闇株新聞[2018年]

過去最高益でも株価急落のファーストリテイリング、中国経済減速の中、今後も成長は持続できるか!?気になる企業決算を「闇株新聞」が分析

2015年10月16日公開(2022年3月29日更新)
闇株新聞編集部
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日本株や為替、世界経済について明快かつ独特な視点で切り込む刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』。毎回決算発表の時期には「解説が必要な会社」をシリーズで取り上げています。今回はその中から、個人投資家の注目度が高いファーストリテイリング(9973)の成長性と今後の株価動向について。

 今月に入って2015年7~9月期の決算が出始めていますが、この期間には中国経済の減速や世界的な株価下落などがあったため、その影響がどのように出ているのかを一刻も早く知る必要があります。

 例えば、個人投資家の注目も高いファーストリテイリング(9983)はどうでしょうか。「ユニクロ」の売り上げは国内の消費動向に敏感に反映しますし、海外展開では中国にかなり傾注しているので景気減速の影響をどのように受けているのか真っ先に知ることができます。

 また、現在の株価には高成長企業としてのプレミアムもたっぷり織り込まれています。今後、市場の評価がどのように変遷していくのかも大変興味のあるところです。では、10月8日に発表されたばかりの2015年8月期通年決算を見てみましょう。

過去最高益を更新も大きく売り込まれた株価

 決算短信を見ると、売上収益1兆6817億円(前年比21.6%増)、営業利益1644億円(同26.1%増)、当期利益1100億円(同47.6%増)といずれも過去最高益を更新しました。しかし、当初の会社予想は営業利益2000億円、純利益1200億円程度でしたので、これは下回っています。

 また、同社は今期(2106年8月期)の計画を、売上高1兆9000億円(前期比13%増)、営業利益2000億円(同21.6%増)、純利益1150億円(同4.5%増)と発表しました。これも過去最高益を更新する予想ですが、コンセンサスは営業利益2300億円程度だったため「市場の期待を大きく下回る」弱気の数字と受け止められました。

 そのためか、発表直後10月9日の株価は前日比4740円安の4万3900円(前日比9.75%)と大きく売り込まれています。7月30日の本年高値61970円と比較すると、実に3割近くも下落してしまったことになります。

国内の成長は継続、海外も大きく落ち込む可能性は少ない

 今後の成長性について2016年8月期の会社予想によると、国内ユニクロ事業は841店舗で売上収益7801億円(前年比9%増)営業利益1172億円(同10%増)、海外ユニクロ事業は年間100店舗の新規出店を継続する中国を中心に、798店舗で売上収益6036億円(46%増)営業利益433億円(32%増)が見込まれています。これを見ると国内・海外とも成長は継続しているように見えます。

 海外ユニクロ事業を中国(本土)事業だけに限れば、467店舗で売上収益3044億円(46%増)営業利益386億円(66%増)であり、中国事業が海外事業全体の収益を押し上げていることがわかります。米国事業(42店舗)は営業赤字のようです。

 ここから考えられることは、2016年8月期については、国内では店舗数は横這いとなるため設備投資負担が少なく、よほど売り上げが落ち込まない限り営業利益率が大きく低下する可能性もないということです。

 中国事業も、決算に反映されているのは8月までの数字なので経済減速・株価下落の影響が十分に反映されていない可能性はありますが、商品が奢侈品ではなく生活必需品に近いため、大きく落ち込むこともないと予想されます。

株価の上昇は期待できるか?

 しかし、株価は先週末にあれだけ下げても、PER39倍・PBR6倍とまだまだ高成長のプレミアムをたっぷり織り込んでいます(東証1部銘柄の平均はPER14.67倍・PBR1.31倍)。この株価水準を維持するには市場の予想をはるかに上回る成長を継続していく必要があります。これはかなり高いハードルではないでしょうか。

 柳井正社長は「インターネット通販の売上高比率を現在の5%から30%以上に引き上げる」「異業種連携の取り組み」ことを挙げていますが、どちらもファーストリテイリングでなければできないビジネスモデルではなく、同社がイニシアティブをとれる分野でもありません。

 以上から、本紙としては「ファーストリテイリングは多少減速しても成長を続けるが、次第に高成長企業のイメージが失われ安定成長企業になってゆくため、株価としてはあまり期待できない」という結論になります。

 企業決算を分析するシリーズは現在『闇株新聞プレミアム』にて連載中、10月12日付では消費関連企業から競争熾烈なコンビニ業界についても取り上げました。グローバルな視点と長期的な視野で、株式アナリストとは一味違った解説をお届けしてまいります。

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