2016年の後半からは、株価が下落トレンド入りすると見ているプロも多い。2016年前半の最重要ポイントとなる参院選の行方と年後半の米国大統領選の行方から、円高リスクや2017年の消費増税まで日本株を取り巻く5つの注目点をチェックした。
Check1>>米国の利上げ
年に2~3回の利上げなら株価には逆に好材料!
雇用の改善を受けて、経済が上向きの米国ではついに利上げが発表された。今後の日本株にはどういった影響があるのだろうか。米国FRBの動向に詳しい東短リサーチのチーフエコノミスト加藤出さんは、「年に2回程度の利上げペースなら問題はありません。それ以上のペースだと新興国通貨安となるリスクがある」と見ている。
プロの多くは利上げ開始は米国経済の好調ととらえ、想定以上の利上げペースにならない限りは、株式市場では好感されると予測。為替相場については、米国利上げ後は、さらに円安が進むとの見方もあるが、「過去の米国利上げ後のドル/円相場では97年を除いて、利上げ開始1~1カ月半後には円安のピークを迎え、半年後には大幅な円高となっている」とJPモルガン・チェース銀行の佐々木融さんは忠告、2016年末には1ドル=110円まで円高が進むと予測している。
Check2>>日米の選挙
選挙対策や米大統領候補の発言で株価は上下!
2016年7月に日本では参院選、11月に米国の大統領選挙が本格化する予定だ。参院選前には、景気対策で株価は上昇と見るプロが多い中、レオス・キャピタルワークスの藤野英人さんは年前半の株価停滞を予測。
「アベノミクスによる円安は輸入物価の上昇によるインフレを招き、実質賃金が増えていない中間層にはマイナスです。参院選前は円安を抑え、再分配的な景気対策が行なわれ、デフレ気味になるかもしれません。インフレ対策は参院選後となることで、年前半の日本株は弱含みの展開となるでしょう」
米国の大統領選挙では、TPPへの懸念の表明など各候補者による内向きの発言が予測される。日本株への悪影響も考えられるが、「米大統領選挙の結果判明で先行き不透明感の払拭とともに株価が上がる」(第一生命経済研究所桂畑誠治さん)との見方もあり、この時期に株価は底打ちし、年末に向けて上昇するという展開も想定しておきたい。
Check3>>為替相場
円高で内需株のインバウンドやSNSに恩恵!
円高や新興国経済の停滞への不安から外需株より内需株へ注目が集まっているが、その中でも明暗が分かれると藤野さんは見ている。
「日本株全体では上値余地はあまりないと見ています。国内でも富裕層やインバウンド関連の需要は活発ですが、中間層の消費が停滞してきています。それは、フェイスブックなどSNSで時間を消費する人が増加していることも一因です。こういった状況をチャンスとして、スマホなどを上手く使ったサービスを展開する企業に注目しています」
また、売られ過ぎた外需株の反発を予測するプロも多い。中でも、「中国経済は減速トレンドが続くものの、最悪期は脱するため、中国関連株の上昇が期待される」(第一生命経済研究所永濱利廣さん)との意見も。
Check4>>中東情勢
予測は困難で有事での急落には複数回の買いを!
今後の株式市場への最大のリスクとなりそうなのは、やはり中東情勢だ。「米国の利上げ、中国の景気減速は予想できる限りは市場には織り込まれています。しかし、中東情勢は事態がどのように転ぶのか予想できません。そのため、株式市場がパニックに陥る可能性もある」とマネックス証券の広木隆さんは見ており、イランの核保有をきっかけに、他国に核が拡散するような最悪の事態は要注意と忠告する。
日経平均株価が急落し、今発売中のダイヤモンド・ザイ2月号に掲載されているアナリストの2016年の安値予想平均の1万7800円を一時的に割るような展開も考えられる。
Check5>>消費税増税
年後半の重要課題で賃金動向が株価を左右!
2017年4月に予定されている消費増税に対する懸念が年後半から広がると見ているプロが多く、賃金上昇が消費を活発化させるかどうかが重要になる。ウィズダムツリー・ジャパンのイェスパー・コールさんは「2016年は内需が大きく拡大すると見ています。その原動力となるのは、個人消費の拡大です。2015年以上に日本では労働力不足となり、実質賃金の上昇や派遣社員から正社員への登用によって、雇用の質の改善が期待できる」と見ている。
加えて、「消費税率10%への引き上げ時期前の2016年後半の景気は、消費税を引き上げても大丈夫というムードでないといけない。このため、安倍政権は景気に配慮した財政政策と成長戦略を大胆に打ち出してくる」(カブ知恵の藤井英敏さん)ことも考えられる。
こうした注目点を意識しつつ、2016年の投資に臨んで欲しい。
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