができない場合もある。

 一方、株主優待に関しては、4社とも株主優待自動取得サービスを用意。自動取得のサービスを選べば、優待の権利日前には自動的に一旦貸株から外す(=名義をもとに戻す)手続きが行なわれるため、貸株サービスを利用しつつ優待も手間なく取得できる。

 ただし、株を貸し出すと株主番号が変わる可能性が高いため、SBI証券カブドットコム証券楽天証券、マネックス証券の4社では「長期保有の株主を優遇する優待の場合、自動取得サービスでは取得できない可能性があるので、貸株に出さないほうがよい」としている。継続保有条件のある優待銘柄については、最初から「貸株に出さない」という選択をしたほうがよいと言えるだろう。

 また、自動取得サービスのもとになる優待情報は1カ月に一度程度見直されているが、優待の新設や変更の時期によっては対応できない可能性もある。そこで、優待が新設されたり急な優待時期の変更があったりしたときには、個別に貸株から外したほうが確実に優待を取得できるだろう。

 配当そのものは(優待自動取得サービスを選択して、優待と同時に実施される場合を除いて)受け取れないが、配当相当額が証券会社から総合口座に入金される。なお、マネックス証券では配当についても権利日前に一時的に貸株から外す「配当金自動取得サービス」を別途用意している。

 最後に、貸株サービスのリスクに触れておこう。貸株サービスを利用した場合、ネット証券が破たんすると貸し出した株券を取り戻せない可能性がある。現状、ネット証券大手4社が突然破たんすることはまずないと考えられるが、リスクがあるという点はしっかり理解しておきたい。

 通常、優待株の保有で得られるのは「優待」+「配当」(無配でない場合)の2つだが、貸株サービスを利用すればさらに「貸株金利」が手に入る。貸株サービスは、かつてに比べて金利も上昇し、サービス内容も徐々に拡充している。明らかにメリットのほうが多いこのサービス、優待投資家に限らずぜひ利用を検討してみては?

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