<今回のまとめ>
1.先週の米国株式市場は強かった
2.エネルギー、素材、工業株が人気化した
3.決算発表シーズンに突入する
4.ゼネラル・エレクトリックには仕手筋が介入している
先週の米国株式市場は高かったが
ナスダック総合指数の伸び率が低かった理由
先週の米国株式市場は極めて強かったです。週間ベースでダウ工業株価平均指数は+3.72%、S&P500指数は+3.26%、ナスダック総合指数は+1.72%でした。
ナスダック総合指数の上昇幅が、他の指数に比べて小さかったのが印象に残りました。
これはバイオテクノロジー株が冴えなかったことによります。最近、薬価の高騰に対し米国内で批判の声を高まっていることがその背景にあります。
一方、エネルギー、素材、工業といったセクターは華々しく値を飛ばしました。
先々週の金曜日に発表された非農業部門雇用者数が市場予想を下回る14.2万人にとどまったことで(年内の利上げは無理だろう)と考える市場参加者が増えました。それは利上げの悪影響を恐れていた新興国やコモディティ市場の投資家を安堵させ、これらの投資先がバーゲンハンティングの対象になりました。
第3四半期決算発表シーズンへ。
原油価格の下落で石油会社の業績が落ち込む
今週からは、いよいよ第3四半期の決算発表が本格化します。下のグラフはS&P500指数採用企業の利益を示したものですが、第3四半期の予想は大きくマイナスになっています。これは原油価格の下落で石油会社の業績が去年に比べて大幅に落ち込むと見られていることが影響しています。
今回の決算発表シーズンでは、各社の経営者が、減速中の中国経済の業績への影響についてどう見ているかを知る上で貴重な機会を提供するものと思われます。
いずれにせよ市場参加者の、第3四半期に対する期待はあまり高くはありません。
今週の目玉はゼネラル・エレクトリック。
アクティビストに狙われた理由とは?
今週決算発表が予定されている企業の中で、特に注目されるのはゼネラル・エレクトリック(ティッカーシンボル:GE)です。
同社は4月に金融部門、GEキャピタルの保有資産の大部分を売却すると発表しました。同社にとってGEキャピタルは最大の事業部門だったので、この発表にウォール街関係者は驚きました。
ゼネラル・エレクトリックがGEキャピタルを売却することを決めた背景には、リーマンショック以降、金融市場から貸付け原資を調達するGEキャピタルのような金融会社はメガバンクに比べてコスト的に不利になったことがあります。
当初、ゼネラル・エレクトリックは2年かけてじっくりGEキャピタルの資産を切り売りしてゆく計画でした。しかし総額で750億ドル前後の事業価値を持つと言われているこれらの資産の売却は思いのほか、はかどっていて、そのかなりの部分を今年中に処分出来そうな見通しです。
ところがこのタイミングで、ゼネラル・エレクトリックにとって不都合なことが起きています。それはアクティビスト投資家、ネルソン・ペルツが、ゼネラル・エレクトリックの株を買い集めていると発表したことです。
ゼネラル・エレクトリックはGEキャピタルの売却により、バランスシート(貸借対照表)の規模が小さくなり、しかもキャッシュが増える見込みです。つまり一昔前なら仕手筋のオモチャにされることなど想像もつかない巨大企業だったゼネラル・エレクトリックは、狙われやすくなったと見ることも出来るのです。
もちろん、ゼネラル・エレクトリックはこのアクティビスト投資家に対し猛烈に反発すると思われますし、その主な戦い方はアグレッシブに自社株を買い戻すことになるに違いありません。
いずれにせよそのあたりの対応が、今回の決算発表のカンファレンス・コールで議論されることが予想されます。
ちなみに10月16日(金)寄り前に発表される第3四半期のコンセンサス予想はEPSが26¢、売上高が286.5億ドルと見られています。
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