【今回のまとめ】
1.先週の米国株式市場は「コツン」と底打ちを感じさせた
2.経済指標は世界的に弱い
3.世界の中銀が金融緩和する必要が高まっている
4.株式市場はそれを一足先に織り込みにいっている
体勢を立て直した米国株式市場
先週(5月21日~25日)の米国株式市場は、ダウ工業株価平均指数が+0.7%、S&P500指数が+1.7%、ナスダック総合指数が+2.1%でした。

上の図はS&P500指数のチャートです。先週は、前週までの下落の勢いの強さとは対照的に、メモリアルデーの3連休を控えたポジション整理の売りが出やすかった25日(金)を除けは、連日引け値を切り上げていたことがわかります。
言い換えれば、すでに米国市場は「コツン」と底打ちした後、態勢の立て直しに入っているわけです。
頼みの中国の需要にかげりが見える
一方、先週発表された経済指標は世界的に弱いものが目立ちました。下は中国のHSBC製造業購買担当者指数です。5月は48.7と4月よりも低くなりました。

中国はソフトランディング(軟着陸)ではなく、激しい景気後退のリスクが高まっています。また、ドイツの製造業購買担当者指数も、5月は市場予想を大きく下回る45にとどまりました(次のページの図)。
つまり、世界でもとりわけ製造業の競争力がある、中国やドイツが苦戦しているのです。その背景には…(次のページへ)
その背景には、需要が弱いことがあります。

これまでドイツはギリシャ危機で大きく後退した南欧からの需要を、中国への輸出を強化することで補ってきました。しかし最近の中国の貿易データを見ると、そのようなシフトにも限界があることがわかります。なぜなら頼みの綱の中国の需要までも、ここへきてかげりが見え始めているからです。
株式市場の底打ちが意味するものは…
これは言い換えれば、世界の中央銀行が消費を支援するために金融緩和する必要が高まっていることを示しています。
とりわけ欧州中央銀行(ECB)については、政策金利の引き下げはもちろんのこと、場合によっては、米連邦準備制度理事会(FRB)が実施しているような量的緩和政策(QE)を行うことが望ましいと、市場は考え始めています。
実体経済に関する悪いニュースが続くなか、株式市場が底入れはじめている理由は、この金融緩和を市場が一足先に織り込み始めているからにほかなりません。「世界的に、もう一段踏み込んだ金融緩和が必要だ」という認識は、相場の新しいテーマです。
緩和が「買い」であることは、言うまでもありません。
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