ファイナンシャル・プランナー(FP)の花輪陽子です。今回は、シンガポールのマイカー事情・交通事情について紹介しましょう。

シンガポールで自動車を買う場合、日本で自動車を買うときの3〜4倍程度の費用がかかります。したがって、例えば日本人にはおなじみのトヨタ・カローラでも、シンガポールで買うと1000万円近くかかってしまいます。それなのに、BMWやベンツなどの高級車も街を普通に走っており、ときにはロールスロイスやフェラーリなども見かけるので驚かされます。
なぜ、こんなにもマイカーの購入費用が高くなるかというと、政府が渋滞緩和のためにマイカー保有を制限しているためです。自動車を生産していないシンガポールでは「自動車=輸入車」なのですが、車両本体価格には輸送費が上乗せされるため、それだけですでに高くなっています。
その上に、関税(20%)、消費税(7%)、登録料、追加登録料(車両本体価格の100%)、新規車両登録権利書などがかかるために、超高額になってしまうわけです。
マイカーがなくても公共交通機関が安いので
生活する上ではまったく問題ナシ!
その代わりに、シンガポールではタクシーやバス、地下鉄などの公共交通機関の運賃が日本よりもずっと安いです。

例えば、平日の早朝なら地下鉄の運賃の一部は「無料」になっていますし、ほかの日時でもバスや地下鉄の料金は100円以下で収まる場合が多いので、多くの庶民は、移動する際にバスや地下鉄を利用するのが一般的です。バスについては、観光客向けの二階建てバスもよく走っているのを見かけます。
ちなみに、自転車はあまり見かけません。趣味で乗っている人はいますが、通勤・通学などに利用している人は少数派です。
その理由を考えてみると、バス代が安いことが第一に挙げられます。また、車の運転が荒いこともあり、交通事故のリスクが高いせいもあるかもしれません。さらに、自転車を乗るには暑い気候ですし、季節によっては大気汚染やスコールがあることも、自転車人口の少なさに関係しているかと思われます。
バス、地下鉄だけでなく、タクシーの初乗り運賃も300円程度と手頃な価格です。タクシー料金は「ピークアワー(混雑する時間帯)」や「シティエリア(シンガポールの中心部)」などに乗車する場合にはサーチャージが上乗せされ、こちらも渋滞緩和に貢献するような料金設定になっています。
それでも、タクシーは日本と比べるとずっと身近な存在です。シンガポールは国土が狭いこともあり、中心地のエリア内を移動するだけなら1000円前後、空港から中心地まで移動する場合でも、2000円前後で済むことが多いです。
したがって、時間のない旅行者も、気軽にタクシーで移動できます。私もタクシーの安さにつられて、子供と二人の時はよく乗ってしまいます。慣れるまでは、タクシーを道で拾うのが難しいので、タクシースタンドから乗ったり、タクシーアプリを利用して予約したりして乗るのがおすすめです(アプリの場合は予約料金として別途200円程度かかります)。
政府の交通政策が功を奏しているシンガポール
東京のほうが交通の面では不便を感じることも
このように、公共の交通機関が充実していて運賃も安いために、シンガポールでマイカーを保有しているのは、一部の富裕層に限定されています。合理的に考えると、タクシーで移動するほうがマイカーを保有するよりも安く済むからです。つまり、シンガポールではマイカーは完全に嗜好品の一種なのです。
おかげでシンガポールでは、他の東南アジア諸国と比べると、渋滞はあまり見られず(休日の夕方にスコールが降って、シティエリアにいる場合などは渋滞になることもありますが)、政府の交通政策は上手くいっているように感じます。
逆に、東京に一時帰国しているときのほうが、私の場合は不便を感じました。シンガポールと比較すると、東京はとても広いので、東の端から西の端まで行こうとすれば、電車で1時間くらいはかかってしまいます。タクシーに乗れる距離ではないので、電車に乗るしかありません。
みなさんもご存じのように、電車内の混雑がすごいので、小さな子供連れだと正直しんどかったです。ベビーカーを押していたため、ホームでエレベーターを探すのにも一苦労しました。シンガポールでは、電車内の混雑はそれほどひどくないですし、駅が東京の主要駅ほどは広くないせいか、エレベーターも見つけやすいです。
シンガポールは貧富の格差が大きな国
富裕層は常に車移動で、電車やバスに乗らない
ところで、シンガポールは“高級車が多く走るお金持ちの国”というイメージが強いかもしれませんが、実は先進国の中では、貧富の格差が相当大きい国になります。
「ジニ係数」という、所得や資産の不平等さを測る指数をご存じの方も多いと思います。0から1までの値で表し、1に近づくほど格差が大きい状態になります。格差が広がりすぎて、社会騒乱の多発が警戒されるラインは「0.4」なのですが、日本の「0.336(2010年)」に対して、シンガポールは「0.463(2013年)」です。
お金持ちの国という印象とは裏腹に、シンガポールでは月収10万円以下の低所得者が2割程度いると言われています。非常に法律が厳しいので、社会騒乱が起こることは考えにくいのですが、日頃から格差を感じる場面は多々あります。平日の昼間から高級ホテルのプールで泳いでいる男性もいれば、その脇でずっと清掃をしている人もいます。そんな明確な対比をあちらこちらで日々目撃します。

所得水準によって、移動手段も変わるものです。例えば、10万円もする高級パンプスを履いている人は、バスや地下鉄に乗らずに、タクシーや自家用車などの車移動が基本です。日本では、高い靴を履いている人でも電車やバスに乗りますが、シンガポールでは一般的ではないようです。
また、車移動のお金持ちは、ベビーカーもストッケやバガブー(どちらもベビーカーの高級ブランド)などが多く、赤ちゃんを寝かせる部分を取り外してチャイルドシートのようにし、タクシーにそのまま乗せこむスタイルをとっています。貧富の差は関係なく、誰もが抱っこ紐を使う文化は、シンガポールにはないのだなと感じました。
ただ、シンガポールではお金持ちが取得するマイカーに高い税金をかけたり、貧しい人には食券などのクーポンを配ったりと、“富の再配分”も行われています。貧富の差に配慮した政策も(十分とは言えないかもしれませんが)実施されているのです。
私は、何事も合理的に考えてしまうタイプなので、マイカーよりタクシーを安く乗り捨てられるほうがありがたいですが、マイカーが持ちづらいために、海外からシンガポールへの移住を躊躇してしまう人もいるのだそうです。たしかに、シンガポールは車好きの人に厳しい国であることは間違いないですね。
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