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“老後資金は年金だけでは足りない”のは当然なのに、
なぜ「老後資金2000万円不足」騒動が起きたのか?
今こそ「老後に本当に必要な金額」を計算してみよう

2019年7月20日公開(2019年7月20日更新)
ザイ編集部
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大騒動になった「老後2000万円不足」問題をダイヤモンド・ザイが徹底検証! 金融庁の報告書の内容は事実なのか? 「老後本当に必要な金額」はいくらか? などの問題を詳しく解説!

ダイヤモンド・ザイ9月号の巻頭特集では、注目の「老後資金2000万円不足」問題を徹底検証! 「2000万円不足」の根拠を丁寧に図解し、本当に2000万円が必要かどうか、公的年金が破綻しないカラクリなども詳しく説明。それでも不安な人には、書き込み式の「老後資金試算マニュアル」を用意! ”老後2000万円問題”で、将来に不安を抱いている人の疑問に答える、必見の特集だ。

今回はこの中から、「金融庁の報告書は何が問題!? 必要な金額はどう暮らすかで大きく変わる」を抜粋! 報告書にある「老後2000万円」の根拠になった「家計調査(総務省)」をもとに、ファイナンシャルプランナーの意見を交えて検証しているので、ぜひ参考にしてほしい!
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⇒“老後資金2000万円”が不足する問題は、株の「配当」で解決できる!? 65歳で毎月7万円の株の「配当」収入を得るための事前の準備と投資プランを詳しく解説!

金融庁の報告書の試算はごく“普通”の内容!
「2000万円」の根拠は総務省の「家計調査」から

 公的年金だけでは、老後資金が2000万円不足する──。金融庁の発表した文書が、日本中を騒がせた。 発端は、金融庁の「金融審議会 市場ワーキング・グループ」が6月3日に公開した「高齢社会における資産形成・管理」という報告書だ。その中の、「(老後の生活の)収入と支出の差である不足額約5万円が毎月発生する場合には、20年で約1300万円、30年で約2000万円の取崩しが必要になる」という一文が、“大炎上”の火種となった。

イラスト1

 新聞やTVが取り上げて注目度が高まると、麻生財務・金融担当大臣は「不適切な表現だ」として報告書の受取を拒否。野党は「政府の年金政策の失敗だ」として批判し、安倍首相が「100年安心はウソではない」と応酬するなど、一大政治問題と化してしまった。

 実のところ、ファイナンシャルプランナーや社会保険労務士といった老後資金や年金に携わる専門家は皆、「なぜ、これが今さら問題となるのか」と首をかしげている

 「2000万円」の根拠は、総務省の「家計調査」の数字だ。2017年の同調査によれば、高齢者夫婦(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の平均家計収支は、月5万4519円の不足。その分は、貯蓄などを取り崩して賄うという姿になっている(下の図を参照)。

老後世帯の家計は「平均」で月5.5万円の赤字図は一部内訳を変更しているため、項目別の金額は家計調査および金融庁の報告書と一致しない部分がある。また端数の関係で収支と不足額は一致しない場合がある。
拡大画像表示

 この月約5.5万円の不足額(報告書ではなぜか「約5万円」とされている)の30年分に相当するのが、約2000万円だ。このように、家計調査の統計データを元に老後資金のモデルを算出するのは、専門家のあいだでごく普通に使われている方法だ。つまりこの点では、報告書の内容に特段、おかしなところはない。

「2000万円の不足」はあくまで”平均”にすぎない
老後の家計は人によって異なる!

 問題があるとすれば、「2000万円の不足」はあくまで“平均”であって、実際の老後の家計は、人によってまったく違うということだ(もっとも、それも報告書にはしっかり書かれている)。支出がもっと少なく、年金だけで暮らしていける人もいるし、逆に2000万円ではとうてい足りない、という人もいる。老後世帯の収入の9割を占めている公的年金も、もらえる額は人によって大きく違う。

 さらに、家計調査は調査年によるブレがけっこう大きい(上の表を参照)。ただ傾向としては、だいたい月5.5万円前後の不足が、“平均的な姿”と見ていいだろう。

 もう一つ、注意すべきなのは、「平均2000万円の不足」には、退職金や保有している資産は含まれていない、ということだ。 仮に老後の収入と支出が平均どおりだったとしても、退職金が1000万円あれば(かつ住宅ローンなどの負債がなければ)、準備すべき資金は1000万円で済む。退職金が2000万円なら、それだけで暮らしていける、という計算になる。

イラスト2

 金融庁の報告書が示しているのは、“平均的に見れば、老後は年金だけで暮らしていくことはできない”という、おそらく国民の多くにとって“当たり前”の事実にすぎない。政治的な思惑や、メディアのセンセーショナルな取り上げ方によって「2000万円」という数字が独り歩きして大騒動となったが、重要なのはそれに振り回されず、「自分の場合はどうか」を考えることだ。またその際、平均値がまったく無意味というわけでもない。

 「自分の老後の家計を考えよう、と言われても、多くの人はなかなかイメージできないものです。平均値は自分の場合を想定するにあたっての“目安”としては役に立ちます」(ファイナンシャルプランナーの深田晶恵さん)

 実際、多くの家計を見てきた深田さんによれば、月5.5万円の不足という数字は、「普通のサラリーマンの老後の実態に近い」という。

 参考として、家計調査を元にした、単身高齢者(未婚の人や配偶者と離別した人)の場合、および夫婦2人の高齢者世帯の収入別の家計収支を掲載した(下の図を参照)。

 これらも平均値であることには注意してほしいが、いずれも“年金だけでは不足する”のは共通だ。 今回の騒動は、国民一人一人が老後資金について真剣に考える、良い契機となった。その意味では、報告書の狙いどおりとも言えるだろう。
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