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「カーボンナノチューブ」は炭素原子でできた極細繊維で、
軽量でありながら鋼の約20倍もの強度を持つ最先端材料!
中国の北京大学の研究チームが10月31日、厚さわずか1.8ミリメートルという薄い布で従来のケブラー繊維をしのぐ防弾性能を実現したとの論文を学術誌「Matter」に発表したことが報じられました。この新素材は、カーボンナノチューブ(CNT)をアラミド繊維に織り込んで作られており、その動的強度(急な衝撃に耐える力)は約10.3ギガパスカル。防弾チョッキなどに使用されるケブラー繊維の動的強度が約4ギガパスカルであることを考えると、驚異的な強度と言えます。
カーボンナノチューブとは、炭素原子のみでできた直径が数ナノメートル(100万分の1ミリメートル)レベルの微細なチューブ状の素材で、チューブが1層のものは「単層カーボンチューブ」、複層のものは「多層カーボンチューブ」と呼ばれています。アルミニウムの半分の重量でありながら鋼の約20倍もの強度を有し、さらには銅の約10倍の熱伝導性とシリコンの約10倍の電子移動度を併せ持っているのが特徴です。
カーボンナノチューブは、その優れた特性からさまざまな分野での活用が期待されています。
例えば、その強度を生かす場合、自動車や航空機、宇宙船、超高層ビル、橋梁用ケーブルなどの構造材としての活用が考えられます。また、リチウムイオン電池の正極・負極材料にカーボンナノチューブを添加することで導電性が大幅に向上することから、充電速度の高速化や電池容量の増加、寿命を向上させる効果があるとされています。さらに半導体分野においては、既存のシリコン半導体よりも高速かつ低電力を実現する次世代半導体の材料として期待されています。
「カーボンナノチューブ」の市場規模は右肩上がりに成長し、
2032年までに約2兆9400億円に達する見通し!
米国の市場調査会社フォーチュン・ビジネス・インサイトによれば、世界のカーボンナノチューブの市場規模は、2025年の77.5億米ドル(約1兆2000億円)から、年平均13.6%の割合で成長し、2032年までに189.8億米ドル(約2兆9400億円)に達すると予測されています。
国内でもカーボンナノチューブの需要は増加しているようで、名城大学発のベンチャー企業・名城ナノカーボンは、2026年度下期をめどにカーボンナノチューブの量産工場を建設する計画が報じられました。独自開発したカーボンナノチューブ合成装置を設置して年間2~3トンの生産を目指し、その後は早期に年10トンまで生産量を拡大させる計画とのことです。
そこで今回は「カーボンナノチューブ(CNT)」関連銘柄に注目。銘柄としては実際にカーボンナノチューブを製造している企業を中心にピックアップしました。
【日本ゼオン(4205)】
幅広い用途が期待できる単層カーボンナノチューブ「ZEONANO」を開発
日本ゼオン(4205)は合成ゴムや電子材料、高機能樹脂などを手掛ける化学メーカーです。同社が開発した「ZEONANO」は、高アスペクト比、高純度、高比表面積という特性を持つ単層カーボンナノチューブで、金属やゴム、樹脂などと複合化することで今までにない機能を持った製品の開発が可能。高機能ゴム材料などの高機能材料分野やエネルギー分野、エレクトロニクス分野、、構造材料分野など、さまざまな業界での幅広い用途が期待されます。株価は上昇トレンドが続くなか、足元では12月1日につけた高値1793円をピークに調整を見せていますが、ボリンジャーバンドの+1σ水準まで下がってきたことで、ここからのリバウンドが期待されます。
日本ゼオン(4205)チャート・ボリンジャーバンド/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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【住友電気工業(5802)】
超軽量・高強度な次世代電線の開発に取り組む
住友電気工業(5802)は、カーボンナノチューブを電気導体に採用することで、超軽量・高強度を実現した次世代電線の開発を推進。軽さと耐久性の両立が求められる航空・宇宙関連や自動車関連への展開を期待しており、2035年までの事業化を目指しています。株価は12月3日に7008円まで買われるなど強い上昇トレンドが継続。ボリンジャーバンドの+1σと+2σとの間で推移しているため、レンジ下限での押し目を拾いたいところです。
住友電気工業(5802)チャート/日足・6カ月・ボリンジャーバンド(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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【レゾナック・ホールディングス(4004)】
リチウムイオン電池の劣化を抑制する導電助剤「VGCF」を販売
レゾナック(4004)は、カーボンナノチューブを使用してリチウムイオン電池の劣化を抑制する導電助剤「VGCF」を製造・販売しています。EVやスマートフォンなどで広く使われているリチウムイオン電池などの二次電池は、充放電を繰り返すと内部構造が徐々に崩れて劣化しますが、「VGCF」を添加することで長寿命化など電池特性の向上を実現します。株価は12月1日につけた高値6589円をピークに調整を見せているので、25日移動平均線辺りまでの下げを目処としたリバウンド狙いのスタンスで。
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レゾナック・ホールディングス(4004)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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【ニッタ(5186)】
独自技術「Namd」を生かして高性能な炭素繊維強化プラスチックを開発
ニッタ(5186)は、ナノ分散カーボンナノチューブを炭素繊維に均一複合化する独自技術「Namd」を開発。鉄の20倍の強度と銅の10倍の熱伝導性を持つカーボンナノチューブを炭素繊維の表面に付着・複合化することで、今までにない高性能な炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を作り出します。株価は足元の調整で13週移動平均線まで下落。下値支持線として意識される26週移動平均線を意識しながらリバウンドを狙いたいところでしょう。
ニッタ(5186)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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【戸田工業(4100)】
多層カーボンナノチューブ「TC-2000」を製造
戸田工業(4100)はカーボンナノチューブの研究開発と製品化に取り組んでいる企業で、多層カーボンナノチューブ「TC-2000」を製造・販売しています。「TC-2000」は独自技術によってチューブ径や結晶性などの制御が可能なため、顧客のニーズに応じた製品を提供できるのが強みです。株価は6月下旬から8月半ばにかけて急伸したものの、その後は調整が続いており、足元では52週移動平均線に上値を抑えられています。ただし1100円辺りで底堅さが見られるため、押し目を拾いたいところです。
戸田工業(4100)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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【GSIクレオス(8101)】
絡まったカーボンナノチューブをほぐす独自技術を開発
GSIクレオス(8101)は繊維と工業製品を中心とする専門商社で、一部分野ではメーカーとしても事業を展開しています。カーボンナノチューブは極細繊維状のため絡まりやすい性質がありますが、同社は絡まって凝集したカーボンナノチューブをほぐす独自技術を開発。多くのカーボンナノチューブの製品化に成功しており、さまざまな製品を国内外へ販売しています。株価は9月26日につけた高値2445円をピークに調整に転じ、10月以降は13週移動平均線を挟んで推移しています。2300円辺りでの押し目拾いのスタンスで。
GSIクレオス(8101)チャート/週足・1年(出典:SBI証券公式サイト)※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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以上、今回は「カーボンナノチューブ(CNT)」関連銘柄を発掘しました。
実はカーボンナノチューブは1991年に日本で初めて発見された素材で、現在でも研究開発において日本が世界をリードしていると言われています。将来的に日本経済を支える技術のひとつとしても、その成長に期待したいところです。
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