世界投資へのパスポート
2018年10月29日 広瀬 隆雄

米中間選挙は株式市場にマイナスの影響は与えない!
選挙後、相場が荒れるようならFRBが利上げを
ストップするので、今は積極的に買い向かうのが吉!

米国株式市場が急落
「恐怖指数」は25まで急上昇!

 米国株式市場は、神経質な動きが続いています。

 先週の米国株式市場はS&P500指数が-3.9%、ダウ工業株価平均指数が-3%、ナスダック総合指数が-3.8%でした。今年の高値からはS&P500指数が-9.6%、ダウ工業株価平均指数が-8.6%、ナスダック総合指数が-11.9%の調整となります。

■S&P500指数チャート/日足・6カ月
S&P500指数チャート/日足・6カ月S&P500指数チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
拡大画像表示

 投資家の不安の指標であるCBOEボラティリティー指数(=俗に「恐怖指数」とも言われます)は、25まで上って来ました。

今回の米国株式相場の急落は
市中金利の上昇が原因

 今回の急落は、10月に入ってから起こりました。一体、何が引き金になったのでしょうか? その原因は、市中金利の上昇に求めることが出来ると思います。

 10月に入ると、米国10年債利回りがスルスルと上昇し始め、10月5日には利回りが3.23%をつけました。これで、市場参加者の戦意がすっかり萎えてしまったのです。

■米国10年債利回りチャート/日足・6カ月
米国10年債利回りチャート/日足・6カ月米国10年債利回りチャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
拡大画像表示

 金利の上昇は、株式のバリュエーションにとってマイナスになります。それに加えて、マイホームやマイカーを借金して買いたい人にとって、それらが買いにくくなることを意味します。

 実際、米国の新築住宅販売件数には少し陰りが見えています。

 さらに、宅建業者の株で構成されるiシェアーズ米国住宅建設ETF(ティッカーシンボル:ITB)もこのところ急落しています。

 金利の上昇に加えて、米中貿易戦争により世界の景気が悪くなる懸念、サウジアラビアのジャーナリストの暗殺事件で「オイルマネーがシリコンバレーに回って来なくなるのではないか?」という懸念なども、急落の原因として挙げることが出来ると思います

11月6日に迫る中間選挙の結果次第では
株式市場が大荒れする可能性も!?

 さて、11月6日(火)は、米国で中間選挙が行われます。今回の中間選挙では下院の435議席全て、上院の100議席の約3分の1にあたる35議席、36州の州知事選挙、さらに市長選挙などの地方選挙が行われます。

 選挙予想サイト『リアルクリアポリティクス』によると、下院は民主党が205議席、共和党が199議席を獲得すると見られています。接戦でどちらになるかわからない議席は、31です。

 上院は、民主党が44議席、共和党が50議席を獲得すると見られています。接戦のためどちらになるかわからない議席は6あります。

 つまり、一番確率の高いシナリオは「下院は民主党、上院は共和党」というものです

 このシナリオでは、為替、金利、株式は殆ど動かないと思います。なぜなら、その組み合わせでは新しい法案が成立する可能性は低く、現状維持を意味するからです。市場関係者は、これをむしろ好感すると思います。

 次に確率の高いシナリオは、「下院・両院ともに共和党」というシナリオですが、これは現状と同じですから特に新鮮味はありません。このシナリオでもマーケットは動かないと思います。

 いちばん確率の低いシナリオは、「下院・両院ともに民主党」というシナリオです。その実現可能性はゼロに近いです。

 ただその場合、トランプ大統領の弾劾動議が起こされる可能性があります。加えて「2017年12月に成立した税制改革法案の一部を廃案にすべきだ」という主張が出る可能性があります。さらに、連邦債務上限の引上げに際して、民主党が駄々をこねる可能性もあります。

 だから、下院・上院ともに民主党のシナリオでは、市場は荒れると思います

FRBのパウエル議長は、これ以上相場が下げれば
利上げの手を休める可能性が高い

 もし、そのようなシナリオになって米国株式市場が一段と下がることになると、連邦準備制度理事会(FRB)は金利政策を変更すると思います。具体的には、これまで粛々と行ってきた利上げを一旦ここでストップすると思われます。

 その根拠ですが、前回の連邦公開市場委員会(FOMC)の後の記者会見で、記者団から「どういうシナリオでFRBは利上げの手を止めるのか?」という質問が出ました。その際、パウエル議長は「資産価格が下落した場合、つまり株式市場が下げた場合、利上げをストップする」と明言しました。

 長い金利引き上げ局面で、そのような小休止があることは珍しくありません。だから、今回そのようなシナリオになり、利上げの手を休めるという場合でも、それが即、景気拡大サイクルの終焉を意味するとは限りません。

中間選挙直前の10月は
株式市場の買い場であることが多い

 アメリカの投資家の多くが参考にする株式市場の歳時記、『ストックトレーダーズ・アルマナック』を編纂しているジェフ・ハーシュによると、中間選挙が実施される直前の10月、つまり今の時期は、絶好の買い場であることが多かったそうです

 なぜなら、中間選挙が終わったあたりから現職の大統領は次の大統領選挙を意識し、積極的に財政出動することで景気支援することが知られているからです。

【今週のまとめ】
中間選挙は、株式市場に
ネガティブな影響を与える可能性は少ない!

 米国の株式市場は軟調で、投資家のセンチメントはしめっぽくなっています。このタイミングで中間選挙を迎えるので、投資家は神経質になっています。

 しかし中間選挙そのものは、あまりマーケットにネガティブな影響を与えないと思います。過去の経験則では中間選挙直前の10月に相場が底入れするケースが多かったです。

 もし相場が荒れるようなら、FRBは利上げの手を休めると思われることから、ここは積極的に買い向かった方が良いと思います。

【今週のピックアップ!】
株式投資に「損切り」は必要なのか? 悪材料が出た場合の「損切り」の必要性や増配の継続性を判断する方法など、ネガティブなニュースへの対処法を検証!
急増中の「プレミアム優待倶楽部」で得する銘柄や、12月に新規公開予定の「ソフトバンクの通信子会社」の利回り予想など、気になる株主優待ニュースを解説