米国市場の第2四半期決算発表シーズンは、好調な滑り出し!
ただし、第3四半期のガイダンスは今ひとつ
2019年第2四半期の決算発表が相次いでいます。これまでに、S&P500に採用されている大型株の44%が決算発表を終え、そのうち77%の企業でEPSが事前のコンセンサス予想を上回りました。過去5年の平均は72%ですから、これは良い成績です。
さらにEPSは、平均するとコンセンサス予想より5.4%高い数字でした。これは過去5年の平均の4.8%よりも良いです。
言い換えると、EPSでポジティブ・サプライズを出した企業数も、ポジティブ・サプライズ幅も、どちらも普段以上だということです。
一方、売上高を見ると、61%の企業が事前のコンセンサス予想を上回りました。過去5年の平均は60%ですので、こちらも平均以上です。さらに売上高は、平均するとコンセンサス予想より1.2%高い数字でした。これは過去5年間の平均である0.8%よりも良い数字です。
言い換えると、売上高がポジティブ・サプライズを出した企業数も、ポジティブ・サプライズ幅も、どちらも普段以上だということです。
ただし、今回の決算発表シーズンで残念な面もあります。それは第3四半期の会社側ガイダンス(利益予想)です。
これまでに38社が第3四半期のガイダンスを出しており、そのうち28社はネガティブ、すなわちコンセンサス予想を下回る、落胆すべきガイダンスでした。これは、比率で言えば74%ということになります。過去5年の平均は70%ですので、普段よりも多くの企業がネガティブ・ガイダンスを出したということです。
個別銘柄では、コカコーラ(ティッカーシンボル:KO)、スターバックス(ティッカーシンボル:SBUX)、アルファベット(ティッカーシンボル:GOOG)、フェイスブック(ティッカーシンボル:FB)、マイクロソフト(ティッカーシンボル:MSFT)の好決算が印象に残りました。反対に、アマゾン(ティッカーシンボル:AMZN)、テスラ(ティッカーシンボル:TSLA)の決算の悪さが目を引きました。
それぞれを細かく見ていきましょう。
【コカコーラ】
新興国を中心とした世界市場で、再び急成長局面に!
コカコーラの第2四半期決算は、EPSが予想61セントに対して63セント、売上高が予想98.6億ドルに対して100億ドル、売上高成長率が前年同期比+6.1%でした。
オーガニックな売上高成長率は+6%でした。原液の売上ボリュームは+4%、価格は+2%、ケースボリュームは+3%でした。
地域別では、北米を除く世界でボリューム増が記録されました。コカコーラは、新興国を中心とした世界市場で再び急成長局面に入ろうとしています。
2019年度のEPSは、予想2.10ドルに対して、これまでのガイダンス2.06〜2.10ドルが堅持されました。オーガニック売上高成長率ガイダンスは、これまでの「+4%成長」が「+5%成長」に引き上げられました。
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【スターバックス】
グローバル既存店売上比較のガイダンスで+7%を提示
スターバックスの第3四半期(6月期)決算は、EPSが予想73セントに対して78セント、売上高が予想66.7億ドルに対し68.2億ドル、売上高成長率が前年同期比+8.1%でした。
グローバル既存店売上比較は+6%、うちトランザクション数が+3%、チケット価格が+3%でした。米国、中国、どちらの既存店売上比較もヘルシーでした。
2019年度のEPSは、予想2.80ドルに対して新ガイダンス2.80~2.82ドルでした、グローバル既存店売上比較ガイダンスは+4%が提示されました。旧ガイダンスは+3~4%でした。さらに、GAAP売上高成長率ガイダンスは+7%が提示されました。旧ガイダンスは+5~7%でした。
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【アルファベット】
潤沢なキャッシュフローを使って自社株買いを実施
グーグルの親会社であるアルファベットの第2四半期決算は、EPSが予想11.38ドルに対して14.21ドル、売上高が予想382.1億ドルに対して389.4億ドル、売上高成長率た前年同期比+19.3%でした。
グーグル・プロパティーにおけるペイドクリックは、前年同期比+28%、前期比+6%でした。また、コスト・パー・クリックは、前年同期比-11%、前期比-1%でした。
アルファベットの広告ビジネスは相変わらず好調であり、同社は潤沢なキャッシュフローを使って積極的に自社株を買い戻しています。
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【フェイスブック】
インスタグラムを中心に広告ビジネスが順調に推移
フェイスブックの第2四半期決算は、EPSが予想1.87ドルに対して1.99ドル、売上高が予想164.9億ドルに対して168.9億ドル、売上高成長率が前年同期比+27.6%でした。
デイリー・アクティブ・ユーザー(DAU)は+8%の15.9億人でした。米国カナダは1.87億人、欧州は2.86億人、アジア太平洋は6.15億人、その他の地域は4.99億人でした。
一方、月次アクティブ・ユーザー数は+8%の24.1億人でした。米国カナダは2.44億人、欧州は3.85億人、アジア太平洋は10.03億人、その他の地域は7.82億人でした。
ユーザーひとり当たり売上高(ARPU)は、米国カナダが33.27ドル、欧州が10.70ドル、アジア太平洋が3.04ドル、その他の地域が2.13ドルでした。営業キャッシュフローは、86.15億ドルでした。前年同期は62.99億ドルでした。
フェイスブックも、インスタグラムを中心に広告ビジネスのモメンタムは落ちていません。
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【マイクロソフト】
クラウドサービス「アジュール」がすこぶる好調
マイクロソフトの第4四半期(6月期)決算は、EPSが予想1.21ドルに対して1.37ドル、売上高が予想328億ドルに対して337.2億ドル、売上高成長率が前年同期比+12.1%でした。
マイクロソフトは、いま積極的にクラウドへの移行を推し進めていますが、すこぶる順調と言えます。実際、マイクロソフトのクラウドサービスであるアジュール(Azure)の売上高は+64%でした。
強いて言えば、ゲーミング売上高が-10%と不調でしたが、これは製品サイクルが端境期に入っているためで、事前に予想された結果でした。
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【アマゾン】
売上高は好調だったが、EPSが予想を下回る
アマゾンの第2四半期決算発表は、EPSが予想5.63ドルに対して5.22ドル、売上高が予想625.9億ドルに対して634億ドル、売上高成長率が前年同期比+19.9%でした。
アマゾンは、このところずっと売上高成長率が予想を下回ってきたのですが、今回は初めて売上高面でアップサイドが出ました。その反面、逆にこれまで良かったEPSでは今回は落胆すべき数字が出ています。
北米売上高は386.5億ドルでした。前年同期は321.7億ドル、売上高成長率は前年同期比+20%でした。北米営業マージンは4.0%でした。前年同期は5.7%でした。
一方、海外売上高は163.7億ドルでした。前年同期は146.1億ドル、売上高成長率は前年同期比+12%でした。海外営業マージンは-3.7%でした。前年同期は-3.4%でした。
AWS売上高は83.8億ドルでした。前年同期は61.05億ドル、売上高成長率は+37%でした。AWSの営業マージンは25.3%でした。前年同期は26.9%でした。AWSが総売上高に占める割合は13%でした。
営業利益は+3%の30.8億ドルで、予想は36.5億ドル、ガイダンスは26~36億ドルでした。営業キャッシュフローは91.18億ドルで、前年同期は74.49億ドルでした。
第3四半期の売上高は、予想673.6億ドルに対して新ガイダンス660億~700億ドルが提示されました。営業利益は、予想43.8億ドルに対して新ガイダンス21億~31億ドルが提示されました。
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【テスラ】
EPS、売上高ともに落胆すべき内容
テスラの第2四半期決算は、EPSが予想-36セントに対して-1.12ドル、売上高が予想64.4億ドルに対して63.5億ドル、売上高成長率が前年同期比+58.7%でした。つまり、テスラの決算はEPS、売上高の両方で落胆すべき内容でした。
営業キャッシュフローは6.14億ドルでした。グロスマージンは-1.30ポイントの18.9%でした。
年内に、中国で「モデル3」の生産を開始、2020年までに米国のフリーモント工場で「モデルY」の生産を開始します。さらに欧州では、ギガファクトリーの立地の選定に入っています。
通年の納車ガイダンスはこれまで通り36万~40万台です。また、営業キャッシュフローも黒字を見込んでいます。さらに、2019年度の設備投資額は15億~20億ドルを見込んでいます。
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【今週のまとめ】
概ね順調な第2四半期決算シーズンの中でも、
コカコーラとスターバックスの好調ぶりが強い印象に!
第2四半期決算発表シーズンは、概ね良い滑り出しを見せています。個別ではコカコーラとスターバックスの好調が特に強い印象を残しました。とりわけコカコーラは、再び「成長を出せる」体制が整った印象を与え、ストーリーに新鮮味があります。今後の値動きに期待したいところです。
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