「お宝銘柄」発掘術!
2019年7月31日 村瀬 智一

「A2P-SMS」関連ビジネスに注力する5銘柄を紹介!
2段階認証などで使われる「ショート・メッセージ・
サービス」は企業にとってますます重要なサービスに

 今回は、今後大きな成長が予測される「A2P-SMS」の関連銘柄を紹介します。

 「SMS」とは「ショート・メッセージ・サービス」の略で、携帯電話の電話番号あてに短いテキストメッセージを送信できるサービスのことです。SMSは各キャリアのスマホやガラケーに標準搭載されており、同じキャリア同士はもちろんDocomoからauといった違うキャリア同士でもメッセージを送れますが、その場合、送れるのは日本語で70文字までとなります。

 電子メールと比べると送信可能な情報量はかなり少ないのですが、電話番号さえ知っていれば送れる手軽さがSMSの利点です。また、一般的には電子メールよりもSMSのほうが開封率がかなり高いという特徴もあります。

 最近ではLINEなど多機能なメッセージアプリも普及していますが、それらでメッセージを送信するには相手が対応するアプリをダウンロードしており、さらに、友だち登録をしてもらう必要があります。電話番号さえ知っていれば送信可能なSMSのほうが、はるかに手軽で確実にメッセージを送ることが可能なのです

企業から個人にメッセージを送る「A2P-SMS」は、
「2段階認証」などセキュリティ分野でも重要なサービスに

 個人の携帯電話同士でやり取りするSMSは、「P2P(Person to Person) SMS」と呼ばれており、以前から当たり前のように使われています。しかし、最近ではLINEなどのメッセージアプリの普及もあり、「P2P-SMS」の需要が今後さらに拡大するという見方は難しいでしょう。

 一方で、今回投資テーマとして取り上げる「A2P-SMS」は「Application to person SMS」の略で、企業と顧客とのコミュニケーションに使われるSMSを意味し、今後大きな成長が期待できます。その理由は、SMSならではの特徴です。

 最近は、若者層を中心に、知らない人からの電話は受けず、日常生活では電子メールをほとんど使わないという人が増えており、企業は顧客と連絡を取りづらくなっています。その点、SMSであれば、別途アプリのダウンロードなどの設定をしなくてもすべての携帯電話で受信できるうえ、相手の電話番号さえわかればメッセージを送ることができます。さらにSMSは、メッセージが受信ボックスに埋もれることが少ないので、開封されやすく、その開封率は100%に近いといわれています

 このように、企業から個人に対してメッセージを届けるのに適した「A2P-SMS」は、物流の再配達問題やネットサービスでの不正アクセス問題、IoTの普及による各種セキュリティ問題などを解決する手段として、様々な業界から注目されています。

 代表的な「A2P-SMS」の活用法としては、SMSを用いた「2段階認証」があります。最近では様々なネットサービスでログインや設定変更を行った際に、最終確認を行うURLや一時的なパスワードが携帯電話のショートメールに届いた経験がある方も多いと思います。例えば、銀行などの金融機関では、ログイン時の本人認証や残高通知、出金確認、自動引落の事前通知サービスなどに活用されています。

 SMSによる2段階認証のシステムがあれば、万が一、IDやパスワードが流出して第三者に使われてしまった場合でも、パスワードの変更などが実行されたときに自分の携帯電話に確認メッセージが来ることで、不正操作に気がつき、それを防止することが可能となるのです。

 携帯キャリアとの直接接続による正規ルートで配信を行う「SMS」は、健全かつ安心なメッセージ配信システムと考えられているため、セキュリティの重要性が高まる中で、今後も有効な個人認証の手段として普及していくことが予測できます。

幅広い関連銘柄の中から、
より「A2P-SMS」に特化した企業をピックアップ!

 では、具体的な銘柄選びです。「A2P-SMS」に関連する企業となると、大手携帯キャリアやNTTデータなど通信系IT会社など含まれますが、今回は「A2P-SMS」サービスにより特化している企業を中心にピックアップしました。そのほうが「A2P-SMS」の普及拡大のメリットを享受できるからです

 SMSを利用してサービスを行っている企業はいくつもありますが、「A2P-SMS」の配信サービスを主力として展開する企業は、大手キャリアのグループ企業を除くとそれほど多くありません。さらに、その多くは一般の投資家が株を買うことのできない未上場企業でした。その意味では、「A2P-SMS」関連はニッチな分野であり、将来的に業界全体の成長が期待しやすいと言えます。

 下の銘柄は、「A2P-SMS」の配信サービスを主力としている数少ない上場企業の中から、特に注目したい5銘柄となります。

【アクリート(4395)】
大量のSMSを安定的に配信する技術力が強み

 アクリート(4395)はSMS配信サービス事業を展開しており、大量のSMSを安定的に配信する技術力が強みです。国内市場では人材サービス企業、国内大手IT企業などでの利用が増加しているほか、海外ではキャッシュレス決済サービス、配車アプリの個人認証手段での利用が増えています。最近では、セブン-イレブンの決済アプリ「7Pay」で不正アクセスが発生したことを手掛かりに、セキュリティ対策へ注目が集まり、株価上昇する局面もありました。

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■アクリート(4395)チャート/日足・3カ月
アクリート(4395)チャート/日足・3カ月アクリート(4395)チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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【fonfun(2323)】
アンケート収集システム「アンケートつなぐ君」が順調

 fonfun (2323)は、PCに届くメールをスマホから閲覧・送信できるサービス「リモートメール」が主力ですが、ショートメール活用の販促支援やソフトウェアの受託開発なども手掛けています。SMS事業では、「らくらくナンバー」などの商品サービスを展開しているほか、SMSを利用したアンケート収集システム「アンケートつなぐ君」が順調に伸びています。

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■fonfun (2323)チャート/日足・3カ月
fonfun (2323)チャート/日足・3カ月fonfun (2323)チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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【アイティフォー(4743)】
クラウド型の入金約束受付サービス「NYUS」を展開

 アイティフォー(4743)は、独立系のシステム開発会社で、SMSを活用したクラウド型の入金約束受付サービス「NYUS」を2月より販売開始しています。例えば金融機関では「NYUS」を導入することで、オペレーターが直接債務者と会話する件数が減り、督促業務の効率化と人件費削減効果が期待できます。また、債務者にとっても自身の都合に合わせて回答することができるため、双方にとって利便性が向上します。

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■アイティフォー(4743)チャート/日足・3カ月
アイティフォー(4743)チャート/日足・3カ月アイティフォー(4743)チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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【イントラスト(7191)】
SMSに付加価値をパッケージした「Doc-onサービス」を提供

 イントラスト(7191)は総合保証サービス会社で、家賃債務保証を中心とした保証サービス、および保証サービスに関連するソリューションサービスを提供しています。イントラストが展開する「Doc-onサービス」は、SMSの一括送信業務に、コールセンター機能やクレジットカード決済機能などの付加価値をパッケージにしたサービスです。

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■イントラスト(7191)チャート/日足・3カ月
イントラスト(7191)チャート/日足・3カ月イントラスト(7191)チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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【トランスコスモス(9715)】
アクリートと協業して自治体向けSMS配信サービスを提供

 トランスコスモス(9715)はITサービス大手で、マーケティングや販売、顧客コミュニケーションのDECサービスと、BPOサービスを展開。アクリート(4395)との協業により、埼玉県三郷市におけるSMS配信サービスを提供しています。業務設計や運用体制の構築などの導入支援、ならびにSMS配信に関わるオペレーター業務を担っています。

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■トランスコスモス(9715)チャート/日足・3カ月
トランスコスモス(9715)チャート/日足・3カ月トランスコスモス(9715)チャート/日足・3カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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「A2P-SMS」は「キャッシュレス決済」「電子政府化」などの
“国策テーマ”とも関係する有望な投資テーマ

 先週の連載では「キャッシュレス決済」を取り上げましたが、そうした決済サービスでもSMSによる二段階認証は使われています。また、政府が進める「電子政府化」に向けた流れにおいても、自治体からの確認手段として「A2P-SMS」サービスが活用されるでしょう。
【※「キャッシュレス決済」についての解説記事はこちら!】
⇒「キャッシュレス決済」関連で注目の5銘柄を紹介! 10月の消費税増税を前に「LINE」や「スマレジ」など、最新の決済サービス関連銘柄の株価上昇に期待

 LINEなどの普及で個人間ではあまり使われなくなったように映るSMSですが、このように「A2P」に視点を移すだけで大きな需要が隠れているのです。そういう投資テーマを見つけ出すのも、株式投資の醍醐味のひとつでしょう。

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