世界投資へのパスポート
2019年8月5日 広瀬 隆雄

トランプ大統領の発言で「世界同時株安&円高」が
進む今の市場で、買うべき銘柄はゴールドと新興国!
米国株式市場の現状と、今後のシナリオも解説!

トランプ大統領が「対中関税第三ラウンド」の発動を発表し、
世界中の株式市場が急落!

 先週の8月1日、トランプ大統領は米中貿易交渉に進展が見えないことに業を煮やし、対中関税第三ラウンドを9月1日付で発動すると発表しました。今回は、これまでに関税の対象となってなかった3000億ドル相当の中国からの輸入品に対し、10%の関税を課すことになります。

 下のグラフに見られるように、対中関税第三ラウンドの中身は、消費財の占める割合が高くなっています。

 消費財は、原料や中間財と違ってメーカーが関税によるコストの増加を吸収できないので、この関税の少なからぬ部分は値上げというカタチで消費者に転嫁されることが予想されます。そして、消費財の値上がりは消費者の反発を買い、消費が低迷するリスクがあります

 世界の株式市場は、これを嫌気して先週末にかけて軟調な展開となりました。

■S&P500指数チャート/日足・6カ月
S&P500指数チャート/日足・6カ月S&P500指数チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 S&P500指数は2750付近に下値支持線があるのですが、今回の下落ではそのレベルまで落ち込んでもおかしくありません。私の考えでは、この水準で米国市場は一度「コツン」と底打ちし、反発を試みると思います

債券利回りの低下は、世界が不景気になることを示唆!
世界の製造業購買担当者指数も悪化中

 一方で、債券が大きく買われていることも投資家の間で話題になっています。下は米国10年債利回りのチャートです。債券価格が上昇すればするほど、利回りは低下します。

■米国10年債利回りチャート/日足・6カ月
米国10年債利回りチャート/日足・6カ月米国10年債利回りチャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト) ※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます
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 欧州では、先週、ドイツの30年国債の利回りがマイナスになりました。つまり、債券に投資することへの見返りがゼロであるにもかかわらず、投資家は債券に殺到しているのです。

 それが示唆することは、世界の投資家が今後景気は悪くなると予想し、安全を求めて債券に避難しているということです

 実際、世界の製造業購買担当者指数は引き続き悪化しています。下は、ユーロ圏製造業購買担当者指数です。

 欧州での景況感が悪化している一因は、中国が欧州で作られた機械などの製品を買わなくなっていることで、ここへも米中貿易戦争の影響が及んでいるというわけです。

中国ではドル建て債券の発行が流行中だが、
将来的には金融市場の撹乱要因になる可能性も!

 その中国では、いま民間企業によるドル建て債券の発行が活発です。上に述べたように世界的に金利が低下している中で、中国のドル建て債は利回り的にも魅力的なうえ、ドル建てなので為替リスクもないからです。

 中国人民銀行が人民元をドルと緩く連動させている関係で、中国の発行体は為替リスクには鈍感です。実際、1ドル=7人民元の水準を割り込んで人民元が弱含むことは、中国人民銀行が望んでいないと信じられています。

 それらのことから、皆、安心感を持って中国企業の発行するドル建て債券を購入しています。

 しかし、これと似たようなことは1994年のメキシコペソ危機でも起きました。当時のメキシコもドル建ての借金をどんどん増やしていたのです。

 米国は、7月31日の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利下げを行い、いよいよ米国は新しい利下げ局面に突入しました。そのような場面では、米国の投資家はより有利な投資先を求めて、海外、とりわけ新興国におカネを持って行くことが多いです。それはつまり、上に述べたような中国の借り手にとって追い風が吹いていることに他なりません。

 したがって、目先の話でいうと、中国で急増しているドル建て債務が問題化する可能性は低いです。しかし、何らかの拍子にそれが逆流した際には、金融市場のかく乱要因にならないとも限りません

現在考えられるメインシナリオと、
個人投資家が取るべき投資戦略は?

 現在の私のメインシナリオは、米国株式市場はこのへんで一旦、ボトム(底値)をつけ、再び上昇トレンドに戻るというものです。

 しかし、貿易問題を巡って米中の対立が激化すれば、世界の株式市場は下げ足を速め、それに呼応する形で米国連邦準備制度理事会(FRB)もアグレッシブに利下げする必要が出てくるかもしれません。

 そのようなシナリオでは、ゴールドが見直されるでしょう。ETFとしてはSPDRゴールドシェア(ティッカーシンボル:GLD)が妙味です。
【※利下げとゴールドの関係についての記事はこちら!】
⇒FOMCでの“利下げ”で値上がりが期待できるゴールド(金)に注目! 来るべき金融緩和局面に備えて金に投資するには「SPDRゴールドシェア」がおすすめ!

■SPDRゴールドシェアーズ(GLD)チャート/日足・6カ月
SPDRゴールドシェアーズ(GLD)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
※画像をクリックすると最新のチャートへ飛びます。SPDRゴールドシェアーズ(GLD)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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 加えて、トルコやメキシコといった中国とあまり商売していない新興国も漁夫の利を得る可能性があります。具体的な投資先としては、iシェアーズMSCIトルコETF(ティッカーシンボル:TUR)iシェアーズMSCIメキシコETF(ティッカーシンボル:EWW)が関連銘柄になります。

■iシェアーズMSCIトルコETF(TUR)チャート/日足・6カ月
iシェアーズMSCIトルコETF(TUR)チャート/日足・6カ月iシェアーズMSCIトルコETF(TUR)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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■iシェアーズMSCIメキシコETF(EWW)チャート/日足・6カ月
iシェアーズMSCIメキシコETF(EWW)チャート/日足・6カ月iシェアーズMSCIメキシコETF(EWW)チャート/日足・6カ月(出典:SBI証券公式サイト)
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