闇株新聞[2018年]

ECBが量的緩和を縮小、FRBは利上げを決定。今年最後の日銀金融政策決定会合で、株や為替はどう動く?闇株新聞が考察する金融政策

2016年12月17日公開(2022年3月29日更新)
闇株新聞編集部
facebook-share
twitter-icon
このエントリーをはてなブックマークに追加
RSS最新記事

12月8日にECBが量的緩和を縮小し、12月14日にはFRBが1年ぶりの利上げを決定しました。12月19~20日には日銀政策決定会合があり、日米欧の年内最後の金融政策が出揃います。米大統領選でのトランプ氏勝利からドル高・株高の強い相場が続いてきましたが、ECBとFRBそして日銀の金融政策を受けてこの流れに変化は起きるでしょうか。プロも愛読する刺激的な金融メルマガ「闇株新聞プレミアム」が解説します。

10年運用してもお金が増えない経済
円安は「総括的な検証」から始まった

 ECBは長短金利差を拡大させて(域内金融機関の収益拡大を通じて)EU経済の底上げを目指し、FRBは新大統領の経済政策に対する期待からか長短金利が上昇してしまったため政策金利を引き上げブレーキをかけました。それぞれに妥当な金融政策の変更あるいはイールドカーブ・コントロールと言えます。

 そこで日銀の政策決定会合ですが、すでに9月21日の「総括的な検証」で「短期金利をマイナス0.1%、長期金利の代表である10年国債利回りをゼロ近辺に誘導する」と当面の方針を発表しています。

 日銀は昔の「公定歩合」の名残で政策金利(短期金利)を1つしか発表しませんが、正確には上限0.1%、基準ゼロ、下限マイナス0.1%であるはずです。とすると、日銀は短期金利も長期金利もゼロという、世界金融史でも珍しい“のっぺらぼうのイールドカーブ”を目指しているということです。

 これはつまり日本は極端な信用リスクを取らない限り10年間資金を運用しても(あるいは新規投資して10年間をかけても)利益が全く出ない経済状態であり、「包括的な検証」ではその状態を何が何でも維持すると内外に示したことになります。

 このような国に海外から投資が集まるはずがありません。逆に、日本の投資資金はどんどん海外に流出していってしまいます。最近の円安は9月21日に発表した「総括的な検証」から始まっていたのです。

世界には過剰資金が溢れている
リスクオンの流れは当面続く

  そもそも金融緩和・量的緩和には「導入直後の心理的効果」はあるものの、それ自体には実体経済を成長させる効果はありません。

 しかし、中央銀行から過剰に供給される資金は市場に(正確には銀行システム内に)積み上がります。そして、何かのきっかけで市場心理が変化したときに、その過剰な資金は実体経済にではなく株式・不動産・商品などへの投資(投機)として向かいます。

 世界的な傾向として、いつまでたっても実体経済が成長しないため、金融緩和や量的緩和がだらだらと続いてきました。過剰な資金が積み上がっていたところにトランプ大統領誕生のサプライズがあり、過剰な資金が一気にドルと世界の株式市場に流れ込んだのです。

 世界経済はリーマンショック以降の早い段階で金融緩和・量的緩和の効果を過大評価していたため、今も世界的な過剰設備・過剰生産・過剰資源の状態にあります。また、2度の中国ショックや英国のEU離脱騒動などもあり、少なくとも1年は金融緩和の終了ないし量的緩和の縮小が遅れた可能性があります。

 ECBもFRBもギリギリのタイミングで「正しい金融政策への変更」を行い、市場に的確なメッセージを発信しましたが、たとえFRBが本格的に利上げに転じたとしても4.5兆ドルも積み上がった資産をすぐに売却し余剰資金を引き揚げるわけではありません。ECBの量的緩和は縮小したものの未だ継続中、日銀も簡単に量的緩和を縮小するわけにはいきません。

 つまり、再び何かの「きっかけ」で世界の市場心理が急激に悪化しない限り、株式市場などへの投資(投機)が止まってしまうことは考えにくいでしょう。

本連載は金融・経済のプロも愛読し”ネタ元”にしていると評判の刺激的な金融メルマガ『闇株新聞プレミアム』で配信された記事から、一部を抜粋・編集の上お送りしています。メルマガにご登録いただくと、政治経済や金融の話題を中心に、歴史文化や娯楽まで他のメディアでは決して読めない、濃くて深くてためになる記事が、毎週1回5本程度の本編と付録、番外編、速達便がお読みいただけます。日々のニュースを読み解くセカンドオピニオンとしてご活用いただければ幸甚です。

闇株新聞PREMIUM

闇株新聞PREMIUM
【発行周期】 毎週月曜日・ほか随時  【価格】 2,552円/月(税込)
闇株新聞PREMIUM 闇株新聞
週刊「闇株新聞」よりもさらに濃密な見解を毎週月曜日にお届けします。ニュースでは教えてくれない世界経済の見解、世間を騒がせている事件の裏側など闇株新聞にしか書けないネタが満載。
お試しはコチラ

 

DPM(ダイヤモンド・プレミアム・メールマガジン)

●DPM(ダイヤモンド・プレミアム・メールマガジン)とは?

金融・経済・ビジネス・投資に役立つタイムリーかつ有益な情報からブログに書けないディープな話まで、多彩な執筆陣がお届けする有料メールマガジンサービス。
初めての方は、購読後20日間無料! 


世の中の仕組みと人生のデザイン
【発行周期】 隔週木曜日  【価格】 864円/月(税込)
世の中の仕組みと人生のデザイン 橘 玲
金融、資産運用などに詳しい作家・橘玲氏が金融市場を含めた「世の中の仕組み」の中で、いかに楽しく(賢く)生きるか(人生のデザイン)をメルマガで伝えます。
お試しはコチラ

堀江 貴文のブログでは言えない話
【発行周期】 毎週月曜日、水曜、ほか随時  【価格】 864円/月(税込)
堀江 貴文のブログでは言えない話 堀江 貴文
巷ではホリエモンなんて呼ばれています。無料の媒体では書けない、とっておきの情報を書いていこうと思っています。メルマガ内公開で質問にも答えます。
お試しはコチラ

 


auじぶん銀行の公式サイトはこちら!
最短翌日!口座開設が早い証券会社は? おすすめ!ネット証券を徹底比較!おすすめネット証券のポイント付き
ZAiオンライン アクセスランキング
1カ月
1週間
24時間
楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード! 新しいFXの自動売買!「世界通貨セレクト」の3つの魅力とは?ザイ編集部が動画で解説!
マネックス証券の公式サイトはこちら 楽天カードは年会費永年無料で、どこで使っても1%還元で超人気! 【マイルの貯まりやすさで選ぶ!高還元でマイルが貯まるおすすめクレジットカード! 新しいFXの自動売買!「世界通貨セレクト」の3つの魅力とは?ザイ編集部が動画で解説!
ダイヤモンド・ザイ最新号のご案内
ダイヤモンド・ザイ最新号好評発売中!

最強「高配当株」
エンタメ株30
「株」の選び方

9月号7月18日発売
定価950円(税込)
◆購入はコチラ!

楽天で「ダイヤモンド・ザイ」最新号をご購入の場合はコチラ!Amazonで購入される方はこちら!

[最強高配当株ベスト144]
◎第1特集
有名企業の利回りが高い!
今買いの最強「高配当株」ベスト144
●なぜ、いま高配当株なのか?
注目の4大ポイント
●上手く儲けるための買い方&選び方
●高利回り!トヨタやキリンHDなど

人気高配当株トップ100の買い売りを激辛診断
●株価が上がる!連続増配/アクティビスト/国策
3つの視点で配当も値上がりも狙う株
●安定配当!ずっと安心して持てる!
ザイ独自!減配しない10年配当株50
●[番外編]桐谷さん激推し!
配当利回り3%超の株主優待株8

◎第2特集
日本のIPビジネスに世界が夢中!
株価10倍株も続出!エンタメ株30

●3つのワケを解明!今なんで日本のIPビジネスがキテるの?
●任天堂/サンリオなど プロのお墨付き!エンタメBIG5
●アニメ・ゲーム・トイなどタイプ別に紹介!注目度が急上昇のエンタメ株25

◎第3特集
フジ・メディアやトヨタなど35社を実況中継
株主総会レポート2025

●質疑で火花散るお騒がせ株
フジ・メディア/日産自動車/三菱UFJフィナンシャルGなど
●みんなが持ってる日本代表株
ソフトバンクG/トヨタ自動車/三菱商事など
●個人に人気の高配当&株主優待株
日本郵船/三菱HCキャピタル/オリエンタルランドなど

◎第4特集
おススメをズバリ紹介!
米国株の次に買うべき投資信託

●米国に次ぐ存在として注目度アップ!
欧州株&欧州比率が高い投資信託

●手堅く好成績の内需系が狙い目!日本株全般&中小型株の投資信託
●値動きは大きいが高成長に期待!インド株&新興国複数型の投資信託

【別冊付録】
バフェット流 長期で上がる「株」の選び方
●基礎編:
長期で保有できる優れた会社の選び方
●実践編:
資産3億円の億り人が語る「圧倒的な強さを重視して買う」

◎連載も充実
●10倍株を探せ!IPO株研究所2025年6月編
「東証グロース市場の改革で上場見合わせが増加か」
●ZAiのザイゼンがチャレンジ!目指せ!お金名人Vol.12
「コスパのよいサブスクとは?」
●17億円トレーダー・ジュンのFX成り上がり戦略Vol.07
「暴走は勝ち方を覚えるきっかけに」
●おカネの本音!VOL.37 CRAZYCOCOさん
「外資系CAから芸人に!5度の転職でわかった好きで稼ぐマネー術!」
●株入門マンガ恋する株式相場!VOL.105
「コメ価格も恋心も不安定!?」
●マンガどこから来てどこへ行くのか日本国
「インフレ対策は必須!修繕積立金が不足し“限界マンション”に」
●人気毎月分配型100本の「分配金」速報データ!
「株式相場好調も円高の進行で成績がまちまち!」


>>「最新号蔵出し記事」はこちら!


「ダイヤモンド・ザイ」の定期購読をされる方はコチラ!


>>【お詫びと訂正】ダイヤモンド・ザイはコチラ

「キャッシュレス決済」おすすめ比較 太田忠の日本株「中・小型株」アナリスト&ファンドマネジャーとして活躍。「勝つ」ための日本株ポートフォリオの作り方を提案する株式メルマガ&サロン

ダイヤモンド不動産研究所のお役立ち情報

ザイFX!のお役立ち情報

ダイヤモンドZAiオンラインαのお役立ち情報