世界投資へのパスポート
【第341回】 2014年11月17日 広瀬 隆雄

先進国の経済成長が、ここから加速する理由

 夏以降、欧州中央銀行は、更なる利下げや量的緩和政策の強化などを通じて景気を支援してきました。5年債の利回りも極めて低い水準にあります。

 これは欧州の株式も出直ることを示唆しています。

新興国はダメ

 このように先進国の株式市場には先高の兆しが見えるのに対して、新興国はリスクが大きいです。

 その一因は中国にあります。中国は不動産バブルを抑え込もうとしており、その目的達成のために景気を犠牲にしています。鉱工業生産は低い伸びにとどまっています。

 中国が昔ほどコモディティを消費しなくなったので、中国にたいして鉄鉱石や石炭などを提供していた国々は輸出が振るわなくなっています。

 特に最近の原油価格の下落はロシアやブラジルなどの産油国に打撃を与えています。ブラジルの場合、政府が過半数株式を支配している国営石油会社ペトロブラス(ティッカーシンボル:PBR)に汚職があったのではないか? という捜査が進行中で、これまでに20人を超える逮捕者を出しています。帳簿に水増しがあった疑惑で、担当の公認会計士事務所が四半期決算をサインオフ(承認)しないという異常事態になっており、決算すら〆られない状況です。

ペトロブラスはリオデジャネイロ沖の大深水油田を開発するために過去に世界のどの大手石油会社も経験したことのない、莫大な先行投資を実施中です。その関係で同社のバランスシートには1000億ドルの借金があります。しかしプロジェクトは未だ半ばであり、今後4年間にさらに2200億ドルを調達する計画になっています。

 決算もろくに〆られない会社に、世界の金融機関は喜んで融資するでしょうか?

 古い話で恐縮ですが、1980年代に南米債務危機という事件がありました。1973年と1979年の2回のオイルショックで世界がインフレに見舞われたとき、コモディティを豊富に擁しているラテン・アメリカ諸国に投資ブームが起きました。しかし1980年代に入り原油価格が急落し、コモディティ価格も下落すると、南米諸国はいっぺんに不景気になり、借金を返せなくなってしまったのです。

 いまブラジルで起きていることは、まるっきりその悪夢の繰り返しです。